2012年6月26日
貴人清次に茶事でのもてなしを学ぶ
家元招請研究会−【貴人清次】
吉岡宗美(高知不白会)
梅雨の晴れ間の六月二十六日、家元招請研究会が、高知市公民館で行われました。今回は、お家元がご亭主になられてご指導くださるとのことでしたので、支部一同大いに期待しておりました。
研究会前日の仕度時、お家元が公民館の広間のどこに点前座を設けたらよいか、貴人の座からよくお軸が拝見できるようにと、ご工夫なさる御姿が、大変参考になりました。ご持参いただいたお掛物は流祖の「福壽海無量」でした。お家元は高知の海を思い持参して下さったとのこと。その御字の素晴らしさに一同感嘆して拝見致しました。
亭主の挨拶があり、お膳が運ばれます。亭主(お家元)は、笑顔で「まず、一献」とお勧めになり、座は自然と和んできます。半東も東の動きをよく見て、絶妙な間のとり方でお手伝いされます。お炭点前になり、その自然な運びに心を奪われ、ここが研究会のお席である、ということを忘れ、まるで本当の茶事を拝見しているような感覚に捕らわれました。
中立の後、銅鑼の音で後座が始まり、お床には、手桶に祇園守りとたいまつ草、縞葦がすっきりと入っています。瑞々しく露が打たれて見るからに涼しそうです。お家元ご持参の七官青磁のお茶入から流祖のお茶杓「常磐木」でたっぷりのお濃茶が点てられました。初めて七官青磁を拝見させていただき、その淡い青緑色が目に焼き付き、お茶杓の美しさと相まって、ため息の出る感動でした。
お家元のご亭主振りを拝見して、亭主がその茶事の空気を作っていくということを改めて感じ、お家元の提唱される「もてなすお茶の実践」を、支部一同深く心に刻んだ一日でした。
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2012年6月24日
ホタル愛でつ夜咄の茶事
影山直美(福島不白会)
福島民報社に掲載された写真から
さる六月二十四日、涼やかな風が肌に心地よい夕べに、岩谷宗洋先生のお宅でホタルを観賞しながら茶事をおこなうことになりました。
ホタルはこの時期になると、郊外の水路や田んぼで、飛んでいるのを見ることができますが、町中で、ホタルが飛び交う河川を復活しようと取り組んでいる「南川ほたる愛光会」の協力を得て、その会長さんにもご出席していただきました。
部屋には手燭の灯りがともされ、「清流無間断」のお軸のもとに、大きな水槽にたくさんの美しい光を発するホタルが放たれています。
ご亭主は岩谷宗洋先生、正客には金田恵雪さん、次客にほたる愛光会の会長さん、詰は根本宗久さんが務められ、岩谷宗清先生のご指導のもとにお茶事はスムーズに進み、季節の食材を用いた心のこもったお料理に亭主のもてなしの心を感じました。
正客の金田さんからはその都度作法や料理について説明をしていただき、お茶事の流れを学ぶとともに、普段のお稽古の一つ一つの所作の意味が理解できたように思えます。
「ホタル愛光会」の会長さんには、ホタルの飛ぶ様を身近に見ながら、様々なお話を伺うことができ、地元の環境改善活動の取り組みについて、お茶を通じて理解が深まったことに、とても心が満たされたひとときでした。
濃茶が出される頃には手燭の薄明りのなかに、ホタルも点々と光を放ち思い出に残るお茶事になりました。
ホタルの放つほのかで優しい光に一同幻想的な気分にひたりながら散会致しました。
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2012年6月10日
高田不白会青年部「青峰会茶話会」
高田不白会青峰会
●吉田悠雪
小雨に潤った直江津五智の緑は一層鮮やかでした。山の傾斜に沿って進む足元の可憐なササユリの姿に立ち止まりながら山荘へ向かいました。六月十日は、高田不白会青年部「青峰会」で計画された茶話会の日。陶芸家木村邸で木村先生を囲み交流会が開催されました。山荘の床にはお家元の「駒鳥」の色紙、そして白きハマナスの花が生けられてました
。
竹田会長のお道具でテーブル茶、六人それぞれに世の喧騒を忘れお茶に親しみ、茶の心を学ぶことの喜びを感じていました。眼下に空と海が溶け合って雨色が美しく心捕らわれます。この日、粘土と轆轤の体験、手打ちそばの昼食、茶室でのお茶一服などが企画されました。この「青峰会」を皆さまと共にさらに活発化し、学び合い、お茶の味わいを楽しめるように、進めてゆきたいと思います。
ひたすらに茶のこころ裡に持ち行かば 雨空の下賛美に潤う
◇ ◇ ◇ ◇
●小笠原孝雪
山小屋でテーブル茶を楽しんだ後、麺切りと天ぷらをご馳走になりました。手をかけられた材料のお話を聞きながら、自然の恵みと料理された方の手間を味わいました。
丘の斜面にある敷地を散策し、園芸の話でひとしきり盛り上がってから、お弟子さんの指導で轆轤台の体験をしました。何とか形になった時は大変嬉しく、皆で作品を並べて喜び合いました。
「それでは小間の席へどうぞ」とのお声がけに、普段着の私達は戸惑いながらも、躙り口へと向かいました。床の間に掛けられた大きな夕顔の花入に、ゆったり入った笹ユリと山荷葉が印象的なお席でした。
静かなほの暗いお茶室で薄茶をいただいていると、今日のおもてなしが次々と頭に浮かんできます。出会い、語り合い、笑い合ったことが皆、この一服へと繋がっていたと感じられ、感謝感激に包まれました。
「お点前を替わって下さい」と勧められて、我に返って立ち上がりました。せめてものお礼に心をこめた一服を差し上げたいと思いながら。
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2012年5月27日
「軸飾り」「花入飾り」を学ぶ
宗康先生招請研究会
堤 宗誠(八女不白会)
「軸飾り」の目的は、特別なお軸をお客が初座に入席後に披露すること。正客とのやりとりや名物軸の扱い方等、普段のお稽古ではできない「軸」の飾り方、仕舞い方など勉強することができました。日常の床の軸かけにおいても丁寧な扱いをする心のゆとりが大事なことだと思いました。
「花入飾り」の研究会では、はじめてのことで戸惑いましたが、初座において花入に水を入れずに床に飾り、客に「拝領物」「名物」の「花入」を観賞していただくこと。後座にての花所望では花入に合う花を選ぶこと。適量の花を準備すること、そのことに関連して、花入飾りは特殊な趣向で、普通の茶事では花入よりも花に重きを置き、その花に見合う花入を選ぶものであるが、どうしても花入が先行しがちであること等、大変有意義な研究会となりました。
「軸飾り」「花入飾り」とも普段のお稽古ではできないことなので、半東の役割などを踏まえて、研究会に参加できましたことは大変よい勉強になりました。
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「世界のお茶の祭典」で茶の湯を紹介
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
ナレーションで解説しながらのお点前
今年も、五月四日~二十七日まで、「Tea Lovers Festival」 〈世界のお茶の祭典〉が、ロサンゼルスのカルバーシテイで行われました。
世界各地のお茶の紹介と、お茶を使用した料理などの紹介が、毎回行われました。
五月二十七日最終日、日本のお茶の紹介として、江戸千家ロサンゼルス不白会、西村社中によりお茶会が行われました。午後三時三十分。四時三十分、五時三十分の三回。八女の星野園のお抹茶を、虎屋の干菓子と共に、大勢の外国人達がお堪能されておりました。英語のナレーションもつきましたので、皆さんお点前に興味を示し見つめておりました。飲み方の指導もあり、初めてのお抹茶を美味しそうに飲んでいました。
初めてのお抹茶
「風薫」の短冊を掛け、お花は竹の子と菖蒲が飾られました。道具の拝見では、活発に質問もありました。その後是非、茶の湯のお稽古をしたいと、若い男性がお稽古に早速来ております。日本の精神文化が伝わっているのでしょうか。アニメまんが「へうげもん」を見ている若者が意外に多いことにも驚かされます。
日本の伝統文化である茶の湯の精神が、世界に正しく伝わることを願っています。
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2012年5月20日
第五十一回 高田不白会茶会
高田不白会
広間席 床
●豊かな一日……牧井市雪
新緑の五月二十日、第五十一回高田不白会茶会が東本願寺高田別院で開かれました。
二席が設けられ、座敷席は岡田彩雪先生担当でした。家元好の四方棚と古唐津の小ぶりの水指で色合い落ち着いた取り合わせはすばらしいものでした。
私は、広間席の保坂宗洋先生のお手伝いをさせていただきました。床は流祖不白の竹・画賛がかけられ、すっきりとしたさわやかな感じを受けました。またこの日のためにと、五智窯の花の蓋置がつかわれて、お客様との会話もはずんでおりました。午前は水屋担当になり、午後に半東を務めましたとき、はじめにお点前の方と一緒にあいさつとのこと、出過ぎず控えて補佐する大切さを、あらためて実感いたしました。
正客様、皆さまから「お薄のお湯かげんもよろしくて、おいしいですね」と言っていただき、うれしく思いました。天候にも恵まれて、心豊かな一日でした。
◇ ◇ ◇ ◇
座敷席床 大徳寺大綱栄彦 和歌「茶」
●新たな一歩……岡田彩雪
今年の支部恒例の春の茶会では、座敷席を担当致しました。身近にある花を用いお好みの四方棚を中心にお道具組を考え、雪の片づけの疲れが残る参加された会員の皆さまにおいしいお茶を楽しんでいただけるよう心掛けましたが、席主としての反省点が多々あり心残りがありました。
一年前の五月、支部創立五十周年の記念茶会を無事終え今年は五十一回の茶会でした。一年も欠けることなく続けてこられた先輩の先生方のご尽力とご苦労を心にきざみ、後に続く私達も毎年楽しい茶会を継続していくよう、努めてまいりたいと念じております。
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役割の中で茶事の流れを学ぶ
家元招請研究会−【台天目】
大谷宗節(群馬不白会)
薄暑の五月二十日、高崎市暢神荘にお家元をお迎えして「台天目」を課題に研究会を行いました。床にご持参下さいました流祖筆による「無心雲自閑」一行物が掛けられて、研究会に入る前に体をほぐす体操や気功を教えていただき呼吸を整えました。
お家元(亭主)、随行で参加下さった瀬津様(半東)、宮下支部長(貴人)、家元教場研究会参加者(清次三名)、河田副支部長(水屋全般)の役割で始まりました。皆さまの注目される中、私も清次の一人として勧められるまま一献いただきましたが、緊張のためたちまち顔がほてってまいりました。
中立ちで暫し家元の横笛「青葉の笛」を聴かせていただき、心身ともに癒されました。
後座では、床に白芍薬と都忘れが清楚に活けられて、静寂の中、家元の凛としたお姿と悠然としたお点前に感動致しました。会員の皆さまも同じ思いでご覧になったと思います。
今回の研究会で亭主と半東の運びが自然に進められる様子を拝見しながら、茶事の流れがよくわかり役割をいただいた事を心より感謝申し上げます。
茶道を通じて成長させていただいていることを実感致しております。
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米棚十三通りの飾り方
宗康先生招請研究会
七戸・青森不白会
・七戸不白会……盛田宗蛍
宗康先生をお招きし、青森不白会との合同開催で、「米棚、十三飾り」を学びました。青森の前会長の岩崎先生が久々にお出まし下さっての会でございました。
勉強不足のまま一夜漬けで臨み、度々手が止まったため、そのつど懇切丁寧にお教え下さいました。ぼーっとした頭に、何故こうするのか意味を解ってするように、また、座る位置をきちんと、というお言葉が残りました。
会場には何の設備も間切りもなく、ありったけの衝立を持ち込み、置床を据えて、隠元のお軸を掛け、「二王」と銘された竹花入に白の山吹と黒百合を入れました。
前夕、七戸到着後、会場を見てくださった宗康先生が、父にお会い下さるために突然我が家へお立ち寄りに成られました。
また、先生がお帰りになった夜の母の夢は、お返しとばかり、宗康先生のお宅へ母を先頭に四、五人で押しかけたものだったとのことでした。
今回の研究会では、先生一流のチクリとしたユーモアに色々教わりました。また、「皆さん、いい流派にお入りになったと思いますよ」という一言に江戸千家、そして宗匠への思いが感じられました。
・青森不白会……吉川恭子
今回の研究会は「米棚 十三通りの飾り方」が課題として取りあげられました。天板、地板の間に中板が二枚という棚は少なく、不白の格別のお好みの棚であったとのことです。両器飾り、総飾りなど、またその他、バリエーションをいろいろと楽しめる棚だということでした。
大切なことは、飾り方の形だけではなく、どんな時にどの飾り方をするのか、茶事での展開を含め、その用途を理解することであるとのことでした。お点前を始める時の飾り方と仕舞いの時の飾り方、拝見の所望のある時とない時の飾り方、またその他の飾り方など、詳しくご教授していただきました。
午後は、「濃茶点前」に関連したお稽古をいたしました。仕服と茶入の扱い、服紗の捌き方、茶入の清め方など、一つ一つの作法について、丁寧に教えていただきました。割稽古で疑問点をなくしておき、それから全体のお稽古をするのが良いということをあらためて実感いたしました。
宗康先生のご指導の下、前に出て所作を行う方々と見学者が一体となって練習でき、充実した中味の濃い研究会だったように思います。
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2012年5月6日
相伝物 「盆点」—客として参加
家元招請研究会−【盆点】
土田宗春(新潟不白会)
まずは、和やかに一献。珍しい食材も。
「今度の家元招請研究会の役目は次客ですよ」と言われ、緊張と胸の高鳴るのを覚え、その日を迎えました。今回の研究課題は盆点での茶事。ご亭主はお家元。半東は、随行の水口さん。正客は中野支部長。次客が私で詰は森田宗久さん。
茶事が始まりました。お軸は大龍宗丈の一行「青祚見主恩」が掛けられました。
まず一献ということで八寸懐石が出されました。品数は三種盛り付けられており、そのうちの一品は、真っ白でふわっとしていて、底が丸くなっている上にクリームのような物が乗っていました。これは百合根にクリームチーズを乗せたもので、とても相性の良い味でした。さらに山菜のコシアブラ。少し塩味で、バージンオイルがかけてあり、香りがとても良く美味でした。海のものは新潟の特産品でもある鮭の酒びたし、お酒をさらに美味しくしてくれました。お家元も、ご相伴なされ話も弾みました。
家元の濃茶点前が厳粛に行われた
さて銅鑼を合図に後座の開始です。床の間には見事な熊谷草が、節の下が白になっている尺八形の黒竹の竹花入にすっきりと立っておりました。いよいよ濃茶点前、ご持参の銘「玉水」の茶入から汲み出された茶をゆっくりと、丁重に練り上げたお濃茶をいただき、誠に至福のひとときでした。
毎年家元招請研究会に出席していますが、今回のようにお家元御自身が亭主をなされた会は、はじめてです。客をもてなす意味、また、心から茶を点てる事等。お点前も大事ですが、穏やかな会話、相手を思いやる心も大切だと改めて肝に銘じました。
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2012年5月3日
遍照院茶会にお招ばれして
黒岩宗彌(久留米不白会)
五月三日、森田宗尚社中の茶会が催されました。まず四畳半の間で薄茶をいただき、続いて台目席で濃茶、点心をご馳走になりました。新緑が眩しい初夏の一日、心地良い時が流れます。
省みれば昭和六十年、故森田宗香先生をお迎えして、第一回の茶会を行った茶室です。当時若かった社中の仲間で「若葉会」というグループを作り、濃茶席、薄茶席、野点席の三席を順番に担当し、客になったり亭主をしたりの勉強会としてスタートしました。
春の恒例の催しとして、二十年近く先輩方も楽しみにして参加して下さっていたと思います。数年のブランクがありましたが、三年前から再開され、今回は客として出席することができました。
温かく指導、見守り続けて下さった今年十三回忌となる亡き師を偲びつつ、現在、自宅で点心を準備し、お茶を愉しめることに感謝の日々です。
…………
遍照院(へんじょういん)
久留米市内、お寺が連なる寺町十七ケ寺の一寺院である。勤皇の志士高山彦九郎の墓がある。鞍馬の赤石や北山杉を配した京都風庭園の中に京都から移築した茶室「以白庵」がある。
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2012年5月2日
感動した研究会
家元招請研究会−【相伝物:盆点】
神農宗洋(長野不白会)
家元を囲んで記念写真
春遅き信濃にも待ちわびた桜が咲きほこる五月二日、小諸花岡亭に宗匠をお招きしての研究会が開かれました。
今回は、相伝物-盆点ということで、わざわざ東京より、お道具をご持参され自ら亭主を務めていただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。
初座は、お炭点前、続いて八寸とお酒が持ち出され、終始和やかな時間が流れていきました。ここで私が特に感動したのは宗匠の座掃きの見事さです。自然体で流れるような所作。宗匠からは「いつもしていることですから」というお答えが返ってきました。常日頃の行いが大事であり、身が引き締まる思いでした。
後座は、螺鈿細工の盆に玉水という銘の茶入が置き付けられ、お盆点ての点前で一服のお茶が心をこめて点てられます。ゆっくりとした時が流れる中、悠久の時を越え幾多の人たちに愛でられたお道具たちが今、私の目の前にある。なんとも不思議な空間でした。たっぷりと点てられたお濃茶は、とても良い香りが漂い、私も一服いただきたいという思いがわき出てしまいました。
今でも宗匠がゆったりとお茶を点てられる姿が目に浮かびます。お茶は、亭主が主客に感動、驚きを与えるために心をこめ、席のしつらえをすることが一つの醍醐味だと改めて学び、この気持ちを忘れず、これからも精進してまいりたいと思います。
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2012年4月29日
各種お茶入の扱い
博子先生招請研究会
渡邉 宗翠(福島不白会)
四月二九日、満開の桜の佳き日、白河の南湖公園、松楽亭に博子先生をお招きして研究会を行いました。
今回は四滴、手桶、耳付茶入、肩付茶入など十四種類のお茶入を準備し、ひとつひとつの茶入の扱い方、茶入の清め方、片づける時の注意点などを詳しくご指導していただきました。四滴は、茶入の形の特徴で、清め方、扱い方の違うことを話していただきよく理解することができました。
蒔絵のものは広間で、竹や蔦で作られた物は小間で使うなど、素材で使われる場所が異なることを茶入を見ながら学ぶことができました。また、服紗捌き、茶杓の拭き方など、基本の動作も丁寧にご指導いただきました。
研究会の最後に今回準備した茶入の中から、大渡しと手桶の茶入を使い二回お茶を点てて皆でいただきました。
たくさん学んだ後のお茶でしたので、格別においしく、一服のやすらぎのようなものを感じることができました。
研究会のあとのお稽古では、今まで無意識に行っていた服紗捌きもひとつひとつ確認をしながら行うようになり、ひとつの所作にも深みが出てきたように思っています。自分の点前の所作を振り返り直す、よいきっかけとなり、大変勉強になりました。
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2012年4月28日
古典・相伝物に学ぶ−詰として参加して
家元招請研究会−【盆点】
瀬戸島宗芳(久留米不白会)
あざやかな新緑に囲まれた少林寺内で、家元招請研究会が行われました。
今回の課題は、古典相伝物の中の盆点でした。初座は、季節の旬の物が五種盛り付けられた八寸で一献。懐紙に取り分け楊枝でいただくという簡単な形式でしたが、その中で亭主としてのお家元のお話の進め方、客への心配りを学びました。我が家の畑の作物の話題にもなり、緊張した気持ちもほぐれ、中立ちとなりました。
盆点とは茶入を大切に扱うという気持ちの表れとして、盆にのせて点前を行うということだそうです。茶碗、濃茶器、茶杓や盆など、お家元が持参されたお道具で厳粛な雰囲気の中、点前が進みます。お道具一つ一つを丁寧に拭き清められる所作に点前の心構えを学ばせていただきました。道具には所持者、伝来の経緯など歴史的背景があり、それを知るのも一つの楽しみです。茶の湯の奥深さを感じながら拝見しました。
初座、後座を通して、茶事とはお客様をいかに心からもてなし、そして自分自身も楽しむこと。常日頃お家元が言われますように、場所、道具にとらわれない自分なりの茶事をすることが大切であると改めて感じました。
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2012年3月19日
相伝物-盆点
家元招請研究会-【盆点】
田中宗恭(七戸不白会)
濃茶の前に炭点前と一献
三月十九日、研究会の当番をいたしました。ご亭主は宗匠、半東は随行の瀬津様、客の三人は会員から決まり、「八寸」を組み入れたお茶事形式における「盆点」をご指導いただきました。ご亭主、半東は茶席の設定にはじまり、すべてのご準備を整えられました。直々のお手本を拝見でき、大変勉強になりました。「盆点」の意義、唐物名物茶入について講義していただき、体操に心身の緊張を解きほぐしての実践となりました。
貴重なものを大事に扱う所作
初座は主客の会話に耳を傾けました。飾られた唐物茶入の、挽やに記された「玉水」のご銘のことやお茶入の形、三枚のお仕服の由来を学びました。そして、お炭点前、続いて八寸とお酒が持ち出され、お亭主のお相伴によって、より時間をかけられた和やかな光景を楽しませていただくことができました。
亭主も相伴
後座には、螺鈿盆に「玉水」が置き付けられ、銅鑼による迎え付け、花入には山茱萸の黄と藪椿が入れられました。
ほどよいお釜の煮えの中、心を込めてゆっくりと練られるお濃茶にしばし見とれ、静寂のうちに時代を経過したお道具が命あるごとくお点前を従えているかのように感じられました。そしてたっぷりと点てられたお濃茶に感動いたしました。
また、服紗の真・行のさばき方、膝行膝退、亭主と半東の「間」の取り方なども勉強できましたので、これから自分に活かして参らねばと思いました。
宗匠のお点前による「盆点」。この拝見が叶い、終了後も貴重なお道具や主客の交流の場と共に美しく眼の奥にかがよう幸せな一日でした。
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2012年2月26日
米棚の飾り方 十三通り実演
宗康先生招請研究会
小泉恵雪(岩手不白会)
二月二十六日、まだ雪深い盛岡に宗康先生をお迎えして、研究会が行われました。
午前のご講演に続き、午後に「米棚の飾り方 十三通り実演」のご指導がなされました。実演担当の私は、宗康先生のお話に耳を傾け、ロボットのように、ご指示通りに点前を進めることに務めました。そんな中、お点前の流れの一部だけ(棚に飾り、それを解く)を繰り返すことの難しさを痛感し、日頃の精進の足りなさに反省しきりでございました。
教本に、十三通りの説明がありますが、実践と結びつけると疑問が湧いてまいります。先生の解説でその疑問が一つ一つ解き明かされていきました。特に、どのような場面で使う飾り方かをイメージするいことの大切さを納得いたしました。宗康先生のお手本を会員皆が注視していました。また、癖は自分では気が付かない曲者です。ご指摘いただき、このお役をいただいたことに感謝いたしました。
例年は十月の気候のよいときに行われますが、今年は岩手不白会八十周年行事のため厳寒の候に行われました。充実した研究会でございました。
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2012年1月28日
ロサンゼルス不白会 初釜
ロサンゼルス不白会西村社中
濃茶で、一二三
一月二十八日、江戸千家ロサンゼルス不白会西村宗櫛社中で、初釜が行われ、その様子が現地日本語新聞「羅府新報」で紹介されました。記事中より一部を要約し写真とともに紹介します。
◇ ◇ ◇
「初釜で茶道への理解深める 新春の一服を堪能」
正月にちなみ、茶室には結び柳と紅白梅、床には羽鳥西恒筆「松柏千年翠」、鶴の花入には、松竹椿の他、庭に咲き誇っていた桃の花も添えられた。初座の炭点前では、亭主は「皆様の運勢が、天に昇る龍のように上昇し、今年も良い年になりますように」と、挨拶。手づくりの料理に続き、濃茶席では西村支部長を正客に、点前の採点をし互いの上達を見る「一二三」を行い、薄茶の席では客の振る舞いの心を学ぶ「数茶」を行い、それぞれ新春のお茶を堪能した。
西村師は、「いたるところに今年の干支が生きており、新年のめでたい気持ちとともに大変おいしくいただきました」と感想を述べた。七事式の中の二つを経験した参加者からは、「ゲームをしているようで楽しかった」との感想が聞かれた。
◇ ◇ ◇
なお,記事全文は,次の羅府新報のWebページでご覧いただけます。
○
羅府新報記事:「江戸千家ロサンゼルス不白会:新春の一服を堪能」
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2012年1月7日
初稽古
高野宗廣(茨城不白会)
新年、一月七日、自宅で初釜を催しました。時間と労力を惜しまず、心からの「もてなし」を心がけ、大勢で参加する和やかな茶会をテーマにしました。昨年の暮れに、試行錯誤しながらの会記作り。徐々に気持ちを高めていきました。掛物は「無事是吉祥」竹台子、皆具は唐銅。茶碗は萩。十一名の客を迎えました。
席入り後の献茶に始まり、炭点前をし、しばし湯音に耳を傾け、この静寂な心地よい時間を過ごせる事に、心から感謝いたしました。茨城支部では、昨年は皆で楽しみながら稽古ができる「花月」を数多くしましたので、それを実践してみようと思いました。
初めは、花付き花月。次は香付き花月。香銘は、「梅の香」。休憩を入れ、続いて懐石料理が運ばれ、和やかに寛いだ雰囲気になっていきました。私が凝った一皿は幸運が重なりますようにと、食材に「ん」が二つ付く物。銀杏、半片、隠元、人参、蓮根、金柑。等々十二種を盛り込み、南天と金粉で飾った料理。笑い声が上がり、指を折ったり、声に出したりと、話がはずみました。お酒は甘酒。熱いうちにと気になる一つでしたが、満足していただけた様でした。
中立ち後、最後は、いよいよ濃茶付花月。菓子は、富貴豆を栗きんとんで包み、花芯は梅肉で色付けしてみました。銘は「白梅」。集中した数回の練習の成果も出て、やっと安堵の面持ちになっていきました。茶銘は「妙寿」、詰は伊藤園、茶杓は「希望」。
なるべく自分らしい手づくりでと心がけた初釜を兼ねた初稽古は、十時から二時までの四時間。終わってみれば、あっという間の感じがします。
この年が、平和で健やかでありますよう、切に願い手を合わせました。多くのお仲間の方々と、お茶の稽古を楽しめる幸せを噛みしめた年のはじめでした。
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2011年12月3日
ご相伝に臨んで
大井朝雪(長野不白会)
あこがれの看板を手にして
十二月三日、支部長宅のお茶室にての相伝式で師範のお免状をいただきました。
最初にいただいた茶通箱の許状から乱飾の許状は書物でした。師範になりますと、お看板もいただき、そこにはやさしい書体で、師範と道号が書かれておりました。適度な重さのお看板を手にして私がお茶の師範を? いいの? と一瞬思いました。自分の未熟さを感じて修行中なのにいいのかな……と思ったのです。
若いときから「お茶」、この言葉の響きに何か心が癒される感じをもっていました。いつか茶道を学びたいと願い、五十代半ばで始めました。意欲はあっても身体がお茶バージョンになかなかなれません。また、茶道の世界は幅が広く、その一つずつの奥がとても深いと驚きました。「喫茶去」、その意味を知ったとき、なんとお茶の世界は話のわかる気持ちの大きな世界なのでしょうと思ったものです。ところがお茶の世界を少々知った今、この言葉はお茶を点てる人、お茶をいただく人がともにお茶を深く理解している、その時に使われることがもっともふさわしいということがよくわかりました。
しかし、あまり考えず前向きに、師範のお免状はやっと茶道入門を許されたものとの言葉を思い出し、これからお看板に恥じぬように精進しようと思います。
先生、先輩、仲間の皆様、そして協力してくれている家族に感謝し、また人生の最終章で魅力ある趣味に出会えたことにも感謝して精進しながら「お茶」を楽しみたいと思っています。
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2011年11月27日
台飾りと続き薄茶
宗康先生招請研究会
宮川宗貴(福岡不白会)
研究会のテーマが一度もお稽古をしたことがない「台飾り」ということで、その亭主役をすることにとても不安な気持ちで当日を迎えました。
台天目を簡略化したものとはいえ、日頃、供茶等以外で、お客様に天目台で茶を出すことも、客となっていただくこともありません。
宗康先生から細かく一つずつご指導いただいたことで、基本的な所作、お客様に対する心遣いをこれから先の茶事に実践していければいいなと感じました。不安から始まった一日でしたが、研究会の後はとても充実した気持ちになりました。
午後は続き薄茶でしたが、普段曖昧になっていた基本をしっかりおさらいしました。日頃実践することも多く、あらためて勉強になりました。
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2011年11月23日
台飾りと付薄茶
宗康先生招請研究会
望月宗盛(甲府不白会)
天目台を飾る
甲府不白会では宗康先生をお招きし「台飾りと付薄茶」の研究会を紅葉の森の中にあります山梨県立文学館の「素心庵」で行いました。
「台飾り」は台天目の省略点前・台天目平点前と書物には記されています。どんな心構えで点前を進めるのか、研究会当日まで不安でした。
宗康先生の到着を待って、茶席、観客席が設えられました。そして漠然としていた気持ちが落ち着き徐々に亭主役を勉めさせていただく心構えを感じ始めました。
最初の講義で、客を大切に敬い、心からの点前を精神性をこめてするようにと教授して頂きました。
心と身体が一体となり、おもてなしをするしぐさを懇切丁寧にご指導していただきました。心を表現する難しさと茶道の奥深さをしみじみと感じました。そして生涯勉強の世界であることを再認識できました有意義な一日でした。
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