2025年6月7日
青森名心宗匠招請研究会
名心宗匠招請研究会 〈課題:体操・小習〉
三國宗裕(青森不白会)
名心宗匠をお迎えし、「体操」、「小習・風炉の灰」をテーマに研究会が開催されました。まず、宗匠がご持参された、詩人・フランス文学者である堀口大学先生の掛け軸を鑑賞させていただきました。「富士山 髙く つつましく」の書からなるお軸に、改めてお稽古の心のありようを考えることができました。続く小習では、二種類の風炉にそれぞれ遠山と丸灰押切りの灰型を皆様で作成しました。宗匠からは、灰の量や丁度良い火袋など細かなご指導をいただきましたが、特に、「客人を想い、本気で取り組むこと」という言葉が心に残りました。
その後、体操で身体と心をリフレッシュさせてから、作成した風炉の灰で炭手前を行いました。美しく作った灰を崩してはならないということに心を奪われ、肝心の釜の湯が不足しておりました。「お稽古がそのまま実践に現れる」との宗匠のお言葉に、お稽古での「本気で取り組むこと」の不足をご指摘いただいた思いでした。最後に、随行の方の左利きのお点前を初めて拝見させていただきました。このように、多くを学べた研究会でしたが、溌溂とされた宗匠にお会いできたことを最も嬉しく感じました。今後は「本気で取り組む」を忘れずに、謙虚に学んでいきたいと思います。
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2025年5月25日
中田宗節先生白寿のお祝い
曽原宗香(熊谷不白会)

令和七年五月下旬の晴れ渡る日曜日、社中の門下生十二名が集い、中田宗節先生の白寿をお祝いする宴を催しました。日頃より先生を支えていらっしゃるご長男もご同席くださり、美しい季節の料理を囲みながら、笑顔あふれるひとときを過ごしました。
この日、生徒一人ひとりが先生のお耳元で祝福の言葉をお贈りしましたが、みな、長寿を寿ぐだけでなく、先生への尽きぬ感謝の想いが込められていたことが印象的でした。先生のご指導のもと茶道を学ぶ幸運に恵まれた慶びを、改めて噛みしめる一日となりました。
白寿を迎えられた今もなお、中田先生は変わらぬ情熱をもって、稽古のある週は、生徒を二班に分けてご指導くださっています。ご自宅の稽古場の準備はご長男の支えをいただきながらも、稽古が始まれば、門下生一人ひとりの習熟度に合わせて的確な課題を示し、こまやかなご指導を惜しみなく施してくださいます。その深遠な知識に触れるたび、学ぶべきことがまだまだ尽きないことを実感し、改めて茶の湯の奥深さを感じます。

先生から学ぶのは、作法だけではありません。茶道への真摯な向かい合い方、心を込めた準備の尊さ、相手を思いやる心、そして生き甲斐を持つこと……。そのすべてを溌剌として凛としたお姿を通じ、今もなお教えていただいております。
今回のお祝いの宴は、先生に喜んでいただきたいという思いで門下生一同、心を尽して準備いたしました。しかしながら、宴の終わりには、先生の変わらぬお元気なご様子とあたたかなお言葉に触れた私たちこそ、幸せな気持ちを抱きながら帰路につきました。
中田先生、いつまでもお健やかでいらしてください。まだまだ学ばせていただきたいことがたくさんあります。次のお稽古を、心より楽しみにしております。
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2025年5月5日
塙保己一先生生誕祭
今井光雪(熊谷不白会)
五月五日は、郷土の偉人塙保己一先生のお生まれになった日です。
ご命日の九月十二日は、明治の頃より地域の子どもたちも参加して墓前で法要が行われてきましたが(今は文化会館で式典)、生誕のお祝いはありませんでした。
今年第三回「塙保己一先生生誕祭」を開催するにあたり、実行委員の方から茶道会に「来賓の方々にお抹茶をお出しして欲しい」との依頼がありました。会議室での呈茶のため、壁に先生のお姿の色紙を掛け、前に机を置いて三具足を飾り、お茶とお菓子をお供えしました。
塙保己一先生は盲目の国学者として知られていますが、七歳で失明されたのち「ほおずきの赤、実った柚子の黄色とスミレの紫の色は覚えている」とおっしゃっていたそうです。そこで、ほおずきの香合と、庭に咲いていた小さなスミレの花を飾り、お客様をお迎えしました。
来賓の方々とスタッフ合わせて六十名程に、町のお菓子屋さんの「塙サブレ」でお抹茶を召し上がっていただきました。皆様にとても好評で、恒例になりそうです。
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2025年4月27日
福島家元招請研究会
家元招請研究会 〈課題:茶杓削り〉
小谷田久子(福島不白会)
四月二十七日、郡山市中央公民館にて家元をお迎えしての「茶杓作り」の研究会でした。家元になられて福島不白会が最初の研究会とのこと、記念すべき日と全員で喜び会場が和やかな雰囲気でした。家元から丁寧な作り方の説明があり、「茶杓はどんな形にできても自分の味の逸品になります」、と話されました。それで緊張がほぐれ作業に入りました。櫂先の曲りが、大変難しく四苦八苦で焦げてしまったり、ひびが入ったり割れてしまったりで大変でした。
家元から大丈夫、削れば綺麗に仕上がりますと言われましたので、必死に仕上げていきました。何とか茶杓の形になってきた時、とても嬉しかったです。初めての茶杓作りは大変でしたが無事できあがりましたので下手でも満足でした。これからお茶席で茶杓の拝見が楽しみです。研究会に参加出来、有意義な一日でした。
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2025年4月9日
笠間稲荷神社例大祭
戸井田宗良(茨城不白会)

桜も満開になり春の暖かい日ざしの中、笠間稲荷神社にて毎年恒例の例大祭が四月九日に執り行われました。昨年までは江戸千家十代家元名心庵宗雪様による献茶式と志野流家元による献香式がございました。今年は江戸千家十一代家元を襲名された新柳斎宗雪様が家元になられてはじめての献茶式でございました。数日前から襲名記念茶会や祝賀会と連日お忙しくいらして、続けての献茶式でございましたので新家元にはさぞかしお疲れでいらっしゃったこととお察し致します。合わせて献香式は今年三月に志野流二十一代を継承された一枝軒宗苾様によるものでございました。伝統を継承する若いお家元同志、私どもも嬉しく頼もしく拝見させていただきました。
午後からの茶席では床に名心様の「薫風」が掛けられ、花はキブシ、アケビ、春曙光の椿でございました。時間の関係で陰点とさせていただきましたが、雲鶴様をはじめ東京の皆様方が楽しげにお話し下さり、特に新家元が考案されたという柳の図柄の服紗のことなどで話がはずみました。新家元新柳斎宗雪様のご活躍を期待致しております。そして数十年もの長い間、毎年笠間まで足をお運びいただき献茶をしてくださった名心様に笠間の者皆が感謝致しております。ありがとうございました。今後ともよろしくご指導下さいますようお願い申し上げます。
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2025年3月23日
大分雲鶴先生招請研究会
雲鶴先生招請研究会 〈課題:花月〉
工藤宗睦(大分不白会)
春霞がやわらかに空を包んだ三月二十三日。雲鶴先生による大分の日出・深見邸にての研究会でした。当日は「濃茶付花月」・「香付花月」と「札なし花月」をご指導いただきました。私は「濃茶付花月」で亭主を務めさせていただきました。お役をいただくと今までに何となく過ごしてきたお釜の湯の量・温度、そしてお茶入に入れるお抹茶の量など考えておかなければならなかったと改めて思いました。「香付花月」でも香は何のため、誰のために焚くのか。「札なし花月」でも参加した全員が他者の行動に気を配る。そうしないとお席がゴタゴタになる。など思い出させいただくことが多かったです。
雲鶴先生の研究会でじかにお話しさせていただくのは初めてでしたが、先生の美しい所作に感激いたしました。「茶道の道はすべてに通ず」を実感した研究会となりました。
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2025年3月17日
神戸名心宗匠招請研究会
名心宗匠招請研究会 〈課題:小習・体操〉
吉田慶子(神戸同好会)
神戸教場では、三月十七日に名心宗匠にお越しいただき、研究会が開催されました。前半は小習と体操、後半は「花月」のご指導をいただきました。普段のお稽古では先生方のご準備により予め整えられた茶室に入ることが多く、準備段階である小習については、あまり知識がありませんでした。
今回は花と掛軸について宗匠のお話を聞きながら一つずつの動きを目で確かめることができ、とても勉強になりました。体操は着物姿でできる立居の体操を教えていただきました。動きは少ないのですが基本の基本である深い呼吸と正しい姿勢を保ちながら、ゆっくりと動くというのはとても難しいと感じました。長年の習慣で浅い呼吸と前屈み、そり腰と悪い癖が身体にしみついてしまっています。正しい呼吸、正しい姿勢に戻るのはなかなか難しいですが、まずはお茶室の中から心掛けていきたいと思いました。休憩をはさみ、後半は四畳半での「札なし花月」と「炭付き花月」に取り組みました。「炭付き花月」では炭点前全くの初心者の私にまさかの札が当たりました。先生や社中の皆様がハラハラと見守る中、戸惑って手が止まってしまう私に一つ一つ丁寧にご指導いただき、何とか最後まで終えることが出来ました。

直に宗匠のお声を聞いてご指導いただけることに感謝するとともに幸せを感じた一日でした。
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2025年3月8日
チャリティ茶会に参加して
田中史子(新潟不白会)

新潟不白会では、三月八、九日の二日間、万代シルバーホテルのロビーにて、チャリティ茶会を開催しました。当日は好天に恵まれ多くのお客様にお越しいただきました。
今回の茶会は、お茶とのつながりが深い「輪島塗に携わっている方々への支援」という目的で行われました。輪島塗は、多くの作業工程を分業制で行い、多くの人と多くの時間をかけて作られる、職人技が光る、素晴らしい伝統工芸品です。そんな輪島塗も、一昨年の能登半島地震や豪雨災害などにより、大きな被害をけ、輪島塗の事業者のうち事業を再開しているのは六割ほどだという痛ましい現状を記事で知りました。今回のチャリティ茶会で、微力ながらも支援の機会を持てたことを重く感じ、少しでも早い復興を願っています。
今回は立礼席での開催でした。二十分ほどの短い一席のおつきあいを通して、

幅広い年齢のお客様が円卓を囲むことは、とても素敵なことだと感じております。楽しい対話、温かいお抹茶と、春を感じさせる和菓子をいただき、自然と笑顔になる姿を見て、楽しい時間を過ごしていただけたのではないかと、嬉しくなりました。
お稽古だけでは感じることのできない、このわくわく感を感じることができる茶会は、運営側とお客様、双方にとってなんて素敵な場所だろうかと思います。この茶会を通して、私自身、多くの先輩方に囲まれ実りある一日を過ごすことができました。こんな機会が多くあれば、お茶を身近に感じる人が増え、敷居の高さを感じることがなくなるのではないかと想像しました。
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2025年2月5日
2025年2月1日
山形市民文化賞受賞・山形不白会恒例茶会
庄田宗雅(山形不白会)

令和七年二月一日、山形グランドホテルにて、佐藤孝弘山形市長、各界の方々、山形市芸術文化協会会員の方々百二十名が参加されるなか、第六十六回山形市民文化賞記念式典授賞式が開催されました。若輩ながら私は、山形市茶道連盟よりご推薦いただきまして、山形市民文化賞を受賞致しました。これもひとえにご指導いただきました名心宗匠、宗雪家元、ご尽力いただきました先生方、山形不白会会員の方々のおかげであり、皆様と共に頂戴いたした賞と深く感謝申し上げます。式典前には、名心宗匠お好み「星の昔」と雪輪をかたどった主菓子をふるまい、皆様に江戸千家のお話をさせていただきました。この度の受賞に際し、江戸千家の名前がでましたこと、このうえなく嬉しく思っております。
五月十一日には、山寺芭蕉記念館全館をお借りし、第七十八回山形不白会恒例茶会を開催致しました。中村昌生先生設計の茶室にて、本席、立礼席、点心席と三席しつらえました。点心席では、生田流琴曲の音曲を聞きながら新緑の美しい風景で御一服していただきました。私は、本席を担当致しました。茶席では、江戸千家の襲名式や記念茶会、展示会、流祖不白ゆかりのご説明などをさせていただき、各流派の先生方も熱心に聞いてくださいました。
昨年末から今年にかけて、五十八年ぶりの襲名式・記念茶会・記念祝賀会と歴史に残る様々なお式に参加出来ました事、めぐり合わせの貴重な体験ができましたこと、大変感謝申し上げます。今後とも、お茶の道に精進いたし山形不白会もさらなる飛躍をしていけますよう会員一同、心にきざんで参ります。
今後ともご指導、ご鞭撻よろしくお願い申し上げます。
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2025年1月25日
2024年度 家元研究会レポート(10)
家元研究会 古典「台子」
久留米不白会研究会から
草場実加(久留米不白会)
台子の作法は、中国から入ってきた一番古い形式で、三百年から四百年続く長い作法の凝縮。古風な完成形の作法。中国から伝わったスタイルの天目茶碗を使い、茶入も唐物を使う。盆の上に主な道具を並べ、ばらして飾るのが乱れて見えるため乱飾りという。また茶の湯では時間と空間(距離)の間がとても大事。お茶を運んだときは出したお茶から離れて立つ。物に対して引っ掛けては危ないため。おいしいお茶を出すことが優先すべき。「茶の湯はいい会話をするのが目的である」など、大切な物事の本質や多くのことを学ばせていただきました。
備前船徳利
西依宗直(久留米不白会)
竹台子の乱飾をご指導いただきました。宗匠のお話、点前、篠笛の演奏、心穏やかになるひとときでした。流祖不白の「初春や人に冠花に鳥」のお軸をかけていただき、茶室全体が暖かく感じました。茶通箱同様にお道具のとりあつかいにばかりとらわれず、会話を大事に楽しみたいと思います。古典である相伝物を身近に感じることができました。
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2025年1月1日
青森不白会初釜
川山宗初(青森不白会)

令和七年青森不白会初釜が青森市ホテル青森にて開催されました。平年の三倍を超える積雪を記録した今年の青森市。「豪雪災害対策本部」が設置されるほどの大雪となりましたが、当日は幸い天候に恵まれ参加者四十名ほどが穏やかな冬空に感謝しながら新年のお茶を楽しむことができました。
今年度、青森市民文化祭の文化功労賞を受賞された津田宗禮相談役へお祝いの花束贈呈、また祝舞「富士」を中村宗之副会長が舞い、華やかな雰囲気に包まれていました。
立礼の濃茶席の亭主は川山宗初会長がつとめ、凛としたたたずまいの中、金銀の重なった赤楽茶碗「嶋台」に鮮やかな緑色の景色を写し出していました。また各テーブルの参加者には、それぞれ陰点てで濃茶が振る舞われました。
福引きの後の薄茶席は、白鳥五大さんと白鳥七大さん親子が初釜での亭主デビューを果たし、真剣な表情ながらも丁寧なお点前を披露していましたそれぞれの薄茶席でも担当亭主が参加者の前で、会話を楽しみながら思い思いに薄茶でもてなしていました。
支部としては久し振りの開催となった新春を寿ぐ初釜に、大きな笑顔の輪が広がっていました。
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2024年12月8日
大きな賜りものー相伝式を終えて
御堂島宗良(長野不白会)

十二月八日、東京池之端の空は青く澄み渡り、今朝発った上田の雪景色とは全く違う輝きでした。
オンライン研究会の画面越しでしか拝見したことのない家元邸の露地は、お手入れの行き届いた緑豊かな苔庭、木々の根元に散り添えられた錦の美しいこと。尊い歴史を守り受け継がれてきていることを目の当たりにすることができました。
重厚な佇まいのお屋敷、お茶室、数々の伝承されたお道具に圧倒され、「上伝相伝式」の大きな意義に改めて襟を正す思いでした。
名心宗匠の流れるようなお点前を間近で拝見することができ、また雲鶴先生のお手作りのお料理を大変美味しく頂戴し、最後には第十一代新家元による薄茶点前をいただき、生涯忘れられない一日となりました。
同席の皆様の豊富な話題と楽しい会話にとても和まされ貴重なご縁にも感謝いたしました。
帰途大切な「道号」を胸に、名心宗匠著『ひとゝき艸』の「絆」の一文を思い起こしました。人間として誠意を持ち、わけへだてなく人間を尊んでいくことこそ、茶道より学ぶ神髄の大切なひとつなのだと深く感じ入りました。そして本日を迎えられたのも、入門以来愛情深く情熱を傾けてお稽古をつけてくださった李宗福先生のお陰と深く感謝しております。
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2024年11月3日
第二十九回上越茶道会茶会
亀山穂雪(高田不白会)
十一月三日、高田別院にて新潟県上越地区の表千家、裏千家、江戸千家で構成される上越茶道会茶会が開催されました。濃茶席と薄茶席のそれぞれを各流派が持ち回りで担当し、江戸千家は今年、武田隆雪氏が濃茶席を担当いたしました。この時期は時雨模様の天候が多いのですが、当日は秋晴れの中、百二十名余りの会員が出席いたしました。
床には後西天皇の和歌が掛けられ、茶入れは表千家不白流自得斎箱書の古瀬戸、治保公手造りの黒楽茶碗など開炉を祝うお道具に良い緊張感を持ちながら、一座建立の時を点前で味わうことができました。会の方針で濃茶も各服点てとなっており、不安でしたが一同協力して無事に終えることができ、ありがたく思っております。
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2024年10月21日
茨城家元招請研究会
家元招請研究会〈課題:台天目〉
池内宗有(茨城不白会)
○家元と新柳様お揃いで当地笠間までお越しいただきました。当日は研究会のテーマに沿って、台天目にて貴人点でお迎えすることにいたしました。一年間通して相伝物を勉強して参りましたが、その成果が活かせるように、参加した全員で一生懸命臨みました。
午前中は二種の組香を皆で楽しみ、その後お食事を挟んで貴人点です。一番に心がけたことは、お点前の手順よりもまずはお客様、特に貴人様に精一杯のおもてなしをして喜んでいただくことです。
それが実行できたのかは家元にしか分からない事ではございますが、私たちにとっては、実りの多い貴重な一日となりました。また反省会ではそれぞれのよき思い出を語り合ったりと、なんとも心が温まるような時間を過ごすことが出来ました。
戸井田宗良(茨城不白会)
○「台天目」は身分制度のあった時代の貴人点ということで、膝行膝退を含め貴人様との距離の取り方等を勉強させていただきました。実践で貴人点をする機会はほぼないと思いますが、自分にとって大切なお客様をお迎えした時など敬う心でお点前をさせていただく貴人点のもてなし方はきっと役に立つと思います。永年の感謝を込め、今回家元を貴人様としてお迎えし、勉強させていただきました。
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2024年10月6日
熊谷家元招請研究会
家元招請研究会〈課題:台天目〉
小倉宗全(熊谷不白会)
家元と次期家元の新柳様にお越し頂き研究会が開催されました。
課題の「台天目」は貴人を迎える作法で、身分制度が厳格であった時代に培われてきたものであること。皆平等という今日では当時のような場面はないかもしれないけれども、相伝物の作法として学ぶだけではなく、特別なおもてなしとして行うことも出来るので、目上の方をお迎えして行う茶事の中に取り入れてみるのもよいのではとのことでした。
午後は実践です。家元ご所蔵の、不白筆利休円窓図「心法双忘一味常顕」を拝見。心と法をともに忘れ去ったところに茶の湯の真実が現れ出るとの意味合いで、いつまでもお点前の手順とか半東の動きとかにばかり囚われていてはいけないと、改めて気付かされました。新柳様に貴人となっていただき「台天目」を行いました。亭主として最高のお茶をお点てしておもてなしすること、いかに快く過ごしていただくか、場を整えることの難しさを感じました。茶の湯の本質を実践してゆけるようお稽古に取り組み、また日常の中にお茶で学んだことを取り入れて、お茶を身近なものにして行こうと思いました。最後に全員で一服頂き、和やかな歓談のひとときを過ごさせていただきました。とても充実した一日となりました。
新井千鶴(熊谷不白会)
○『ひとゝき草』巻頭言の「井の中」に書かれた思いを拝聴。二十歳で江戸千家を襲名したことからはじまり、今まで広めようとした「自宅の茶」「札なし花月」「左利き点前の普及」「自分一人のためのお茶の奨励」などゆっくりお話しくださった。
茶の湯はお客が主人公。「台天目」は、貴人の方にお茶を差し上げること、と話された。お客様や自分自身のために、心をこめて茶の湯の技術を磨いていくと、自ずと自分自身が見えてきたり、お客様の本質も垣間みえてくる、とのこと。
家元はあと半年で、伝えられることは伝え、伝えられないのは仕方ないという境地とのこと。心も技術も磨いて、二つとも忘れてお客様や弟子たちのために色々伝え、清々しいお気持ちなのではないだろうか。貴重なお話、理事の方々の台天目のお点前、今後のお稽古の励みになります。
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2024年9月21日
2024年度 家元教場研究会レポート(9)
家元教場研究会 古典「台天目」
(土曜B組) 遠藤宗雅
午前中の講義で、『ひとゝき草』145号「井の中」に書かれた家元の目指された本当の茶の湯の世界、家元の半生について伺いました。お話を聞きながら、自分の茶の湯に対する姿勢や考え方を今一度振り返る機会ともなりました。

家元の研究会に通うようになってから「実践(自宅の茶)を前提としたお稽古」について考えるようになりました。体操の一部や、社中や友人を招いての簡単な「自宅の茶」を実践するようになりました。せわしない日々の中、お稽古で季節感溢れる設えやお道具に囲まれて別世界を味わうのはとても好きですが、ドタバタと掃除や準備に追われつつ、自宅にお客様を招きして一服差し上げるのも新たな楽しみになりつつあります。家元が度々おっしゃってくださったから行動に移せたと思います。
まだまだお点前も勉強することだらけですが、稽古と実践の両方を行き来することでより茶の湯を深く知りたいと思います。
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新潟県文化祭茶会
土田宗春(新潟不白会)
新潟県文化祭茶会は、昭和四三年茶道の振興発展と茶道各流派間の親睦を図り新潟県の文化振興発展に寄与する目的で、新潟県茶道連盟が発足となり今日まで続いております。
令和六年は市民芸術文化会館で九月二十一日に行われました。
三席釜がかけられ、その内の一席を新潟不白会が受け持ち私が担当することになりました。床には家元名心庵宗匠の「山紫水明」を掛け、それを中心に竹野棚に秋草の棗と青磁の水差しを取り合わせました。また年初に起きました能登地震の震災に心を寄せ、九代大樋焼を主茶碗として使いました。
当日は大変な大雨でしたが、大勢のお客様にお越しいただき心より嬉しく思いました。感謝の気持ちでいっぱいの一日となりました。
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2024年9月8日
高田家元招請研究会
中村宗友(高田不白会)
○唐物は相伝物として古典を学ぶ事だと考えておりましたが、茶事として唐物点てを取り入れる事は想像できませんでした。大寄せの茶会では主に水屋を担当してきましたが、茶事の水屋担当は初めてのことでした。
亭主と半東の動きと流れを把握しながら、茶事がスムーズに運べる様な心配りが大切だと痛感しました。相伝物の点前の中、程よい緊張感を感じながら貴重な学びでした。
亀山穂雪(高田不白会)
○茶入が主なので、扱いに注意しながらお点前をして、その後はさらさらと点前することは難しいと感じました。茶の湯は勝負、実践が大切、点前は二の次というお話をしてくださる家元に学ぶことができてよかったと思う。
○高田不白会研究会の翌日、妙高赤倉の六角堂において家元による岡倉天心像への献茶が行われました。赤倉の皆さんとの交流もはかられました。
赤倉六角堂
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2024年9月5日
大分家元招請研究会
家元招請研究会〈課題:台子〉
古屋宗恵(大分不白会)
秋季家元招請研究会が、当地大分県日出町の深見邸において行われました。この度は「乱飾り」がテーマです。私は亭主という大役を仰せつかりました。ご相伝の際に家元のお点前を拝見して以来となりますから不安でしたが、大変光栄なことであり勉強させていただこうとお引き受けしました。
当日は、書院造りの床の間に、家元ご持参の「達」のお軸が掛けられ、この書についてご説明をいただきました。
銅鑼の音を合図にお席入りが始まり、私の心も引き締まり緊張しましたが、美味しいお茶を差し上げたいという思いが湧き上がってきました。お客様との会話、お相伴とお点前を終え、無事に亭主の任を務めることができたのか不安でしたが、お客様から「美味しかった」との感想をいただき、ほっとすると共に、亭主を経験させていただいて本当によかったと感じました。冒頭家元のお軸の説明の中にあった「自分が目指すもの」について、私が目指すものは満たされた瞬間ではないか、と思われました。
八月二十九日から三十日に台風十号が当地区を襲い、お花の準備や会場準備等、今まで以上に大変ではありましたが、皆で協力して取り組みました。また、先生をはじめ多くの方からご指導を頂き、無事研究会を行うことができました。これからも満たされた瞬間を皆さんと共有できるよう、後進の育成の手助けをしながら江戸千家の茶の湯を精進してまいります。
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