2011年4月20日
神戸の研究会に参加して
家元招請研究会−【茶事実践】
景山典子(岡山不白会)
花に囲まれた神戸の研究会会場で
神戸の渡辺先生宅で行われた研究会に、岡山支部より広野先生と共に参加させていただきました。
他県での会ははじめての参加でしたのでワクワク感と緊張感で前日の夜は眠れない程でした。
当日は新幹線で岡山県より新神戸駅に着くとお弟子さんにお迎えをいただき、さっそくお車で渡辺先生宅へとご案内いただきました。始めてみる神戸の町並みは目を見張るほどでした。
お宅に到着し渡辺先生はじめ社中の方々にご挨拶申し上げますと、「初めましてですね」と笑顔でご返礼いただき、少し緊張感がほぐれてきました。
研究会は茶事の亭主と半東の作法を見学させていただきました。
まずお家元より、茶事とは食事とお酒をゆっくり嗜み会話を楽しむこととのことでした。
しかし普段のお稽古では、難しい部分もあるので、まずは基本のお点前の勉強をしっかりとすることだと感じました。
茶道とは掃除とお料理と相手への心遣いと全てにおいて、日常生活に反映できることだと改めて感じました。
私自身数年前では茶道の基本というよりもその場、その場に身をゆだねて勉強していた事に気づかされた次第です。
さらに東日本大震災の報道に接し改めて自身の行動を省みて、被災者の方々への心の支援をいたしたいと、この研究会に望んで、強く感じた次第です。
この度は、これまでの自らの生活を振り返る素晴らしい機会を与えていただき本当に感銘の多い勉強会でございました。
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2011年4月18日
はじめての亭主
家元招請研究会−【茶事の実践】
田島宗美(八女不白会)
とある茶席の寄付
午前中は各自宅にても茶事、午後は亭主客共に一堂に会し、反省会、その反省会会場に茶室があり、自宅が遠方等の理由で席を持てない方が利用してはと、一席設けることになったそうです。
三月の中旬、「持ち出す道具は少なく、気軽な席にするので亭主を」と声かけをしていただきました。
とある茶席での一献
せっかく先生からいただいた機会なので、できないながらにがんばってみることにしました。
「盆点てでお濃茶を、点心は花見弁当のお重を利用しましょう」と先生より助言をいただき、お席の準備がはじまりました。会場と兼ねあう取り合わせ、「火が使えないからお炭に代わるものを」と色々なおもてなしの仕方を教えていただきました。お客様に楽しんでいただくようにと瓶かけの火を蝋燭にし、食材も季節のものを取り合わせました。
先生をはじめ半東さんの助けがあり、お客様の温かい支援のおかげでどうにか無事に終わることができました。大変な中に楽しんでいる自分がいました。お茶をされている方々が、大変だけど、と言いながら長年続けられている気持ちがわかるような気がしました。
お家元からは、「信」の字をいただきました。添えのお言葉に「他をあざむかない」とあり、お茶に限らず、何事にも自分を信じ相手を信じて生きていきたいと思いました。
このような機会をいただいたことにとても感謝するとともに、よき機会を大切にし、何事にも積極的に参加していこうと思いました。
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2011年4月17日
亭主十分の楽しみ
家元招請研究会−【茶事の実践】
井上宗朝(福岡不白会)
初めての亭主 神妙に挨拶
もてなす場もなく、ろくな茶道具も持っていない自分が、研究会ではあるが亭主を務めることとなった。これまで場所も道具もないからと固辞していたが、「場所と道具はうちのを使えば良いし、あなたは茶碗さえ持ってくればいいのよ」という師匠の黒岩宗富先生の一言に外堀は埋められ、また、水屋は先生が、半島は稽古仲間で一緒に看板を取った高田映雪さんが引き受けてくださり、三人四脚でならばと、腹をくくることとした。姉の影響で家元に入門して七年、就職で福岡に来て七年、三年前に立派なお名前を頂戴したが、結論から述べると、家元には申し訳ないが看板倒れの茶事となった。
場所は先生宅の三畳台目の柳絮庵を使わせていただいた。柳絮庵は福岡での茶の湯の師匠、宗富先生のご母堂で、二年前に亡くなられた黒岩宗如先生の庵号で、今でも柳絮のごとくふわふわと見守ってくださる感じがしており、最初の茶事をここで出来た事はとても幸せであった。いつもやさしく、時に厳しくご指導下さり、また、流派を超えいろいろな方をご紹介下さり、茶の湯の楽しさを教えていただいた。
床には、宗富先生が家元から頂戴した色紙を軸装したものを掛けさせていただいた。
「只 ひたすらに 茶の湯の心」
憧れの境地だが自分の信条から一番遠い心持ちであり、いっそう茶の湯に励まねばならぬと自分への戒めとした。茶碗は、叔父の正雄が就職祝いに福岡でも茶の湯を続けるようにと贈ってくれた唐津を用いた。大ぶりの茶碗で濃茶にはもってこいであった。茶杓は、看板をいただいたときにお礼として稽古仲間五名で宗如先生に差し上げた「四睡」の茶杓から、自分の干支にちなんで「虎」を使わせていただいた。
渾身の料理も並ぶ
宗富先生から「話の種となるから何かお料理一品作ったら?」と言われ途方に暮れたが、行きつけのバーで簡単にできるつまみについてあれこれと相談し、黒豆のクリームチーズ和えと燻製を作ることとした。黒豆とクリームチーズはただ同量を混ぜるだけであるし、燻製は下ごしらえをした材料をセットし燻製チップに火を付ければあとは待つだけで簡単にできる。間違いなく話の種になると意気込み研究会に向けてお点前そっちのけで何度も練習した。大学の教え子達からは「先生また燻製ですか! 僕たちを燻し出さないで下さい」と言われつつ、「まぁまぁ」といろいろ毒味をさせ、燻製する材料をチーズ、ゆで卵と海老に決定した。
正客次客は気心の知れた福岡不白会の姫野宗和さん、青木宗薫先生のお二人、お詰めの随行の播磨さんとは直門を離れて以来八年ぶりの再会で、人も場所も道具も裏方もすべてが万端に整い、あとは亭主である自分次第となった。結論はすでに述べている通り失敗の連続であったし緊張してあまりよく覚えていないが、なにせ楽しかった。お三方には申し訳ないが、一番楽しんでいた気がする。亭主十分の楽しみでなければ良いのだが。
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2011年4月10日
被災地報告
福士宗信(岩手不白会)
去る三月十一日発生の東日本大震災で全国の江戸千家会員よりお見舞い並びに、お励ましをいただき誠にありがとうございました。また、江戸千家全国連合不白会にさっそく義援金募集の窓口を設けていただき心より感謝申し上げます。
避難所でお抹茶を振る舞う
千年に一度ともいわれる未曾有の大震災、特に津波被害で岩手不白会の沿岸部の会員七人は大きな被害を受けました。特に釜石市の会員六人は皆さんが海岸近くに住んでいたとあって何とか避難はしたものの家はすべて津波で押しつぶされ流されてしまいました。このため会員らは現在不自由な避難所生活を送っています。
大震災からおよそ一ヶ月後の四月十日に岩手不白会のお見舞いをもって、家内と二人で会員のいる釜石市の避難所を訪問しました。会員が避難している旧釜石第一中学校体育館の避難所には、およそ百五十人の被災者が共同生活をしていましたが、私たちが訪問したときは昼過ぎで、お年寄りたち三十人ほどが休んでいました。
まず会員にお見舞いを申し上げ、それから持っていった抹茶を点て一服差し上げました。久し振りに抹茶をいただいたという会員は、「まさか避難所で抹茶をいただけるとは思ってもいなかった、とてもおいしく生き返りました」と大変喜んでいました。また、周りで休んでいらした皆さんにも抹茶を点て、差し上げました。
皆さんは「お茶の作法はよく知りませんが、どのようにしたらいいんですか」と尋ね、「どうぞそのまま気軽に召し上がってください」と話しますと、両手で茶碗をしっかりと握り、おいしそうに飲んでいました。そして「抹茶というのはとてもおいしいものですね」と、大変喜んでくださいました。
避難所生活はプライバシーがなくとても大変ですが、抹茶を飲んだ皆さんの顔に、少しほっとした表情が見えたことが何よりでした。私たちも抹茶を差し上げたことがよかったと改めて抹茶の良さを感じました。
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2011年3月26日
茶事の実践
家元招請研究会
新潟不白会
席主を担当した方に家元より贈呈
●楽しみながら準備できたこと ……朴宗永
中野支部長より立礼盆点てで、濃茶の席主はいかがですか? とのお話、怖い物知らずにお引き受けしてしまいまいした。掛物は家元の「一二三」と決めましたが、あとの準備は皆様のアドバイスを受けながら、何回も変更し、よい雰囲気のお部屋にできあがりました。
当日くじ引きで決まった、お正客様が中野先生。ご挨拶の後、お向うの一品とお酒を振る舞いました。蟹の足に竹の子とわらびのたまり漬、防風を添えた一皿、水屋の皆様のセンスで盛りつけられました。「お味もそれぞれが別で、盛りつけも大変きれいにできていますね」とお褒めいただきました。不慣れな会話もお正客のリードで進み、炭点前の代わりに花所望をさせていただきました。一番大事な濃茶は、棗に大津袋を使って差し上げましたが、やや稽古不足だったかもしれません。
水屋の皆様には本当に感謝の一日でした。終わってみると、お客様に喜んでいただければとの思いで一所懸命準備したことでしたが、私自身も楽しんでいたことに気がつきました。夕方からの懇親会で、家元様より御筆の「礼」の色紙をいただきました。
●薄茶点前の亭主に……石川昇三郎
はじめに、お家元のご挨拶で、この度の震災で被害に会われた方々へ、お見舞いのお言葉がありました。今、このようにお稽古ができるありがたさを心に込めてのスタートとなりました。
まず、全員で、柔軟体操、呼吸法、立居などを実践指導いただきました。身体を動かすことで、心身共に軽くなり清々しい気持ちとなりました。お家元の言われる通り、基本的な動作の大切さや姿勢など、普段のお稽古、日常生活でもより意識し、習得できるよう努力したいと感じました。
当日、私は、薄茶点前の亭主を勤めることとなりました。お席の準備、お迎付け、お客様との挨拶、お点前と進めていく中で、お家元から、服紗捌き、茶杓を清める、茶筌通しなど、基本的な動作についての意味やお手本を示していただき、深く理解することができました。
また、お点前ばかりに気を取られ、会話の大切さや、お客様にお寛ぎいただき、お茶を楽しんでいただくことをもっと大切にしなければならないと、反省しております。
今回、大勢の方が見守る中、大変緊張しましたが、お家元をはじめ、先生方、半東役、正客役、連客役、皆様に助けていただき無事終了することができました。充実した一日となりました。
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2011年3月6日
熊谷便り
松崎宗渓(熊谷不白会)
中田先生、本当にお疲れさまでした
雛の節句が終わり、まだ華やぎの残っている三月六日(日)、熊谷の星渓園にて支部総会が開かれました。会議は滞りなく進み、その後、二つのお茶席を楽しみながら、和やかなうちに閉会致しました。
熊谷支部におきましては、ご報告がございます。十六年の永きに亙り熊谷支部を支え守り率いてきてくださいました中田宗節先生が、この度、支部長のお役を退かれることとなりました。小柄な中に誰よりもエネルギッシュなパワー、次々と膨らむアイディア、中田先生のフットワークの良さには皆敬服しております。総会の折、退任のご挨拶の中で、熊谷支部長就任時はご主人様を亡くされ一週間目であったとのこと。当時のお辛い胸の内を初めてお聞かせくださいました。熊谷支部のため、ご尽力くださいましたこと、ここに改めて御礼申し上げます。
そしてこの度、支部長という重いお役をお受けいたしました私、松崎宗渓でございます。熊谷支部が結成されましたのは昭和三十年、今年で結成五十六年目となります。初代より「茶道の継承」「若い世代への伝承」に力を入れてまいりました。私もその志を大切にしてまいりたいと存じます。
今、世界は平和な風が吹いているわけではありません。現状のままではいけない……、誰しもが「何か」を感じ、「何か」を求め始めた、探し始めたと感じております。「茶道」の中にこそ、その「何か」があるのでは……と気づき始めているように思われます。その期待を裏切ることのないよう、浅学非才の私ではございますが、精一杯務めさせていただきます。今後とも熊谷支部をよろしくお願い申し上げます。
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2011年2月13日
グラミー賞おめでとう ロサンゼルス不白会松山夕貴子さん
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
ロサンゼルス不白会二十周年茶会で
米音楽会最高の栄誉とされる第五十三回グラミー賞が二月十三日、ロサンゼルスで発表され、琴奏者の松山夕貴子さんが参加したアルバム「ミホ、ジャーニー・トウー・ザ・マウンテン」が最優秀ニュー・エイジ・アルバム賞を受賞しました。ポール・ウインター・コンソートによる同アルバムは、滋賀県甲賀市信楽町にある私立美術館、ミホ・ミュージーアムにて昨年レコーデイングされ、まさにメイド・イン・ジャパンのアルバムです。
松山夕貴子さんは、ロサンゼルス不白会西村社中で、茶の湯の稽古に長年通っている方です。
二月六日の初釜でも忙しい中、お点前をされました。江戸千家のお茶会ではいつもお琴の演奏と茶の湯をして紹介して、お茶会を盛り上げて下さりもう十年以上になります。
今年の初釜でお点前をする松山さん
松山さんは、お茶のお点前をじっと見つめて、その場で即興演奏をしています。「茶の湯のお点前を見て演奏するのがとても新鮮で、心から演奏に力が入ります。これからも一緒にしていきたい」といつも言ってくださいます。ロサンゼルス不白会設立二十周年記念茶会の時も、お家元から声を掛けて戴きました。
江戸千家の仲間が世界的に栄誉ある音楽部門で受賞された事は素晴らしい事と思います。日本の伝統文化の真髄が世界に向けて大いに羽ばたいていく事を願います。
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2011年1月16日
岩手不白会初釜
星山宗淑(岩手不白会)
初釜風景
盛岡の新しい年は、例年にない大雪の中で迎えましたが、岩手不白会の恒例の初釜は一月十六日快晴の中、百六十名の会員が出席して盛岡グランドホテルにて開催されました。
会長の挨拶の中で、お家元より頂戴した色紙「義」と「礼」のご披露があり、この儒教の二語が本年の岩手不白会のテーマであると話されました。
濃茶席は御初代のお筆「鶴宿萬年松」がかかげられ、御初代のお茶入「布袋」、茶杓「磯の松」を使い、嶋台のお茶碗で大福の濃茶をいただき、新年をお祝いしました。
続いて薄茶席は宗匠のお筆「今日梅友いまだ鳴ずの処」のお軸がかかり、初釜のお席にこの上なくよくあいまして、皆様が感心されて拝見しておりました。干支のお茶碗ともども早春の風情が感じられ、明るいお席でありました。
今年一年卯年にちなみ、会員一同飛躍してまいりたいものであります。点心は三田名誉会長の乾杯のご発声で全員揃って会食し、その後福引きと続き、和気藹々と時間を忘れて楽しい一日を過ごしました。
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2011年1月8日
七事式で新春を祝う
ロサンゼルス不白会
ロサンゼルスで発行されている新聞、日本語新聞「羅府新報」に、ロサンゼルス不白会新井宗京社中の初釜が掲載されました。
以下、転載します(編)
七事式且座で、日頃の稽古の成果を
江戸千家ロサンゼルス不白会、新井宗京社中は一月八日、ロングビーチ自宅の鶴林庵で初釜を催し新春を祝った。
新井社中は日頃の稽古の発表を兼ね、特別正月行事として七事式の且座を行った。
床には「日々是好日」山下顕光老師筆の軸を掛け、棚は山田嘉丙作の木瓜卓名心庵花押入を使った。また、薄器に川北良造作の山中黒棗名心庵花押入、茶杓には十代川上宗雪名心庵作の「松の友」を取り合わせた。
七事式且座の稽古では、花、炭、香、濃茶、薄茶のうち花、炭、香は客方へ所望し、濃茶は東(亭主)、薄茶は半東が行う。まず札を引き各担当を決め、正客(花)は和具名幸子、次客(炭)は榊原美香、三客(香)はマーセリオ宗和、東(濃茶)は景山アン、半東(薄茶)は藤田宗明の役割で行った。半東は東の補助で通い役も行うため最初から最後まで気の抜けない気配りが必要である。
新井社中、記念撮影
七事式の且座は初座から後座へと展開する茶事全体の有様を学ぶ法である。最後の薄茶は廻し点てにして一同楽しみ、且座を通して茶事の醍醐味を学ぶことができた。一挙一動全ての立居振舞いに細心の注意を払い久しぶりに緊張感のある茶事を味わった。
また、懐石には新井宗京師の手造りのお節とお雑煮をいただき、最後に福引で無事に御初釜を終ることができた。本年も基本を大切に、そして日常の暮らしの中に茶の湯の精神を取り入れて行きたいと思う
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2010年12月4日
孤峰忌と追善茶会
一木宗知(福岡不白会)
蓮鶴先生を偲びつつ
十二月四日、孤峰忌と共に蓮鶴先生追善茶会を行いました。昨日までの大変寒くどんよりした天気も当日は晴れ渡り、最高の日和となりました。日本庭園のもみじも紅葉が少し残り美しい光景です。床の間に三具足、不白像、蓮鶴先生のお写真を飾り、お招きした禅宗乳峰寺和尚様読経の中、供茶式が始められました。
点てられた御茶が供えられると、蓮鶴先生のお元気な頃、福岡の研究会においで下さった際の思い出、美しいお点前、時には厳しいお教えなどが、走馬灯のように浮かんで参りました。ご冥福を心からお祈り申し上げます。
続いて和尚様の「人との和を大切に」という説法がありました。夫婦間先輩、後輩、すべて最初の挨拶きちんとできなくてはいけないとのお話でした。茶道も同じことと思います。
午後点心に続き、濃茶のお席を設けました。その折、床の間に会員田中孝様のコレクションから、ご好意により鎌倉時代紺紙金泥経、三昧耶経般若波羅蜜多理趣経の素晴らしい軸を掛けさせていただきました。供茶式に貴重な軸を拝見させていただき、とてもよき孤峰忌ができた事を嬉しく思っております。
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2010年11月27日
乱飾許状式に列席して
疋田宗静(静岡不白会)
一昨年の暮、思いがけず主人の病を得、来年の家元での相伝式に三人の若い人達を連れて行くという責任のみを目的として、一年を過ごしてまいりました。
通いなれたお家元の門前に立ち、歩進めた時の感激は一生忘れることのできない程の思いでございました。
清められた玄関、水を打った中庭を通り、温められた寄付に、研究会でお世話になった先生方にお会いしたときは、嬉しうございました。
床に飾られた、数々のお道具の箱書きも見、三々五々正装で集まっていらっしゃる皆様と緊張して待つことしばし。お家元自らのお迎え付け、入席。間もなく流れるような家元のお炭点前が始まり、続いて奥様お手づからのお懐石、お祝の御酒をいただき、一年分を、ゆったりと味わった思いでございました。
中立ちの後、、白椿一輪、凛と生けられた床に迎えられました。自分自身がいただいたときは、ただただ夢中で、お看板を胸に抱いて夕暮れの街を帰路についたことしか覚えていないのに、この度、台天目、盆点から総合して乱飾へと続く、一連のお点前を夢中で拝見し、自分自身の相伝式のように感じました。
三人の社中、それぞれによい御茶名をいただき、家元自ら許状、お看板を授けてくださいました。その重みを忘れることなく、日本の伝統美をである茶の湯を引き継げるよう、社中一同精進したいと思っております。
どんなことがあったときも、この道一筋に歩んで来て、本当に良かったと思っています。これからも皆と一緒に一歩ずつ歩いて行きたいと思っています。
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2010年11月23日
「貴人清次」を学ぶ
宗康先生招請研究会−【貴人清次】
飯野宗志(甲府不白会)
貴人点の指導
十月に蓮鶴先生とお別れしたばかりの十一月二十三日、山梨県立文学館の「素心庵」において宗康先生に「貴人清次」を教えていただきました。
蓮鶴先生お好みの雲鶴棚を使っての研究会としました。宮澤支部長が体調を崩され欠席され、心細い限りでした。少ない人数の研究会でしたが、宗康先生の「少人数の方がかえってよく勉強ができますよ」というお言葉に励まされました。
身分制度がはっきりしていた時代の点前ではあるが、現代では客を敬うことの大切な点前として学び取ることがある。また、貴人のお供の清次は、貴人に対して十分に気を遣う役目であることがよく理解できました。
午後は、入門して日の浅い者も特別参加させていただき、茶道の基本である挨拶を共にご指導賜り、真・行・草の実践を二名ずつ前に出て行い、緊張した雰囲気の中にも、多少の華やかさも生まれ、楽しい秋の一日を充実して過ごしました。
遅々とした一歩ではありますが、根気よく学んで行きたいと思います。
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2010年11月20日
青森・七戸不白会合同研究会
宗康先生招請研究会−【貴人清次】
田中宗恭(七戸不白会)
研究会の前に茶筌供養の式
○茶筌供養
宗康先生をお迎えして「茶筌供養」を行い、続いて「貴人清次」のご指導をいただきました。会場は茶筌塚の建立地、青岩寺にお願いし、ご協力により準備を進めて当日を迎えました。
午前の部は七戸不白会会長のご挨拶により、ご逝去なされた蓮鶴先生を哀悼し一同黙祷を捧げ、ご冥福をお祈りいたしました。
この度の茶筌供養は久々だったのでたくさん持ち寄られた茶筅を三方に盛って釈迦如来の御許にお供えして始められました。和尚様のしめやかな読経が続く中、宗康先生のお点前により点てられたお茶は、青森不白会会長より厳かに供されました。
そして滞りなく寺庭の一画に安置されている苔色をまとった茶筌塚の前に茶筌の火が焚かれました。
貴人を迎え挨拶
○貴人清次
午後の課題「貴人清次」の研究会では亭主役を担いましたが、貴人を敬う気持ちを動作に表す等々不安を抱えたまま本番に臨んだ次第でした。先生の懇切丁寧なご指導によってどうにか貴人の一服を差し上げることができました。
先生のまとめの講義をうかがってこれまで曖昧でありました台天目と貴人清次の相違点をしっかりと勉強できました。また主従の関係の厳しい時代の茶の心の一端に触れることができた貴重なお話でした。今回のお亭主役の経験から学んだことを今後のお稽古に活かして参りたいと思っております。
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2010年11月7日
「実りの秋」
家元招請研究会−【基本】
野辺宗美(熊谷不白会)
周りの木々も色づき始めた本庄児玉文化会館に、お家元をお迎えし、研究会が開催されました。
午前中はお家元のご指導のもと、「基本の動作」。お辞儀、歩き方、間の保ち方の意義など立居振る舞いを、参加者皆で互いに向き合い、実践致しました。
続いてお香の勉強。香炉の灰作りを拝見し、その美しさに感嘆しました。聞いたお香も素晴らしいものでした。
午後にはお濃茶のご指導をいただきました。私は亭主役を務めましたが、自分のお点前と、お家元の心のこもったおもてなしの違いがよくわかりました。程よい湯加減、そしてお茶の量をはじめ、いかに私がまだまだお客様に対する気持ちが未熟かを、痛切に感じさせられました。お点前の速度、お薄との違い、ひとつひとつの内容が心にしみるようでした。
これからもお稽古に精進していかなければとつくづく思いました。
参加者一同充実感に笑みこぼれ、素晴らしい一日でございました。
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2010年11月3日
青森市諸流の茶会に学ぶ
畑山智恵(青森不白会)
去る十一月三日、地善知鳥神社において恒例の諸流の茶会が開催された。茶道の六流派が参加する中、江戸千家では青森不白会木立先生が席主を務められ、経験の浅い私も社中の一人としてお手伝いすることになり、前日の支度から参加した。
先生のご指導のもと如何にお客様を快く迎えることができるか、会場の設営、道具の取り合わせ等、とてもよい勉強になった。
はじめて目にした、脇床にどっしりと据えられた茶壺。木立先生の茶壺のお話と合わせて茶の湯の長い歴史を痛感した。
当日はお菓子の盛りつけ、点前、半東と、未熟な私にはかなりの大役。日頃先生のおっしゃる「お客様においしいお茶を差し上げる」ということを心にしっかりとめて頑張ろうと思った。
当日の朝早く床に花が活けられた。つわぶきのかげからそっと「照り葉」が覗くのを見て、秋の終わりがこんなに小さな世界に表現されている素晴らしさに思わず感動した。
お菓子を盛り付けているとき、社中の若い方が次のように話しかけた。
「ここの列を少しこちらに角度を変えたら、お客様はとりやすいと思いますけれど、どうでしょうか」。私は、この一言に全身を打たれたような感動を覚えた。私は自分から見た目、自分のやりやすいやり方、それがすべてでした。「お客様においしいお茶を」という精神が、こんな細やかな事にまで及んでこそつながるのだということを改めて考えさせられた。
私の点前は最後だったので、気持ちの上で少しは余裕があるはずが、かなりの緊張でいくつか失敗がありました。しかしお道具の素晴らしさ、お花の見事さ、秀衡塗の見事に大きな菓子器、そしてお客様の感動の声等によって、救われた気がした。
いろいろな面でお客様と同様、私自身の感性が少しずつでも上達すればそれがお客様に通ずる道と、とても勉強になった二日間でした。
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2010年10月24日
「濃茶の基本」亭主と半東
家元招請研究会−【基本】
八女不白会
中立後、床屋炉辺を整える
○亭主として…野口宗千
風炉の濃茶点前が課題です。お家元が奨められている亭主も相伴する新しい濃茶、心をこめて練り上げた艶やかな濃茶をお客様だけに飲んでもらうのではなく亭主も喫する、共に味わう、研究会席中での張りつめた空気の中で濃茶を口にした時、体中に安堵の気持ちが流れました。
きっとお客様と同じ気持ち、同じ思いなのだと実感いたしました。自分の点てた茶の具合を確かめながら程よくのどをうるおして通るお茶に無事お点前が済んだことの安心と喜びで一杯でした。まさに一味同心! 新しい濃茶のあり方早速お稽古に取り入れてみようと楽しみです。
今年の研究会のテーマの一つ、亭主相伴
○半東を担当して…大久保世紀子
以前から自分の立居に不安を感じていたので、よい機会だと思いました。先生方より幾度かお稽古させていただくうちに、半東の「目立たず、急がず、遅れず」の大変さに驚きました。
当日、大勢の方達が見守る中、緊張でぎこちない半東でしたが、家元の指導を受け、無事に務めを果たすことができました。未だ未だこれから……「常」こそ大事と思い当たりました。
立居は、私の永遠のテーマとなりそうです。
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2010年10月23日
名残の茶会
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
やぶれ風炉にて炭点前
(ロサンゼルス不白会西村宗櫛氏が主催した「名残の茶会」が,現地の日本語新聞「羅府新報」に掲載されました。転載します。 編)
茶道江戸千家ロサンゼルス不白会の西村宗櫛社中は十月二十三日、「名残りの茶会」を西村宗櫛宅「錦泉庵」で開催した。「仲秋の名月」を祝う茶会におよそ三十人が参加し、日本の風物詩を堪能する茶席となった。
ベランダで月見、初座で点心懐石のあと炭点前と続き、濃茶席では乗富克久さんが亭主を務め、厳かな雰囲気漂う茶室に十七人の客を迎え入れた。床に掛けられたのは十代川上宗雪筆の「中秋」、時代籠の花入に飾られたすすきと菊が秋の彩りを添える。
香合は名月・吉向窯七世松月、香は秋篠、釜は惣霰地紋鶴首釜・菊池正直作のやぶれ風炉。水指は享保の高取焼細一重口、茶入は宗胡録耳付き写し、茶碗は李朝、替には李朝・高取を使用。茶杓は松斉作の輪島塗の秋もみじ、茶は星野園の星の奥が使われた。茶道を習い始めて十年という乗富さんは、一つひとつ美しい所作で茶を点てていく。
濃茶席のしつらい
薄茶席はお盆付き茶箱で行われ、椎名宗梨さんが亭主、半東を兼子宗理さんが担当。釜は薩摩焼と銀瓶、茶箱は利休形竹蒔絵茶箱・皆具、茶碗は亀甲繋ぎ名月、仕服に奈良古代切れを使用。また茶杓に秋草、茶は星野園の星峰が使われた。松山夕貴子さんの琴の演奏とともに行われた薄茶席は野点風立礼席で行われ、濃茶とはまた違う薄茶の味わいを金平糖と干菓子「秋の吹き寄せ」とともに堪能した。
茶席参加者は日本人だけでなく、渡米してまだ一年というモンゴル人のソゴ・ガンゼンさんは茶席を終え、「日本の伝統文化を体験し、あらためてその素晴らしさを実感できた。また参加したい」と述べ、はじめての茶会を楽しんだ。
濃茶点前
同じく初参加者のミシュエル・ウォンさんは、「畳のある本格的な茶室で茶道を体験でき、まるで日本にいるかのようだった。濃茶の味は苦かったが飲んだ後、身体が浄化されていくような感覚を味わえた」と語り、はじめての茶会を満喫した様子をみせた。
西村宗櫛氏は参加者に対し「日本の伝統文化のひとつである茶道に興味を持ってくれたことをうれしく思います」と謝意を表し、「これからもぜひ参加し、茶道を楽しんでほしい」と今後の継続的な参加を呼びかけた。心温まるもてなしに、参加者一同から感謝するとともに、日本の伝統行事の茶道の奥ゆかしさを再認識する日となった。
立礼の薄茶席
点心を楽しむ
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2010年10月17日
貴人清次-台天目との共通性と相違点-
宗康先生招請研究会−【貴人清次】
竹花宗昭(岩手不白会)
研究会に先立ち、澤野支部長より蓮鶴先生の遺影にお茶が供えられた
はじめに、お床には蓮鶴先生のご遺影と、白いお花が飾られ、支部長の澤野先生が御丁重に供茶をされた後、全員で黙祷をいたし、ご冥福をお祈りいたしました。
テーマは「台天目と貴人清次」。ともに貴人点ながら、その違いは何か? 身分制度のはっきりしていた時代の貴人と清次のあり方など興味深いお話でした。茶会に貴人をお迎えした時、清次の礼節と心配り、清次以下の客同士は極力無言。お点前をする方の心遣いとして貴人にお茶を差し上げるには、新しい道具でお点前をすることを心がける、など、現代にも通じる大切な作法と思われました。
実践として、及台子に皆具、新しい木地の天目台と天目茶碗、高坏の菓子器と貴人をお迎えするための準備をしました。
清次が、亭主の点てた茶を貴人に呈する
しかし、お点前側が不勉強のため、台天目と貴人清次の点前が曖昧で、先生が途中でその違いを丁寧にご指導下さいました。また、清次がいる場合でも、半東が茶室の通口外に控えていることが大事であることも話されました。
貴人、清次、お詰、そして亭主と半東がそれぞれに学びながら役目を果たすことができてほっとしております。
宗康先生が「母が見ておりますので……」と何度もおっしゃっていらしたのが印象に残りました。ご遺影が静かに微笑んで私どもの研究会の様子をごらんになっておられました。
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2010年9月26日
「一味同心」を実感した日
家元招請研究会−【炭、濃茶、薄茶】
児玉宗純(山形不白会)
連日の猛暑日からやっと解放されて、秋の気配を感じるようになった九月二十六日、家元招請研究会が長井市のホテルで開催されました。課題は、「炭、濃茶、薄茶」です。
今回は、主も濃茶を相伴する勉強です。私は、亭主をおおせつかりましたので、お客様との一体感を大切に、考えることに致しました。
当日はまず、体操と呼吸法、立居を学び、ゆっくり、じっくり呼吸を整えての動きに、心が落ち着きすっきりとしました。普段から息を深く吐き出すこととバランスのとれた動きは意識したいと思います。
お濃茶を手回しで送る
茶室「五山草爐」に全員移動して、勉強会が始まりました。
床のお軸は、名心庵筆「天海無尽」。いよいよ初座です。お客様が席入りされ、流れに沿って進みました。炭点前では、濃茶の時の湯相を計る合理的な炭の組み方と、炉と風炉で用いる灰器の灰のことなどをご指導いただき、みなさんがうなずいておられました。お客様との会話はなごやかで、後座で濃茶をいただくには良い雰囲気だったと思います。
後座に入り、点前が始まり途中区切られてお家元の見本点前を拝見し、やはり目的意識が大切であることを再確認しました。
「相伴いたします」は、声に出して相手に伝えること。茶を練る時は、最初の湯をたっぷりと後の湯はゆるめる程度にと指摘され、深く理解できました。
私の点てたお茶が、私の元に差し出され一口いただいた時、ようやくほっとした気持ちになりました。主と客が一碗を介していただく茶事は、亭主にとってもお客様にとっても格別でしたし新鮮でした。心に残る「一味同心」でした。亭主の心得、難しさも実感した一日となりました。
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2010年9月21日
基本の基
家元招請研究会−【濃茶の基本】
中原宗美(青森不白会)
濃茶点前の流れを熱心に見学
例年にない猛暑に見舞われた北の地も、やっと虫の声が似合う季節となりました敬老の日、今年度二回目の研究会が青森市において開催されました。
研究会初担当となる私たちは、緊張と不安の余りつい早口の小走りになりがちでしたが、家元ご指導による柔軟体操と呼吸法によって、身体のコリは少し解消された気はするものの、呼吸はまだ長息には至らないまま、お客様をお迎えいたしました。
炭点前では、下火の大切さ、また拝見の間に空気を通すことで火を起こしやすくするという意味について、そして、お濃茶のときにうまく湯が湧くよう炭火を持続させるための炭の量の工夫等を学びました。
本年度研究会課題の亭主相伴
お濃茶では、服紗捌き、茶杓の清め方、茶筌通しのお手本を、点前の途中途中で示してくださいました。さらに、お茶事では大目のお茶を用い、練り方が美味しさの秘訣であること、無言のお茶とはいえ、適度な会話の必要性等、細かくご指導下さいました。また、今年のポイントである亭主お相伴は、新鮮で納得のいくものでした。
研究会に参加して、今回も自分の認識不足を痛感させられました。特に、基本をお点前の手順であり、所作と考え、その習熟にのみとらわれ、茶事の流れの中でとらえ切れておりませんでした。お迎えしたお客様におもてなしの心を伝え、心和むお茶事とするための基本磨きであることを、遅まきながら気づかされた一日でした。そして、溜め息混じりの長息ですが、お茶に対する思いをじっくり見直す貴重な機会をいただけたことに感謝しております。
青森の前日、同内容の研究会が七戸不白会でも催された
床の間に置かれた家元ご持参の秋の虫「邯鄲」の替わりにとご披露下さいました家元の横笛の音が私たちの不足分を補い、皆様を癒していただけたようで何よりでした。
東京の地で、ゆったりと美声を響かせてるであろう邯鄲に思いを巡らせつつ報告とさせていただきます。
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