2010年6月22日
あやめ祭りを終えて-私の町の小さなお茶会を育む
面川晴雪(福島不白会)
興味津々で茶筌を振る少女たち
鏡石町主催の「あやめ祭り」も恒例となり八回を重ねました。町民お茶会も企画されて五回目の参加となりました。回を重ねていくうちに、身近に感じられるお茶会とは何かと課題を持ち始めました。
町にある県立高校のオランダ姉妹校との交流会や国際交流クラブの場で、「お茶を点ててみましょう」と体験コーナーを担当してきたことから、今年度は町民の皆様と体験しようと計画しました。
六月二十二日、テーブルをコの字型に設営した会場では、盆に菓子とお茶と湯を入れた茶碗、茶筌をのせてお運びし、点て方や飲み方を話しながらお茶を味わっていただきました。
昨年「もう一服」と言って、二服の抹茶を飲んだ女児は四歳になり、「私もやる」と満面の笑みで席につき体験をしました。部活帰りの中学生も訪れて、興味津々に茶筌を振り、一服のお茶を「おいしい」と、ほっと一息の安堵を得たようでした。また、この祭りより先に行われた春の文化祭生花コーナーでお茶の体験をした親子は、「今日のお茶会を楽しみにして来ましたよ」と、にこにこの笑顔で席に着きました。
カナダからの外国人英語教師は、「はじめてです。にがいのかと思いましたらおいしいんですね」。幼児は「幼稚園でやったことあるよ。いい味がするよ」……。八十代の方は「女学校で習いましたよ」と、コの字型の茶席はにぎやかな繁盛でした。社中の方々の心あたたかな応対で、笑みのこぼれる和やかな茶会となりました。
これからも、多くの人にお茶の文化を体験してもらい、私の住む町の小さなお茶会を育んでいきたいと思います。
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2010年6月20日
主題に合わせて古を偲ぶ
宗康先生招請研究会−【貴人清次】
有吉宗夏(久留米不白会)
貴人に茶を点てる
小雨降る六月二十日、少林寺におきまして、宗康先生招請の「貴人清次」の課題で研究会が行われました。いつもとは異なり、貴人様のお道具、清次の方の道具の取り合わせの違いに心を配りました。また、貴人役になられる方が、還暦と伺い、床に流祖の寿の文字と亀の絵を掛け、長板の二つ置きに平水指を置いて、すっきりとまとめたいと思い、色々と愉しみながら、お道具を決めていきました。
貴人と清次
貴人清次の貴人様は、昔ではお殿様、清次は家来、、清次の心くばりと亭主とのつながりが課題だと宗康先生より伺いました。早速実践に入りました。貴人様においしいお濃茶を差し上げる事だけを思いながら、お点前が進みました。
茶道具の仕舞い方。長緒の結び方ほか箱紐の結び方、風炉敷の包み方など
最初は、時代錯誤のような気持ちでしたが、お点前が進むにつれ、相手を敬う気持ちは、姿、形は違っていても昔も今も、変わらない事に気づかせていただき、亭主を務めさせていただきました。おしまいに、貴人点には貴人に応じた臨機応変さが必要であった、というお話がありました。
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2010年6月13日
上越茶道会茶会
高田不白会
宗康先生筆「青峰」
●席主をして……竹田隆雪
六月十三日、上越市内各流派の会員持ち廻りによるお茶会が、有沢製作所内茶室「一期庵」で開かれ、薄茶席の席主を務めました。上越茶道会は上越市内各流派有志約二百名程の会員で構成されています。現在の会長は当流の小川紫雪支部長です。朝から天候にも恵まれ、早苗の植えられている田んぼを目の前にお茶会が始まりました。
床に宗康先生筆〈青峰〉の扇面を掛けてみました。竹一重切に伊吹虎の尾等を入れました。木地の雪輪棚に備前の水指、赤楽の茶碗を主とし、棗は不白在判。蓮々斎の極のある町棗、埋木の茶杓を取り合わせてみました。初夏のすがすがしさを出そうとしましたが、なかなかうまくいきませんでした。そんな中でも道具組やお客様との応対の難しさなどに、次回の教訓を感じた一日となりました。
席中の様子
●お招きする立場で……浅野柚雪
今回私たちはお客様をお招きする立場での参加です。お呼ばれした際にはいつも心尽くしのおもてなしで毎回感激しておりますので、この度は皆様に喜んでいただけるよう席主をはじめ水屋一同精一杯務めさせていただきました。
しかし、いざお手伝いをしてみると、お炭、床、席の手入れ等々想像していた以上に細かい仕事が多く、また普段のお稽古ではできない貴重な経験もたくさんあり、大変勉強になりました。
無我夢中のうちに進んでいく中で、時折お客様から笑顔で「よいお席ですね」「おいしいお茶ですね」とのお声を頂戴し、感激も一入でした。ふと気がつくと初夏の妙高山を思わせるお菓子が、お庭の緑ともとてもよく合っていたように思います。
今回諸先輩の指導のもと、無事にお茶会が終えられたこと、大変嬉しく、また改めてお茶の素晴らしさを実感することができました。
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2010年6月5日
名物茶入飾りで亭主を学ぶ
宗康先生招請研究会
田中宗央(福岡不白会)
正客の前で名物茶入、盆を披露
名物茶入飾りでは、貴重なお茶入の扱い方を学びました。大切なお茶入ですので、姿勢を低くしてゆっくりと大切な扱いをいたしました。
先生が実際に服紗さばき、お茶入の扱い、お盆の清め方などお手本を見せて下さり、ゆっくりとした動作の中にもリズム、呼吸が大切なのだということを体得いたしました。
初座の名物飾りからはじまり、お炭点前、濃茶、薄茶と、お茶事の形ですが、社中の若い者でそれぞれが担当し、断片的だったものが一つの流れとして理解できました。
また後の時間では、長緒の扱い方、箱の紐結び、ふろしきの結び方などお教えいただき、本質に触れた思いでした。
割り稽古
私にとって、亭主役は初めての経験で、また不慣れなことでしたが、ご指導をお受けすることで、ひとつひとつ思いを深くいたしました。また、準備の段階では特にお道具組みがいかに大切かということをご教授いただきました。
今回の研究会にあたり、大変貴重なお道具の数々をお出しいただきました賛助会員の田中孝先生には心より感謝いたしております。そしていつの日か、自分なりの趣向で余裕をもってお茶事ができるようになるため、今後より一層お稽古に励みたいと思いました。
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2010年5月23日
須坂不白会、十周年を迎えて
松崎葉雪(須坂不白会)
山岸宗洋支部長。挨拶と御礼
家元から「薫風」の書をいただく
家元、お祝いの言葉
新緑が目に染みる五月二十三日、私ども須坂同好会は、発足十周年を迎えることができました。これを機に、お家元の勧めにより江戸千家須坂支部として再出発することになり、記念祝賀会を割烹「能登忠」にて開催いたしました。
ご来賓には、地元市長様、お家元ご夫妻、宗康先生ご夫妻、東京、長野、高田不白会の先生方をお迎えして、記念式典を行いました。
お家元からは、十周年のお祝いとして、お言葉と共に、今の季節に合う「薫風」のお筆をいただきました。宗康先生には、お手作りの茶杓をいただき、須坂支部のお宝として今後大切にお扱いしていきたいと思います。
午前は祝賀会、午後は、茶席を二席でお楽しみいただきました。
この度十周年を迎えられたのは、故金原先生が、須坂の地に種を蒔き育てていただいて四十年、おやさしくご指導いただき、今日の日を迎えることができました。
年二回の家元招請研究会では、お家元に直接ご指導いただきながら精進して参りたいと思います。
小さな支部ですが、これからも茶の湯の伝統を大切に、会員の親睦を計りながら、研鑽を重ねていきたいと思います。
記念の茶会
思い出を語り合いながら、お茶を楽しむ
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「神戸丸」出航–神戸同好会発足に臨んで
渡辺宗倫(神戸同好会)
神戸港・メリケンパークの夕景
この度 神戸港より江戸千家同好会「神戸丸」が出航致しました。乗組員はわずか十七名の超小型船です。
神戸という町の響きはハイカラ、エキゾチックな文化都市をイメージされる方も多いと思います。六甲山に港町、洋菓子に神戸牛そして酒蔵とさまざまな異国文化と日本文化が入混じったバタ臭い町です。
この町がちょうど十五年前に阪神淡路大震災に見舞われ、瓦礫の町と化しました。私の家も全壊し、生埋めになりました。その当時、お家元様始め皆様からお見舞いや励ましの言葉を頂いて今日までお茶を続けることができました。そして私が米国より帰国して神戸に移り住んで二十年という節目の年に同好会として新たな出発を迎えることができましたのもお家元様のご推挙と社中の皆様の熱意に他ならずと感謝にたえません。
「神戸丸」の船出を記念して五月二十三日に甲山(かぶとやま)山麓の高台にあります北山山荘にて茶会を催しました。午前は山荘にて発会式とお食事をいただき、午後に離れの茶室「不盡庵(ふじあん)」にてお抹茶をいただきました。当日は雨模様でしたが、庭園の濃緑が皆様の笑顔に冴え渡り、非日常の一日を楽しみました。
これをご縁にどうぞ全国の、そして世界の江戸千家の皆様、私共「神戸丸」をお見守りくださいませ。
同好会発足記念の茶会
神戸丸乗組員の記念撮影
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2010年5月16日
基本を繰り返す
家元招請研究会−【基本】
有川宗良(群馬不白会)
立居の稽古:「歩く」
朝から、爽やかな気持ちの良い五月の一日でした。日常せかせかと暮らす中で、お茶の集いの日ばかりは、落ち着いたゆったりとした気持ちで楽しく社中の数人で参加させていただきます。
今年の研究会の課題は「基本」。立居、所作、炭、濃茶、薄茶が取り上げられる中で、立居では、「歩く」「おじぎをする」等の基本動作が繰り返し行われます。お家元の所作の、能の舞を彷彿とさせる動きには誰もが見入るばかりでした。
続いて、参加者が広い会場の畳の上で、身体をこちこちにさせながら、礼についての真行草、また、歩き方についての真行草と指導をしていただきました。思うようにはならず、後何回か、この度のような形の研究会があったらと思います。
代点による、炭点前の稽古
呼吸法についても、常日ごろにも役立つものというお話がありましたので、社中の者と稽古の前にほんの数分ですが、続けております。
点前や作法では、形より精神が大事と家元は繰り返し話されますが、つい、形に拘り、以前は?、ここは?、等、腑に落ちないと心配したり、悩みます。この研究会では、四方払い、茶筌通し、について、しっかりと理解することができました。
はじめて参加させていただいた我が家のお弟子さんの一人が、日頃口数も少ない方ですが、研究会の終わりに、お家元から「何か質問はありますか?」とのお声かけに、意を決した如く、的を射た質問をした時は、はっとしながらも嬉しく思いました。お家元は、参加者の質問に快く、明確なお答えをくださり、皆さんの気持ちの中にお家元を近くに感じたことと思いました。充実したよい研究会でした。
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2010年5月5日
充実した研究会
家元招請研究会−【基本】
岡林宗翠(高知不白会)
家元による見本の点前を注視する参加者
風薫る五月五日、高知城ホールにて、「基本」の家元招請研究会が行われました。
午前中、まず基本の大切さを解説していただき、柔軟体操で身体を十分にほぐし、心を整えた後に、立居、挨拶の実践指導を受けました。
続いて寄付にて、亭主の迎え付けの後、客入席。床には、家元自筆のお軸「郭公自南来」、まさに新緑の中からそのさえずりが聞こえてくるように感じました。
私は、亭主の代点で、初炭点前をさせていただきました。心地よい緊張感の中、家元から、たいへん分かりやすくアドバイスをしていただきました。
繰り返し基本の所作を学ぶ
昼食の後、客は寄付でお菓子をいただき、亭主がお花を生け、点前畳、踏込畳を拭き、水指、茶入を飾り、お迎えに行き、客入席。濃茶点前の途中で、服紗さばき、茶筌通し、茶入、茶杓の拭き方、一つ一つの基本と流れを丁寧にご指導いただき、奥の深さをあらためて痛感いたしました。後炭の乱組みは、家元に組んでいただきました。
後炭点前、お薄点前と続き、出席者全員でおいしくお茶をいただきました。最後に、「長息は長生きにつながる」と、呼吸法に関するお話をいただきました。活発な質問も出て、皆それぞれに、いろんな新しい発見と感動をすることができ、とても充実した研究会となりました。
そういえば、家に野鳥のさえずりを集めたテープがあったような……、今度、皆で集まる時には、そっと「郭公」の声を流してみましょうか。
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2010年5月2日
「世界お茶の祭典」開催される
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
季節を感じる節句飾り
去る5月2日「世界のお茶の祭典十周年記念大会」が、カルバーシティーのロイヤル・カフェで開催されました。
日本、インド、中国、スリランカ、英国、アメリカ、ジプシー他様々な国のお茶の紹介、販売などが行われる賑やかな祭典です。
そして、日本は江戸千家ロサンゼルス不白会が担当、西村社中が午後2時と4時の2回のお点前を披露しました。各国の人達が、柏餅とお抹茶を美味しそうに味わい、興味津々でお点前を写真に撮る人、メモを取る人、点前が終われば質問攻めでした。
5月端午の節句ですので、フロントに兜、刀、寅の色紙、そして竹の子にアイリス、鯉のぼりを飾りました。
この祭典を通じ、お抹茶が外国の人達に色々の方法で飲まれていることを知り、驚きました。お茶のブームの他にも、スシや酒など日本の食文化が海外で受け入れられ、喜ばれています。
この度八女茶の星野園さんの協力のもと、「星の奥」を使いました。隣では、八女茶の展示販売のコーナーも儲けました。
各国の報道陣の取材も多く、LAタイムス、TV局なども大きく紹介されました。
興味津々の参会者
点前の後は、質問攻め
様々な国の様々なお茶
八女製茶園の展示販売コーナー
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取り合わせる楽しみ – 月例福祉茶会を終えて
石田宗桜(岩手不白会)
吾山にながれてやまぬ
山水のやみがたくして道はゆくなり 光太郎
五月二日、市の月例福祉茶会を担当いたしました。最初、席主の集まりの時、「このような時勢ですから、書付などにこだわらず、取り合わせを楽しみましょう」という、茶道協会の方からの言葉に後押しされて、自分で用意できる範囲で取り合わせを考えてみました。
爽やかな初夏の席にお客様をお迎えしようと思い、寄付は「清」の色紙、本席は高村光太郎の書、清風卓、竹絵染付の水指、「遠山」の棗、「薫風」の茶杓、茶碗は対州御本、替茶碗は「青楓」、菓子は「若葉」と、取り合わせてみました。釜は南部釜の職人をしている息子の泉釜を使いました。
今年は天候不順で、予定していた花はなかなか咲かず、冒険でしたが、「風車」を原種とするクレマチスの白一輪を翡翠色の鶴首に入れてみました。光太郎の山荘を訪ねて、書の背景などをいろいろ調べてもみました。高村光太郎について知っているお客様も多く、口下手な私でも何とかゆとりを持って会話ができ、嬉しく思いました。
久しぶりの大寄せ茶会でしたが、いろいろな方の助けをお借りして、なんとか終えることができました。
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2010年5月1日
濃茶の亭主をして気づいたこと–緊張と学べる喜びと–
家元招請研究会−【基本】
宮川宗貴(福岡不白会)
濃茶点前−まずは挨拶
新緑が美しい初夏の五月一日。お家元においでいただき、東洋陶磁美術館、慈庵にて研究会が行われました。
端午の節句で、鍾馗様の軸、大山蓮華の白と緑の葉がすがすがしい床飾りの中、午前は体操、立居振舞い、炭点前。午後に濃茶、薄茶という課題で細かいご指導を賜りました。
特に濃茶では、点前を中断し、お家元の服紗さばき、茶筌通しなどの見本の点前が繰り返され、その所作を身近で拝見できたことはとても勉強になりました。
亭主をして難しいと感じたのはお客様が席入をして座につかれた後、亭主が出て行くタイミングでした。茶道口に控えて待っている間、お客様の気配を感覚を研ぎ澄まして感じなくてはいけないと痛感いたしました。四畳半の点前でしたが、亭主、半東、お客様の動きも難しいものだと感じました。
亭主も相伴
また、濃茶を点てるお抹茶の量が、たっぷり茶入に入れていたつもりでしたが、まだまだ少なく、せっかくのお濃茶がおいしく点てられなかったと、お客様に申し訳なく思いました。もっとがんばらねばと心新たに思ったことでした。。
研究会は緊張感もあり、新しいもの、知らなかったことを学べる喜びを得ることができます。お家元に来ていただけることは幸せなことだと感じた一日でした。
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2010年4月29日
廻り炭の研究会を終えて
博子先生招請研究会−【七事式】
五十嵐宗合(福島不白会)
様々な炭の組み方を学ぶ
ゴールデンウィークの初日、白河南湖公園・松楽亭にて博子先生をお招きしての研究会が行われ、廻り炭についてご指導をいただきました。
お炭の修練のための廻り炭ということで、いろいろな炭の組み方を拝見でき、大変勉強になりました。
普段は炭点前の基本にそって真の炭について学んでおりますが、廻り炭では、きれいに整えられた巴半田へ、手順に従いご亭主役が炭を上げました。底取りを用いて細かいくず炭まで丁寧にすくい取られ、灰を火ばしで四隅よりそれぞれかき上げる様子などを実際に拝見すると、巴半田に上げられた炭の位置や、たね火となる炭を戻す位置などを確認することができました。
また、順番にお炭を組む場面では、炭を美しく組むだけでなく、火のおこる順番や、火がおきるまでにかかる時間なども、炭の組み方で調整できると伺い、枝炭の使い方などがとても勉強になりました。
早くお湯を沸かしたいとき、またゆっくり沸かしたいときと、お茶を点てる時にお釜のお湯が適温であるために、このようなお炭の加減がされていることをいつも心に留めて、一服のお茶を感謝していただきたいと思いました。
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2010年4月25日
一つ一つの所作に意味を込めて
家元招請研究会−【基本】
小川宗弘(新潟不白会)
立居の稽古–ゆっくりと動く
四月下旬、桜とチューリップが咲きほこる爽やかな日、新潟の護国神社にて、家元招請研究会が行われました。
まずはじめに、全員揃って呼吸法と体操を教えていただきました。息をすべて吐き切り、ゆっくりと酸素を取り込み、身体の隅々まで血液を送り込むといった呼吸法は、日頃ではしないためか、意外に難しいものでした。
また、太極拳にも似たゆっくりとした動作の体操も、いつも使っていない筋肉を使うため、かなり大変でしたが、不思議に体中がすっきりしてリラックスできました。心身共に健やかで日々の鍛練により美しい所作が生まれるということを、この教授によって実感しました。
服紗を清める–実をもって
さて、いよいよ濃茶点前です。何しろはじめての亭主役ですので、大変緊張しておりましたが、お家元の穏やかなご指導で、集中して臨むことができました。
いつも、つい流れで点前が進んでいってしまい、自分自身でも納得できない何かがあったのですが、一つ一つの所作に意味を持って行うということ……服紗を清める、茶筌の具合を確かめる、茶碗を温める、気持ちを込めて練る、等。そうして意識して行うことが至福の一碗となるべくして亭主は点前をするのであると理解できました。
また、一碗を客、亭主が共に味わうということは、もちろん、点てた側が茶の具合を知ることもできますし、さらに、一服の茶を介して心を通わせることが出来るという意味で、大変素晴らしいことであると感じました。
直々にお家元にご指導いただいたことは大変光栄であり、このような未熟な私に機会を与えてくださった先生始め皆様方に大変感謝しております。
抹茶を練る–気持ちを込めて
釣釜による濃茶点前の稽古も行われた
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2010年4月9日
笠間稲荷例大祭にて献茶献香の式が行われました
古川宗愛(茨城不白会)
川上宗雪宗匠による献茶の儀
四月九日笠間稲荷神社の例大祭において御家元川上宗雪宗匠の献茶、志野流家元蜂谷宗玄宗匠の献香と奉献の儀式が執り行われました。
静かな緊張感に包まれた本殿に宮司様はじめ神社関係の方々、また各界からの大勢の皆様が見守る中、宗匠がゆっくりとお献茶に向かわれ厳かに儀式が進められました。
御茶を献じられる宗雪宗匠。
お香のご奉仕は、志野流家元蜂谷宗玄宗匠
今年もご長男博之様のご参列がございまして、お揃いでの儀式にほのぼのとした温かい感動を覚えました。
また境内には市内の各流派の野点席が設けられての楽しみもございました。
江戸千家は三階花月の間に、床は名心庵筆の「一座建立」を掛けさせていただき、茶杓は蓮鶴先生の「まなつる」を用意させていただきました。限られた時間の中でございましたが、一服のおもてなしのできましたことを嬉しく思っております。
また御献茶の当日は、東京からのたくさんの随行の先生方をお迎えして、お久しぶりにお会いしてお話ができ、いろいろな情報などと茨城の私たちにとりましても、とても楽しみの一日でもございますので、お献茶の日を待っております。
今年の九日は葉桜の期というのに少し冷たい風の一日でございましたが、心温まる一日でもございました。
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2010年2月28日
南半球でのお茶会–ニュージーランドのジャパンデーに参加して–
伊藤俊彦(八女不白会)
まだまだ寒い二月末、知人に誘われてニュージーランドへのツアーに参加した。
このツアーは福岡文化連盟(理事長:多田昭重西日本新聞社会長)を中心に、オークランド市のジャパンデーに参加することを目的としたもので、企画書には現地の日本人会がニュージーランド国民に日本の伝統芸能、文化、武道を紹介する催しで、華道、書道、邦楽、柔剣道等を展示または演武するとあった。
茶道がなかったので、できれば少人数の方にでもお抹茶を振る舞うことができればと思い、トランクの片隅に茶籠と干菓子を忍ばせ、はるか九千キロのかなたまで飛んだ。
現地は夏から秋への一番いい季節である。
まず、前夜祭が総領事公邸で行われ日本全国からの参加者や日本人会の皆さん百人近くが公邸内や広い芝生の庭でのビュッフェパーティーに出席し、料理とワインにいい気持ちになりながら、やがて夜空に瞬き始めた初めての南十字星に感激した。
二月二十八日ジャパンデーの当日、大変広い会場の一隅に「茶道 Tea Ceremony」と書かれたコーナーが設けられており、お願いしていた電気ポットとボールがテーブルにセットされていたので即席のお茶席を準備した。
和太鼓で始まった開会式には首相を始め市長、日本総領事他たくさんの名士が出席し、福岡から参加の新池坊の皆さんによる生け花の実演も行われ、会がスタートした。私は同行した妻を半東にサービスを開始した。
ニュージーランドは多民族国家であり、白人はもとより、アジア系、中近東系そして南方系と、いろんな国の人々がテーブルの前に人だかりとなり、次から次に椅子に座るため、休む間もなく茶を点て続けた。
茶籠から茶碗、茶入を出し、竹筒から茶筌、茶杓を取り出すと、「オー!」という驚きの声が沸き、お抹茶を取り出すと「イッツ ワサビ?」と、とんでもない質問。「ジス イズ ティーパウダー」と、一夜漬けの英語で説明をしたりで、一缶の抹茶で実に五十人以上の皆さんに日本のお抹茶を振る舞うことができた。
思いもかけぬ南半球でのお茶会となり、総領事や日本人会の方々はもとより来場のニュージーランドの皆さんにお茶を楽しんでもらえたことが私にとって大きな喜びであったとともに、かくも多くの人が茶道に興味を持っていたことは貴重な体験であり、今後もずっとお茶のお稽古を続けたいと思った。
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2010年2月6日
穏やか初釜
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
ロサンゼルス、西村社中は二月六日、西村宅にてお初釜を致しました。あいにくのロスでは珍しい雨でしたが、十六名の方が集い福茶にてお客様を迎えました。
社中が繋がりながら炭をつぐ
床には「松柏千年翠」 鶴の花入れに松、椿、などが活けられお香入れは「干支の「寅」。結び柳に紅白の椿、そして竹台子に注連縄飾りと江戸千家の初釜に相応しい組み合わせでした。
初座では、お炭点前で「廻り炭」をし、皆で今度はどの様に組合せしましょうかなど、久しぶりの廻り炭でした。
お節懐石膳では、米国レストラン協会会長・上地勝也様自ら料理くださり、我が家に来て鯛のこぶ締めを料理して下さいとても美味しく少し贅沢な気分でお食事を戴きました。
後座では、鳴り物の合図で、席入りし、日本から届きました虎屋の「寅の春」を戴き、金銀島台でお濃茶を堪能致しました。
お薄は、皆で廻り点てをしました。 最後に、福引でそれぞれのプレゼントを戴きとても和やかな楽しい初釜でした。
新年の濃茶点前
お茶をじっくり味わう
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2010年1月11日
郡山初釜茶会を訪れて
幸田宗陽(福島不白会)
ひとつ北上する駅ごとに残雪の量が少しずつ厚くなり、初めて降りたった郡山の空は心なしか低く感じられた十一日の祝日でした。
うすいデパート九階、特設会場に設けられた茶席の芳香は、人、人、人の群れで、その熱気はこの町のお茶に対する関心度が高いことを示しておりました。
一時間半待ちの江戸千家福島支部岩谷先生お社中のお席は、お軸が、お家元筆の「寿」が初春のお慶びを祝ってくださいました。左上の青竹の根元は万両が、そこからたっぷりの柳が中間で一つ大きく結ばれて床に流れ、中央にはうやうやしく神鈴が飾られておりました。その結びリボンが十二単の襲の色のように流し置かれ、その先、右床には大振りの交趾大亀が座を占めておりました。新しい年を迎える喜びを一杯にして迎えてくださいました。
広間は、及台子に薩摩焼、四君子の模様の皆具、遠くからは、玉虫色に光っている大棗。
当日初めて席主を務められた岩谷宗洋先生が、画題「虎渓三笑」のお棗で、“虎渓を渡るまいと誓った僧(慧遠)が陶淵明・陸修静の二人の帰りを送って思わず虎渓を過ぎてしまい、三人ともお笑いと、干支をも掛けまして、”と、ご丁寧にご説明くださいました。時間を忘れてお茶をお楽しみください、とのことのようでした。その間、すがすがしいお点前でお茶を点ててくださり、その手を離れたお茶碗は、加賀光悦写し。拝見で廻ってきたその赤楽土の削ぎの潔さに「きみ、年頭の心の決意は立てたのかネ」と問われているようでありました。
鶴のお菓子をおいしくいただき、お運びで、初舞台なのでと招待してくださった友の新調した着物と帯を美しく着付けた姿に見とれながら、運ばれ来たお抹茶を、それはそれはおいしく頂戴いたしました。後で知ったのですが、多額を費して四つの茶席を作り上げ、毎年行われるこの茶会は今年で四十回目を迎えたとのことでした。岩谷先生をはじめ郡山の諸先生に感謝で一杯の東北のお茶会でした。
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2010年1月10日
初釜で、心新たに
菰原寿子(八女不白会)
炭点前で、ぬくもりに包まれる
まず、待合で家元のお軸『若』を前に、参会者一同挨拶をして席入りが始まりました。
茶室では、山崎宗明先生の初炭点前で、優しい炭の温もり、日本古来の『若松』煉り香による伝統ある美と優雅な香りに包まれました。そんな中、私達は良い気分で先生の創作茶の湯懐石をいただきました。
今日の私達のために、先生は労を惜しむ事なく、数日前から食材を見極め、お酒を選び、初釜を催して下さつたことに、みんな感謝しながらいただきました。作り方を問う場面もあり賑やかでした。
その後、中立、鳴り物の合図で後座の席入りがあり、濃茶をいただき、その後数茶をしました。御菓子や果物、薄茶で和気藹々とした楽しいお茶事でした。
最後に先生の、「今年は口角を上げ目は三日月、いつも笑顔で頑張りましょう」という挨拶を受けて、いろんな思いを抱きながら各々家路に向かいました。
手塩にかけた懐石料理の数々
和やかに年の始まりを祝う
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茶の湯の一年の始まりに
櫻庭宗澄(青森不白会)
新年のお点前
一月十日、青森の木立社中の初釜が行われました。青森の冬は前日春のようなのに一夜明けると真っ白な雪に被われてしまいます。当日もそんな日になっていまいましたが、それぞれ稽古日の違う方々との出会いを楽しみに出掛けました。
お席に入り、まず目に入ったのは見事な柳、枝もたわわに垂れ下がり感動です。床の間の拝見、炉の拝見をし、自分の席に着きました。一年に一度の木立先生のお点前でたっぷりのお濃茶をいただきました。
一年のお茶のはじまり 記念写真
続いて昼食をしながらの福引、大物を当てた方の歓声に拍手です。
午後からは数茶が行われました。数茶はお気軽に愉しみましょうという木立先生のお言葉でなごやかにな雰囲気です。いただいた一服はお濃茶とはまた違う、ほっとする味わいがあり、ついおいしゅうございます、と言いたくなりました。
初釜は新年の挨拶、お稽古初めということでとても緊張する一日ですが、今年も又一生懸命お稽古しようという気持ちにもなれる日でもあります。ますます精進したいものです。
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2009年11月29日
日々精進することへの誓い-乱飾ご相伝をいただいて–
大井清雪(長野不白会)
感激の記念撮影
冬も間近の十一月二十九日、長野不白会支部長先生宅におきまして、三名の先生立ち会いのもと、森泉社中三名が師範の免許状をいただくご相伝式を執り行っていただきました。
この日を迎えるに当たりましては、日々不安と緊張の中で過ごしておりました。しかし当日のお天気がご相伝式を象徴したかのように初冬の穏やかな晴天となり、神様も私達を見守ってくれたのだと思いましたら嬉しくなりました。
【会記】
寄付
床 騎牛帰家 画賛 名心庵
花 姫水木 西王母椿
花入 高麗青磁
本席
床 喫茶去 大亀老師八十七歳書
花 檀香梅 土佐水木 白玉椿
花入 青銅経筒 大西浄林 初代作
香合 金獅子 不白写 牧庵
竹台子飾
皆具 青磁雲鶴象嵌 柳海剛
炉縁 雪月花蒔絵 春慶塗
釜 雪輪紋霰 長野烈
茶入 青磁 柳海剛
仕服 紹鴎緞子
茶杓 雪輪 一元斎
天目台眞塗
茶碗 油滴天目 池順鐸
御茶 星の奥 八女星野園
御菓子 千里虎 彩雲堂
器 古九谷
以上
午前十時三十分頃、寄付で白湯をいただき、お席入り、乱飾りでの支部長先生の流れるようなお点前。目が釘付けとなりました。天目台でいただいた美味しいお茶にそれまでの緊張がほぐれ、格別なお味がいたしました。
中立ち後、懐石、薄茶と進み、最後にお家元からの茶の湯の道号、素敵なお名前を、支部長先生より、ご相伝していただきました。
「これからは皆様で協力して茶の湯を盛り上げてください」という言葉を聞きながら、これまで私達を育ててくださった先生のご苦労が頭によぎり、自然に目頭から熱いものが流れていて、必死でこらえている自分がそこにおりました。今日まで、年齢も入門の時期も様々な未熟な私達を、懇切丁寧に、辛抱強くここまでご指導いただきましたことへの感謝の気持ちでただただ胸がいっぱいでした。
本当に茶の湯に入門し、続けてきて良かったと思います。そして「これからも日々精進していくこと」と決意を新たにいたしまして、御看板と伝書をいただき、帰路につきました。
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