本年度の東京不白会春の茶会は、春の訪れが遅れ、護国寺の桜もようやく三分咲といったところでしたが、各席の趣向は花が開いたように春爛漫となりました。
家元席では、床の間に寛文美人図が掛けられて牡丹の間の様相が一変。花入として用いられた大鼓が美人図と呼応し枝垂れ桜が可憐に生けられました。
炉辺には三友棚に五彩の水指、光琳桐蒔絵の棗、と華やかな取り合わせ。上野焼の釜の口窯のゆがみのある茶碗、銘白猿、がユーモアを誘い、初桜の御菓子で御茶一服。家元直門の初心者を中心とした、お点前お運びの方々によって爽やかな席となりました。
【家元席会記 牡丹の間】
床 寛文美人図
花入 雲紋蒔絵 大鼓 桃山時代
花 貝母 枝垂れ桜
香合 宝珠 半七 造
書院 梅ニ鴬蒔絵 硯箱
炉辺
釜 蒲団釜
三友棚
水指 五彩写
棗 光琳桐蒔絵 漆壺斎 造
茶碗 上野 釜の口窯 江戸初期
銘 白猿
替 仁清写 色絵 真葛 造
茶杓 一元斎 作
銘 霞
建水 塗曲
蓋置 南鐐 雲輪 良利 造
御茶 池の白 八女星野園
御菓子 初桜 よもぎ台 両国越後屋
器 九谷 菊紋 大皿
柿右衛門 梅紋 八角鉢