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2010年4月25日

一つ一つの所作に意味を込めて

家元招請研究会−【基本】

小川宗弘(新潟不白会)

立居の稽古
立居の稽古–ゆっくりと動く
 四月下旬、桜とチューリップが咲きほこる爽やかな日、新潟の護国神社にて、家元招請研究会が行われました。
 まずはじめに、全員揃って呼吸法と体操を教えていただきました。息をすべて吐き切り、ゆっくりと酸素を取り込み、身体の隅々まで血液を送り込むといった呼吸法は、日頃ではしないためか、意外に難しいものでした。
 また、太極拳にも似たゆっくりとした動作の体操も、いつも使っていない筋肉を使うため、かなり大変でしたが、不思議に体中がすっきりしてリラックスできました。心身共に健やかで日々の鍛練により美しい所作が生まれるということを、この教授によって実感しました。
濃茶点前の稽古
服紗を清める–実をもって
 さて、いよいよ濃茶点前です。何しろはじめての亭主役ですので、大変緊張しておりましたが、お家元の穏やかなご指導で、集中して臨むことができました。
 いつも、つい流れで点前が進んでいってしまい、自分自身でも納得できない何かがあったのですが、一つ一つの所作に意味を持って行うということ……服紗を清める、茶筌の具合を確かめる、茶碗を温める、気持ちを込めて練る、等。そうして意識して行うことが至福の一碗となるべくして亭主は点前をするのであると理解できました。
 また、一碗を客、亭主が共に味わうということは、もちろん、点てた側が茶の具合を知ることもできますし、さらに、一服の茶を介して心を通わせることが出来るという意味で、大変素晴らしいことであると感じました。
 直々にお家元にご指導いただいたことは大変光栄であり、このような未熟な私に機会を与えてくださった先生始め皆様方に大変感謝しております。
茶を練る
抹茶を練る–気持ちを込めて
濃茶点前研究会その2
釣釜による濃茶点前の稽古も行われた

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2010年4月9日

笠間稲荷例大祭にて献茶献香の式が行われました

古川宗愛(茨城不白会)

献茶式
川上宗雪宗匠による献茶の儀
 四月九日笠間稲荷神社の例大祭において御家元川上宗雪宗匠の献茶、志野流家元蜂谷宗玄宗匠の献香と奉献の儀式が執り行われました。
 静かな緊張感に包まれた本殿に宮司様はじめ神社関係の方々、また各界からの大勢の皆様が見守る中、宗匠がゆっくりとお献茶に向かわれ厳かに儀式が進められました。
茶を献ずる家元
御茶を献じられる宗雪宗匠。
お香のご奉仕は、志野流家元蜂谷宗玄宗匠
 今年もご長男博之様のご参列がございまして、お揃いでの儀式にほのぼのとした温かい感動を覚えました。
 また境内には市内の各流派の野点席が設けられての楽しみもございました。
 江戸千家は三階花月の間に、床は名心庵筆の「一座建立」を掛けさせていただき、茶杓は蓮鶴先生の「まなつる」を用意させていただきました。限られた時間の中でございましたが、一服のおもてなしのできましたことを嬉しく思っております。
 また御献茶の当日は、東京からのたくさんの随行の先生方をお迎えして、お久しぶりにお会いしてお話ができ、いろいろな情報などと茨城の私たちにとりましても、とても楽しみの一日でもございますので、お献茶の日を待っております。
 今年の九日は葉桜の期というのに少し冷たい風の一日でございましたが、心温まる一日でもございました。

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2010年2月28日

南半球でのお茶会–ニュージーランドのジャパンデーに参加して–

伊藤俊彦(八女不白会)

 まだまだ寒い二月末、知人に誘われてニュージーランドへのツアーに参加した。
 このツアーは福岡文化連盟(理事長:多田昭重西日本新聞社会長)を中心に、オークランド市のジャパンデーに参加することを目的としたもので、企画書には現地の日本人会がニュージーランド国民に日本の伝統芸能、文化、武道を紹介する催しで、華道、書道、邦楽、柔剣道等を展示または演武するとあった。
 茶道がなかったので、できれば少人数の方にでもお抹茶を振る舞うことができればと思い、トランクの片隅に茶籠と干菓子を忍ばせ、はるか九千キロのかなたまで飛んだ。
 現地は夏から秋への一番いい季節である。
 まず、前夜祭が総領事公邸で行われ日本全国からの参加者や日本人会の皆さん百人近くが公邸内や広い芝生の庭でのビュッフェパーティーに出席し、料理とワインにいい気持ちになりながら、やがて夜空に瞬き始めた初めての南十字星に感激した。
 二月二十八日ジャパンデーの当日、大変広い会場の一隅に「茶道 Tea Ceremony」と書かれたコーナーが設けられており、お願いしていた電気ポットとボールがテーブルにセットされていたので即席のお茶席を準備した。
 和太鼓で始まった開会式には首相を始め市長、日本総領事他たくさんの名士が出席し、福岡から参加の新池坊の皆さんによる生け花の実演も行われ、会がスタートした。私は同行した妻を半東にサービスを開始した。
イラスト
 ニュージーランドは多民族国家であり、白人はもとより、アジア系、中近東系そして南方系と、いろんな国の人々がテーブルの前に人だかりとなり、次から次に椅子に座るため、休む間もなく茶を点て続けた。
 茶籠から茶碗、茶入を出し、竹筒から茶筌、茶杓を取り出すと、「オー!」という驚きの声が沸き、お抹茶を取り出すと「イッツ ワサビ?」と、とんでもない質問。「ジス イズ ティーパウダー」と、一夜漬けの英語で説明をしたりで、一缶の抹茶で実に五十人以上の皆さんに日本のお抹茶を振る舞うことができた。
 思いもかけぬ南半球でのお茶会となり、総領事や日本人会の方々はもとより来場のニュージーランドの皆さんにお茶を楽しんでもらえたことが私にとって大きな喜びであったとともに、かくも多くの人が茶道に興味を持っていたことは貴重な体験であり、今後もずっとお茶のお稽古を続けたいと思った。

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2010年2月6日

穏やか初釜

西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)

 ロサンゼルス、西村社中は二月六日、西村宅にてお初釜を致しました。あいにくのロスでは珍しい雨でしたが、十六名の方が集い福茶にてお客様を迎えました。
 
回り炭
社中が繋がりながら炭をつぐ
床には「松柏千年翠」 鶴の花入れに松、椿、などが活けられお香入れは「干支の「寅」。結び柳に紅白の椿、そして竹台子に注連縄飾りと江戸千家の初釜に相応しい組み合わせでした。
 初座では、お炭点前で「廻り炭」をし、皆で今度はどの様に組合せしましょうかなど、久しぶりの廻り炭でした。
 お節懐石膳では、米国レストラン協会会長・上地勝也様自ら料理くださり、我が家に来て鯛のこぶ締めを料理して下さいとても美味しく少し贅沢な気分でお食事を戴きました。
 後座では、鳴り物の合図で、席入りし、日本から届きました虎屋の「寅の春」を戴き、金銀島台でお濃茶を堪能致しました。
 お薄は、皆で廻り点てをしました。 最後に、福引でそれぞれのプレゼントを戴きとても和やかな楽しい初釜でした。
大福茶の点前
新年の濃茶点前
濃茶一服
お茶をじっくり味わう

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2010年1月11日

郡山初釜茶会を訪れて

幸田宗陽(福島不白会)

 ひとつ北上する駅ごとに残雪の量が少しずつ厚くなり、初めて降りたった郡山の空は心なしか低く感じられた十一日の祝日でした。
 うすいデパート九階、特設会場に設けられた茶席の芳香は、人、人、人の群れで、その熱気はこの町のお茶に対する関心度が高いことを示しておりました。
 一時間半待ちの江戸千家福島支部岩谷先生お社中のお席は、お軸が、お家元筆の「寿」が初春のお慶びを祝ってくださいました。左上の青竹の根元は万両が、そこからたっぷりの柳が中間で一つ大きく結ばれて床に流れ、中央にはうやうやしく神鈴が飾られておりました。その結びリボンが十二単の襲の色のように流し置かれ、その先、右床には大振りの交趾大亀が座を占めておりました。新しい年を迎える喜びを一杯にして迎えてくださいました。
 広間は、及台子に薩摩焼、四君子の模様の皆具、遠くからは、玉虫色に光っている大棗。
 当日初めて席主を務められた岩谷宗洋先生が、画題「虎渓三笑」のお棗で、“虎渓を渡るまいと誓った僧(慧遠)が陶淵明・陸修静の二人の帰りを送って思わず虎渓を過ぎてしまい、三人ともお笑いと、干支をも掛けまして、”と、ご丁寧にご説明くださいました。時間を忘れてお茶をお楽しみください、とのことのようでした。その間、すがすがしいお点前でお茶を点ててくださり、その手を離れたお茶碗は、加賀光悦写し。拝見で廻ってきたその赤楽土の削ぎの潔さに「きみ、年頭の心の決意は立てたのかネ」と問われているようでありました。
 鶴のお菓子をおいしくいただき、お運びで、初舞台なのでと招待してくださった友の新調した着物と帯を美しく着付けた姿に見とれながら、運ばれ来たお抹茶を、それはそれはおいしく頂戴いたしました。後で知ったのですが、多額を費して四つの茶席を作り上げ、毎年行われるこの茶会は今年で四十回目を迎えたとのことでした。岩谷先生をはじめ郡山の諸先生に感謝で一杯の東北のお茶会でした。

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2010年1月10日

初釜で、心新たに

菰原寿子(八女不白会)

炭点前
炭点前で、ぬくもりに包まれる
 まず、待合で家元のお軸『若』を前に、参会者一同挨拶をして席入りが始まりました。
 茶室では、山崎宗明先生の初炭点前で、優しい炭の温もり、日本古来の『若松』煉り香による伝統ある美と優雅な香りに包まれました。そんな中、私達は良い気分で先生の創作茶の湯懐石をいただきました。
 今日の私達のために、先生は労を惜しむ事なく、数日前から食材を見極め、お酒を選び、初釜を催して下さつたことに、みんな感謝しながらいただきました。作り方を問う場面もあり賑やかでした。 
 その後、中立、鳴り物の合図で後座の席入りがあり、濃茶をいただき、その後数茶をしました。御菓子や果物、薄茶で和気藹々とした楽しいお茶事でした。 
 最後に先生の、「今年は口角を上げ目は三日月、いつも笑顔で頑張りましょう」という挨拶を受けて、いろんな思いを抱きながら各々家路に向かいました。 
懐石膳
手塩にかけた懐石料理の数々
懐石で一献
和やかに年の始まりを祝う

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茶の湯の一年の始まりに

櫻庭宗澄(青森不白会)

初釜飾りでお点前
新年のお点前
 一月十日、青森の木立社中の初釜が行われました。青森の冬は前日春のようなのに一夜明けると真っ白な雪に被われてしまいます。当日もそんな日になっていまいましたが、それぞれ稽古日の違う方々との出会いを楽しみに出掛けました。
 お席に入り、まず目に入ったのは見事な柳、枝もたわわに垂れ下がり感動です。床の間の拝見、炉の拝見をし、自分の席に着きました。一年に一度の木立先生のお点前でたっぷりのお濃茶をいただきました。
記念写真
一年のお茶のはじまり 記念写真
 続いて昼食をしながらの福引、大物を当てた方の歓声に拍手です。
 午後からは数茶が行われました。数茶はお気軽に愉しみましょうという木立先生のお言葉でなごやかにな雰囲気です。いただいた一服はお濃茶とはまた違う、ほっとする味わいがあり、ついおいしゅうございます、と言いたくなりました。
 初釜は新年の挨拶、お稽古初めということでとても緊張する一日ですが、今年も又一生懸命お稽古しようという気持ちにもなれる日でもあります。ますます精進したいものです。

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2009年11月29日

日々精進することへの誓い-乱飾ご相伝をいただいて–

大井清雪(長野不白会)

記念撮影
感激の記念撮影
 冬も間近の十一月二十九日、長野不白会支部長先生宅におきまして、三名の先生立ち会いのもと、森泉社中三名が師範の免許状をいただくご相伝式を執り行っていただきました。
 この日を迎えるに当たりましては、日々不安と緊張の中で過ごしておりました。しかし当日のお天気がご相伝式を象徴したかのように初冬の穏やかな晴天となり、神様も私達を見守ってくれたのだと思いましたら嬉しくなりました。
【会記】
寄付
 床 騎牛帰家 画賛  名心庵
 花 姫水木 西王母椿
 花入 高麗青磁

本席
 床 喫茶去  大亀老師八十七歳書
 花 檀香梅 土佐水木 白玉椿
 花入 青銅経筒 大西浄林 初代作
 香合 金獅子  不白写   牧庵
竹台子飾
  皆具 青磁雲鶴象嵌   柳海剛
  炉縁 雪月花蒔絵 春慶塗
 釜 雪輪紋霰       長野烈
 茶入 青磁        柳海剛
  仕服 紹鴎緞子
 茶杓 雪輪        一元斎
 天目台眞塗
 茶碗 油滴天目      池順鐸
 御茶 星の奥     八女星野園
 御菓子 千里虎      彩雲堂
  器 古九谷
                以上
	
 午前十時三十分頃、寄付で白湯をいただき、お席入り、乱飾りでの支部長先生の流れるようなお点前。目が釘付けとなりました。天目台でいただいた美味しいお茶にそれまでの緊張がほぐれ、格別なお味がいたしました。
 中立ち後、懐石、薄茶と進み、最後にお家元からの茶の湯の道号、素敵なお名前を、支部長先生より、ご相伝していただきました。
 「これからは皆様で協力して茶の湯を盛り上げてください」という言葉を聞きながら、これまで私達を育ててくださった先生のご苦労が頭によぎり、自然に目頭から熱いものが流れていて、必死でこらえている自分がそこにおりました。今日まで、年齢も入門の時期も様々な未熟な私達を、懇切丁寧に、辛抱強くここまでご指導いただきましたことへの感謝の気持ちでただただ胸がいっぱいでした。
 本当に茶の湯に入門し、続けてきて良かったと思います。そして「これからも日々精進していくこと」と決意を新たにいたしまして、御看板と伝書をいただき、帰路につきました。

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2009年11月27日

ご相伝式に臨んで

豊田宗恵(大分不白会)

 紅葉の美しい十一月下旬、家元邸花月の間にて乱飾のお許しをいただきました。
 心配されておりましたお天気にも恵まれ、無事にこの日を迎えられましたことは、支部長様をはじめ、諸先生方のお陰と深く感謝いたしております。
 一歩露地に踏み入ると、そこからはもう、お茶の世界、今迄感じたことのない清浄な空気に触れたような、心までも清められた感じがいたしました。
 まず、不白像にお参りをし、緊張の中席入りです。やわらかな日ざしと鳥のさえずりに少しずつ緊張も解けていきました。お家元様をはじめ、皆々様の清流のごとき所作に見とれ、奥様御手作りのお料理を美味しくいただきまして、とても感動いたしました。お許しをいただきましたことは、私の何にも勝る宝物となることでございましょう。私もお客様に心が届くお茶事ができますように、ますますお茶の道に邁進する覚悟でございます。

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2009年11月23日

「菓子の茶事」を学ぶ

宗康先生招請研究会

飯野宗志(甲府不白会)

小間での茶事
小間での茶事を学ぶ
 先ずは小間の設い、茶事の進行、もてなしの心得についてお話を伺い、さっそく実践に移りました。初座の床にはお軸のみ。当日は誡堂老師の『時雨洗紅葉』を掛け、外待合の客を迎え付けに行く。前日の雨に洗われた紅葉の間からこぼれる秋の陽を受けつつ、客は立ち蹲踞を使い、躙り口を潜るなど初歩から教えていただきました。
 炭点前の後、主菓子を縁高にて差し上げ中立、午後は棗を交代し、お濃茶と薄茶を続けて差し上げる、付け薄茶の作法を教えていただきました。
 床の竹花入に大白玉椿と雪柳が活けられ美味しいお茶をいただき、大変に充実した秋の一日を過ごすことができました。少人数の会ですが、丁寧に教えていただき、これならば、各家庭で実践しやすいのではないかと、改めて、お茶事の良さを皆で話しあったところでございます。

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2009年11月15日

孤峰忌を営む

柏井宗武(高知不白会)

 例年通り十一月十五日(第三日曜)に、日蓮宗の要法寺において流祖川上不白の遺徳を偲び、石州流、表千家流、裏千家、表千家不白流、大日本茶道学会の五流会派の方々をお招きして孤峰忌を営んだ。

 【日記原文】
廿五日茶人川上不白ヲ徴シテ茶道ノ指南ヲ受ク
〔御日記〕 安永五年 十一月二十五日
              川上不白
 右ハ茶道為指南諸家へ立入候趣ニ付我等儀も致稽
古依之用役共より不白手前承合置今日罷出候様先達
御申遣置候付今日罷出於客座敷一通リ令月見夫より
居間に召呼薄茶前令所望一覧之上以来我等稽古見合
候様且此以後定日三九之日可相極候間其度度罷出候
様申聞之
 但以来罷出候節膳番小小性共之中相手申付候もの
我等稽古仕舞候跡ニ而手前見合遣候様用役共より申
聞之
	
 午前中は自流のみで流祖を祭り茶を献じ、薄茶席二席で流祖の遺徳を偲びながら茶を喫した。午後は五流会派のお客様に濃茶席、薄茶席二席でお茶を差し上げた。
 この孤峰忌の始まりは現在ではつまびらかではないが昭和二十年以前から石州流は石州忌、表千家流は利休忌、江戸千家(当時は不白流と通称されていた)は孤峰忌と、お互いに招き招かれしてきた。今後もこの流れを大事にして孤峰忌は続けていくとしている。
 高知県においては昔から石州流、表千家とは縁が深く特に石州流とは土佐藩時代から同じ茶頭として土佐藩に仕えていた。当然ながら当初は大名茶である石州流が茶頭役であったが安永五年(一七七六)十一月二十五日山内家九代豊雍公時代の日記に「二十五日茶人川上不白を徴して茶道の指南を受く」とあり、この頃から流祖不白の流れが土佐藩の茶頭役に取り立てられた、このことが高知県における江戸千家の発祥であり、今日に至っている。

 なお、山内家の日記原文は右の通りですので、参考としてください。

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2009年10月18日

亭主になって気づくこと

家元招請研究会−【正午の茶事】

黒岩宗富(福岡不白会)

千鳥の盃
八寸を肴に亭主と客が交流-千鳥の盃
 名残の趣向で準備するつもりでしたが、いざ亭主として自らが手がけると迷いも生じ、知らないことも多く、大変でした。ご指導をお受けすることで勉強になるのだからと自分に言い聞かせました。
 懐石は、椀盛、煮物、焼き物以外は実物で準備しました。水屋担当の方がベテランだったこともあり、あわてることなく半東の方とスムーズに運ぶことができました。ただ、温酒のときは寄せ盃を準備したほうがよいこと、また千鳥の盃については、お家元からご教授いただいて、流れがよく理解できました。
後座の花
後座の花
 湯斗を出した後、いつ茶室に入るか……。茶道口で控えておりましたが、お詰が湯斗、香物鉢を茶道口に運ぶ足音を聞いて襖を開けるタイミングを計るのは、経験の浅い私には難しいことでした。
 中立ち後の準備では、花を籠に入れるのに時間がかかり、しつらえの点検に余裕がなくなりました。銅鑼を打つのも初めてで、身体の正面で正しく打つのは大変難しく、お家元が打たれたゴォ〜と響く音をしっかり耳にとどめ、これもお稽古が必要だと思いました。お濃茶はメインなので、たっぷりと差し上げること、そして所作や手技の方に気を取られ、会話も途切れがちだったのも反省点です。
最後の反省会
担当者の感想や見学者からの質問が続く反省会
 亭主をすることで気づいた問題点は多いのですが、今回は、一応何とか乗り切れたのかなと安堵しました。いつか、楽しい趣向、工夫でお茶事の醍醐味を得ることができるようになれたらいいのですが……。そのためにはお家元がゝお伝えになっているように、機会をとらえてお茶事を行うこと、回を重ねて精進していくことだと今回の研究会で実感しました。

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2009年10月11日

茶筌飾り

宗康先生招請研究会−【小習十三箇条】

中村宗貞(高知不白会)

 最初の講義では、茶筌飾りの目的についてのお話がありました。単に点前の手順だけできるようになっても意味はなく、茶事の流れの中での茶筌飾りを学ぶ研究会で、その趣向がわかりやすく説明されました。
 慣れない正客の役でしたが、終始和やかな雰囲気の中で、大変勉強になりました。
初座:茶碗飾り
初座:茶碗飾り
後座
後座:茶筌飾りの点前

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2009年10月2日

ロサンゼルス・月見の茶会

本懐石の勉強を生かし

(ロサンゼルス不白会)

 10月2日、中秋の名月を愛でながらの月見の茶会.その様子がロサンゼルス不白会西村宗櫛さんからメールで届きました。
 今年の家元研究会課題にちなみ、本懐石の豪華なお茶会だったそうです。写真で紹介します。

掛け軸「中秋」
家元の筆による「中秋」の掛け物
茶室で一服
まずは一服
月見の茶会
月を見ながらのお点前
八寸の料理を披露
「八寸でございます」「ほー」
記念写真
月の下で記念写真
点前
月見の一服
満月

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2009年9月27日

風炉の正午の茶事 亭主・正客 

家元招請研究会−【茶事】

高田不白会

懐石場面
ご飯のおかわりを勧める亭主
 ◆亭主:水野宗美
 茶事の眼目である濃茶点前での種火の量の置き方等事前に細かくご指導いただきながら進めて参りました。特に茶室においてはお客様に心をのどかにしていただき、亭主は他念を抱かぬようにと心がけました。早朝お客様をお待ち申し上げていたかのように黄上臈ホトトギスが開きました。
 ほととぎす そっと手折りて客迎ふ
 服茶の点前は博之様の気品あふれるお姿に一同楽しい一会の研究会となりました。
濃茶点前
茶事の中心、濃茶でのもてなし
 ◆正客:市川寿雪
 正客が無事に勤まりますように願いながら席入り。ご亭主の丁寧な御挨拶があり、お軸の意味をうかがいました。懐石が進み、「千鳥の盃」のやりとりは本当に楽しいものでした。
 後座では心をこめて点ててくださったお濃茶のおいしさ、朝からの緊張はすーっと消え気持ちが楽になります。
 一服のお茶を巡る茶の湯の作法や食文化、工芸美術等の素晴らしさは世界に誇れる事を実感致しました。
反省会
茶事のむずかしさ、面白さなど、意見交換

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2009年9月13日

朝茶事で亭主を学ぶ

家元招請研究会−【朝茶事】

保土沢宗喜(七戸不白会)

亭主挨拶
茶事の始まり–まず歓迎の挨拶
 かすかな秋を感ずる九月十三日、家元招請研究会のご亭主役を務めさせていただきました。
 準備を整えてお客様を迎え付けいたしました。掛軸は難解でしたので、お家元にお願いすると、すらすらと和歌を読み、詳しく解説をしてくださいました。
 炭点前では下火が流れしまい、お炭を入れ直していただきました。濃茶の際に丁度よい湯加減になるよう、時間を逆算して下火の多少や炭の具合を考えることの大切さ、難しさを学びました。
一献で交流がすすむ
懐石-亭主は自慢の酒を客に勧める
 懐石の流れについても細やかなご指導をいただきながら、通常の茶事よりも献立を省略すること、朝茶らしいさらりとしたスリムな懐石でお客様をもてなすのがふさわしいことを教わりました。
 中立では、半東共々少しほっとし、床には紅く割れはじめた山芍薬の実をジャワ籠に入れました。お軸の画賛「瓶内の花」と重ならないよう実を用いました。
濃茶
雰囲気を改め、濃茶の世界
 お濃茶を差し上げ、付お薄は半東が点てました。亭主はお客様と和やかな会話ができれば、と思いましたが、なかなか難しくスムーズにまいりませんでした。
 全体的には、形式的なお辞儀が多いこと、また半東も丁寧すぎる点など、なかなか自身では気付かない点をご指摘いただきました。
 これからは必要かつ十分な所作を心がけまして一期一会を楽しんでまいりたいと存じます。

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2009年8月30日

盛岡市市制百二十周年茶会

岩手不白会

茶会風景
全国大会会場になる盛岡中央公民館で。
三田宗明先生が亭主、点前は澤野宗桂支部長

 本年は盛岡市が市制施行百二十周年にあたり、盛岡市茶道協会主催の記念茶会が八月三十日(日)に、盛岡市中央公民館で五流派参加のもと開催されました。
 岩手不白会は、三田宗明席主で掛釜いたしました。床は、八代一元斎筆の「満瑞気」を掛け、百二十年のお祝いをこめ、風炉釜は香取秀真造の香炉型で青海波透し模様があり涼しさが出ていました。香取秀真氏は東京芸術大学教授のころ盛岡へも鉄器の制作指導に来られたと聞いています。
 一入の黒楽平茶碗は、南部家伝来のもので、如心斎と江戸千家初代の箱書きがあります。南部家と江戸千家の関わりを示す茶碗で盛岡市のルーツをたどるにあたり意義深いものと思いました。
 暑い夏の茶会にで心配いたしましたが、冷房の効いた茶席は快適で、六百名強のお客様で盛会でした。
 岩手不白会にとりましては、秋の全国大会のリハーサルにもなり、水屋はきびきびと、しかし和気あいあいの雰囲気でありました。
 後日、お客様からとても印象深いお席であったという感想をいただき安堵いたしました。

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2009年8月29日

花月を基本から学ぶ

博子先生招請研究会

岩谷宗洋(福島不白会)

花月の研究会
床には家元筆「七事式」の掛物が掛かる
 去る八月二十九日、水面に立つさざ波に秋の気配を感じさせる南湖公園の松楽亭にて、博子先生のご指導のもと、花月の研究会が行われました。
 花月には様々なやり方があり、人数も四人から十人までと幅広いのですが、基本となる五人花月から始めていくことになり、私も参加させていただきました。
 水屋で引いた札で次客として座に着きましたが、何度も折据が廻ってくるうちに、どんどん変化します。役札を引くいて点前をしたり、月を引いてお茶をいただいたり、正客になったり、お詰になったり……。
 「花月百遍朧月」という言葉があるそうですが、その場の置かれた状況で、しなければならないことや、覚えることはたくさんあり、臨機応変な判断が要求されると感じました。折据や札を置く位置、札の扱い方、足の運び方、座の着き方など、基本からしっかりとご指導いただいたのは、とても良かったと思います。
 また、誰が、今どういう役札をもっているか、全体の流れがわかっていなければならないということも学びました。博子先生のご指導の中に、花月は、一つ一つの所作を覚えるのが大切であると同時に、心配りや心遣いがあってこそ、それらが生かされていくものであることも実感いたしました。

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2009年8月8日

基本からお茶事までを集中的に学ぶ

家元招請研究会

ロサンゼルス不白会

茶筌通し指導
茶筌通し-実のある動作で
 平成二十一年八月八日、九日の両日、ロサンゼルス不白会では、川上宗雪宗匠、博之氏を迎え招請研究会が開かれました。
 地元を代表する日系新聞『羅府新報』に、両日の様子が大きく取り上げられています。一部抜粋しながら紹介します。

 一日目の研究会は生徒が中心で、「茶の湯の基本」をテーマに、キョウト・グランドホテルに特設した茶室で学んだ。午前中ははじめに柔軟体操(八段錦)で身体を充分にほぐし、心を整えて、立居、挨拶、運びを家元の手本に従い、二手に分かれて復習し、一人ひとり指導を受けた。
 茶席のための呼吸法に関し、家元は「ゆっくり動くことの難しさ」を強調し、日頃から間の保ち方を意識して稽古を行うこと、基本にたちかえることの大切さを解説した。
 午後の研究会では、服紗さばき、茶筌通し、柄杓の扱いとその意味を学んだ。家元から、服紗の位置、扇子の位置、服紗から指を抜くタイミング、さらに茶筌や柄杓の持ち方と指の運び、お湯の量など、細部にわたる指導が行われた。「普段は当たり前にしている動作ですが、その重要性と意味を再認識できた」と、参加者の一人は茶の湯の基本の厳しさをかみしめていた。

所作-茶碗を運ぶ
茶碗を運ぶ所作-ゆっくりと
 二日目は教授者を中心に、禅宗寺で「お茶事」について学んだ。
 風炉の「正午の茶事」をテーマに、茶事の流れの基本について説明があり、午前中は初座の寄付、席入りと始まり、今回の研究会の中心である「本懐石」の料理の順序の指導を受けた。
 茶の湯懐石は本来食事であって料理ではなく、飯と酒を主体にして、菜を取り合わせたものであることを学んだ。
所作-おじぎ
おじぎの見本を示す
 「日本でもこの頃は本懐石をする人が少なく、アメリカでできるか心配しましたが、こんなにすんなりできるとは思いませんでした」との家元の感想があり、「本懐石」はスムーズに運んだ。その後初炭点前があり、中立、鳴り物の合図で後座の席入り濃茶付け薄茶と続いた。
 茶の湯の伝統を継承し、アメリカで学ぶ役割は大きいことを再確認して、江戸千家ロサンゼルス不白会にとって非常に意義のある二日間の研究会となった。
茶事の研究会
茶事の研究会-本懐石
濃茶の点前
懐石の後、改まって濃茶席
懇親会での記念撮影
懇親会での記念撮影

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2009年8月2日

暑さに負けず! 《夏期講習会》

熊谷不白会

講義風景
床には、川上宗雪宗匠筆の「七事式」が掲げられた

 去る八月二日、本庄児玉にて恒例の夏期講習会を行いました。あいにくのお天気でしたが、実りの多い一日となりました。

●テーマ一 【花寄せ】
 盛夏にも関わらず、五十種を超える花々が集まり、六曲の花屏風に涼しげなお花、壮観でございました。

花寄風景
さまざまな花器に思い思いの花々

●テーマ二【花月】
 まず一組目は、花月の厳格な決まり事の解説を入れながら、はじめての方々にも分かりやすく行いました。続いてメンバーを交代して、二組目。出席者の目が輝きを増していました。

●テーマ三【組合せ点て】
 今年五月に「茶筌飾り」「仕組み茶碗」を学びました。それぞれの意味合いを知り、それゆえの点前・作法をお勉強いたしました。そこで今回はもう一歩進め、「組合せ点て」を研修課題と致しました。
 ご高齢の亭主が、名物等の大事なお茶碗でお客様をもてなす折り、どのような動きになるのか。半東がどのように補佐するのか。会場は蒸し暑さをはねのけるような、真剣さに引き締まった空気の流れる充実した講習会となりました。

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