2023年12月1日
家元相伝式を迎えて
令和5年12月1~3日(上伝)/12月5日(皆伝)
●茶の湯の原点を見つめて
この度は、皆伝伝授式において、家元、奥様、新柳様、正客の落合先生他、皆様に総出で祝っていただき、本当にありがとうございました。
初めて伺う茶室のたたずまいにまず圧倒され、「家業」と表現された家元の言葉に、その継承の実際を目の当たりにし、深い感銘を受けたところです。久留米篠山で「乱飾」を伝授していただいてから二十年、最後の「皆伝」を家元自身からいただけたのは幸いです。
手作りのお料理の数々、鮮やかなお菓子、運びの皆様のさりげないお声かけの心遣いに気持ちが和みました。そして何より、家元によるお点前は圧巻でした。
始める前に深呼吸をされ、そこに何か決意めいたものを感じ、その緩急のリズムにまばたきもせず見入ってしまいました。ここに「本物」があると感じました。また「、孤峰不白」の背景にある意味を初めて知り、四十年目にしていたはずの「孤峰」の意味も知らず過ごしていたこと、恥ずかしく思います。茶花のすっとした切れは、久留米での研究会、梅林寺の折も学ばせていただきました。『行雲流水』の句集は、帰りの新幹線で拝読しました。一つ一つの句の情景、その時の心持ちが、簡潔な中に、しっかりと伝わってきます。また「ニーチェ、朔太郎、大津皇子」等、哲学や文学、歴史に渡る幅広い見識に驚きました。その中で「富士の山上るも下るも一歩一歩」が四十年間遅々茶の湯を続け、今、皆伝をいただいた私の心に一番合致しました。この句集から、家元の全国を歩かれたその足取りのご苦労、喜びが思われます。
私も一句つくってみました。
照り葉置く主の心か露地の庭「ちらと見た露地の石に散る照り葉が、まるで意図をもって置かれてあるようだ」との意です。
最後に、家元の「どうぞ、お茶を自分のために」という言葉が、少し意外で印象に残っています。人に教えることばかり考えていた私にとって、原点は何かと問われているような気がしました。私自身にとっての「茶の湯」とは何であるのか、日々見つめていきたいと思います。
久留米不白会 生津宗郁
●道号をいただいて
先日は上伝を賜り、まことにありがとうございました。美味しいお料理、由緒あるお道具、美しいお点前、これからの私の人生に彩りを与えていただける大変貴重な経験をさせていただきました。
高校生だったころ、お菓子を楽しみに半ば遊び感覚で茶道教室に通っていた頃は道号がいただける日が訪れるとは、夢にも思っておりませんでした。名前に恥じることのないよう勉強して参りますので、今後もご指導よろしくお願いいたします。
群馬不白会 青栁宗匡
●感謝の気持ちを胸に
初めて池之端に伺った時、左手にお箸を持ち替えてお菓子を取ったのを家元が気付いてくださり、その後左利きの点前を開発くださったことが、ここまでお茶を続けられた大きなきっかけになりました。利き手を使えることで安心して落ち着いてお茶に集中でき、お茶のみならず人生を深く感じられる時間になりました。
美味しいお菓子とお茶をいただくだけではなく、もっと勉強したい、もっとお茶のことを知りたいと思い、お稽古を続けて通えるようになりました。お茶を始めて周りのことにも興味を持つことができ、陶芸にも出会えました。
先生方にも恵まれて、家元はじめ雲鶴先生、落合先生、矢口先生、高橋先生に入門当時からお世話になったのもお茶を続けられた理由です。感謝の気持ちで一杯です。
今年はお免状をいただいて、本当にいい年になりました。「友雪」という素敵なお名前、雪を友と敬ってお茶に精進いたします。
東京不白会 内山友雪
●「秀嶽」のお軸を胸に
晴れた初冬の一日に上伝の相伝式を迎えさせていただきました。家元、中野先生のご指導、雲鶴先生、新柳様はじめ皆様の温かいお心遣いと、深く感謝申し上げます。
心に残りました床の「秀嶽」のお軸、その力強い筆致に圧倒されるばかりでしたが、ご相伝の際、多くの先輩方がご覧になられたことに思いを巡らせますと、何だか勇気が湧いてまいりました。
今はその麓にも立っておりませんが、気持ちを新たにお稽古に精進してまいりたいと思います。雪深い地で生まれた私には「恵雪」の道号もありがたく、大切にしてまいりたいと思います。
新潟不白会 中野恵雪
●これからも楽しく
師走を迎え山には白い雪も見える新潟でしたが、東京は天高く青空一杯で気持ちのいい一日でした。
門をくぐりお庭に見入り、ご準備いただいたしつらいの数々、家元のお気持ちが嬉しく感動いたしいました。初座での心のこもったお料理は、ほっこり身体も温まり楽しいお話で緊張も和らぎました。家元のお話で、忘れていた振り返りができました。この日だからこそ大切に思い、お茶をやっていて良かった、これからも楽しく続けようと思う一日となりました。
たくさんのご準備をいただいた奥様、新柳様をはじめ皆様にお礼申し上げます。
新潟不白会 斎藤和雪
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2023年5月28日
アフター招請研究会
下村宗悦(長野不白会))
五月二十八日、新緑と川のせせらぎ、鳥の鳴き声のする中、長野不白会研究会は終わりました。
その後、家元夫妻と私達六人は、迎えに来てくれた車で豪雪で有名な野澤温泉へ行きました。狭い坂道に沿った由緒ある旅館は家元の常宿とのことです。地元の食材を使った夕食はおいしく、家元とも久しくお話しをさせていただき、楽しいひとときでした。
翌日は近くの古いお寺で家元の笛の演奏会を予定していましたが、雨のため、旅館の一角に変更になりました。外の木々は霧に包まれ幻想的な風景です。哀愁のこもった笛の音色の童謡唱歌に子供の頃、友達と遊んだふるさとの山、川が思い出され心の中で謡っていました。
お昼は地元の林の中にある蕎麦屋さんでお蕎麦をいただき、近くの北竜湖を散策して、それぞれが新幹線に乗って家路につきました。
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2020年6月24日
自宅にお招きして
田中尚一(新潟不白会)
六月二十四日、中野宗順先生はじめ四人の方を自宅にお招きし、台所の丸いテーブルで、私一人、のんびりとてんぷらを御馳走する趣向です。
まず四種類の中国茶を一杯ずつ、続いて大きめの中国茶碗で鉄観音茶をたっぷりと差し上げて、天ぷらをはじめました。
てんぷらは、電気自動てんぷら揚げ機で、油の温度が自動で一定に保たれるので、タイマーをセットしておけば、皆さんと一緒に食事したり、会話したりできます。台所で、男の私一人で対応、料理もすると驚かれるのですが、手際が良いとか、案外台所もきれいとか嬉しい感想をいただきます。
食事の後は、お持ちいただいた和菓子で初心のお盆点て薄茶を差し上げました。休む事のない会話が続き、皆さんくつろいでいるようでした。最後にドリップコーヒーとお菓子で終了です。お帰りになった後片づけもずいぶんと楽しいものでした。
●お客になって
岩原朋子(新潟不白会)
田中尚一さんはお仕事を引退されてから、男性ならではの集中力でみるみるお茶の世界に没入されていることで社中では有名な方です。
初訪問の緊張を和らげるような雰囲気の中で、貴重な中国茶を数種類いただき、季節のお野菜や魚介のてんぷらを振る舞われた後に、お盆立てのお茶をいただきました。田中さんのこまめな動きに驚かされつつも、おしゃべりにも花が咲きました。
お客様を自宅に招いてのおもてなし。楽しそうに切り盛りする田中さんには改めて感銘を受けました。このような心身の余裕を私も持ちたいものだと思いました。
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2020年6月1日
稽古再開に思う
御堂島良子(長野不白会)
長野県で緊急事態宣言が解除された六月一日、お稽古が再開されました。
「家元稽古場におけるコロナ対策」を基に李宗福先生が細やかな配慮をしていただき、いつもと同じようにお稽古に励むことができました。
和韻点ては、私にとってははじめてのお点前で、流祖没後二〇〇周年を記念する全国大会で、孤峰忌にあたる二日目に家元が点てられたということを、後に記事により知りました。
「人類はいままで、時代を先取りしてくれた先駆者により導かれてきた」
コロナ禍に関わるある研究者の言葉ですが、
家元ご考案の和韻点ては、今の状況に相応しいお茶の点て方だと思います。
当たり前のようにお茶室への木戸をくぐり、先生が丹精を込められたお庭に心和ませていただきながらお稽古に励むことのできる日常が、なんと幸せなことかと、改めて感じる日々であります。
七月最初のお稽古は、佛国寺石雲和尚様の「一志一道」のお掛け軸の前で心静かに和韻点てのお点前を学びました。
「惑うことなくひたすらに励むことこそが一期一会」と、心に深く刻ませていただきました。
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2019年12月8日
自宅の茶に目覚めて
真子宗佐(佐賀不白会)
昨年十二月、川上不白生誕三百年という節目の年に、家元邸でのご相伝式に出席させていただきました。家元は真剣なお点前を私たちに示してくださり、「実践が大切である」ことを重ねて話されました。
顧みますとこれまで私は稽古にばかり関心が向いて、それほど実践をしていませんでした。これををきっかけに家人・友人相手に、自宅の茶を少しずつ始めてみますと、新たな発見や楽しみが拡がっていくのを感じています。
正月にカナダの友人が来訪したときには、家族と一緒にテーブルを囲み、皆に茶を点てながら楽しく過ごしました。友人がカナダの自宅でも抹茶を飲んでいると聞き、日本文化に対する関心の高さに驚きました。
また、かつて茶道をされたことのある来客にもテーブル茶でのおもてなしはとても喜ばれます。近ごろはいつでも出せるように茶碗や茶杓・服紗などをお盆に準備し、毎日家人相手に茶を点てながらひと時を過ごしています。これからも稽古をしながら、楽しく自宅の茶を続けていきたいと思っております。
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2019年11月24日
家元をお迎えして
佐藤雅子(岩手不白会)
令和元年十一月二十四日盛岡での家元研究会を終えて夕刻から家元が我が家においで下さいました。随行の博之様におかれましては十一月二十四日に斎号新柳をお受けになられたという事を漏れ承り、この度の茶席はそのお祝いを旨として準備を進めました。
当日はお迎えのご挨拶に始まり、手作りの粗餐と手持の道具にての濃茶、薄茶そしてその後のハーブティーでおもてなし申し上げました。
家元、新柳様そして岩手不白会会長の澤野宗桂様の幅広く深い話題に座はとても和やかに心地よく進みました。家元が前日東京でのお茶席で使われた楽直入のお茶碗をお持ちくださり、大振りでありながらも掌への収まり具合にいたく感激し、得難い経験で御座いました。
家元は水屋で控えていた友人たちにもお声をかけ心配りに感謝の思いでした。
外に出ますと街は深い霧に覆われておりました。お車が霧に吸い込まれるのをお見送りしておりますと、胸・心そして総身に心地よい爽やかさが満ちているのを感じました。翌朝めざめましてもその余韻が尚も溢れてこれもお客様のお人柄の賜物と感謝しました。
畳一枚も無い拙宅でのお迎えは家元が常々お話しの「自宅での茶事」の実践です。このような機会を頂けました事に厚く御礼申し上げます。有り難う御座いました。
秋麗や後嗣斎号受けらるる
掌に名のある茶碗冬初め
冬の霧茶席の余韻今もなほ
追伸
後日家元より句入りの葉書が届きました。
ロマネコンティ大気に触れて秋の宵
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2019年8月3日
「盛夏の茶」と「テーブルでの濃茶」
松本宗実(長野不白会)
里山にある我家はクーラーの設備は無く、扇風機ですら一夏に数回稼働する環境です。真夏日となった八月三日に茶友二人と旅で求めた道具を使って「琉球茶会」をしました。その後、テーブル席が無い為、ダイニングキッチンに席を移してテーブルでの濃茶をお伝えしました。
正客は九十歳で、六月には熱中症で救急搬送された茶友。
お家元が日頃おっしゃっている「散らかっている部屋を少し片付けて!」は手が廻らずじまいでした。
「茶室が無くてもこんなに簡単にお濃茶が出来るのね」「
「これだったらお茶の経験の無い人にもお濃茶を味わってもらえるわね」
と盛り上がりました。
深く考える事無く、お濃茶は畳に正座して......と思っていた七月十日までの私。お二人の嬉しそうな会話を聞きながら、十一時席入で始まった「盛夏の茶」と「テーブルでの濃茶」は四時におひらきとなり、楽しく充実した一日が終わりました。
長野と埼玉を半月ずつの落ち着かない生活を送っている私ですが家元の考案されたテーブル花月やテーブル濃茶を支部の方にお伝えしたり、茶友と楽しんでいる一端をお知らせしたくペンを執らせていただきました。
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2019年3月1日
河梁
濱田宗穂(東京不白会)
息子の保育園卒園式の後、隣のお母さんに我が家にお茶をしに来ませんか? と声をかけてみた。急な誘いにも関わらず、総勢二十名が集まった。
保育園には三年間お世話になったが普段なかなか親同士の交流はなかった。これを機に定期的に集まりましょう、という話しになった。思い切って声を掛けてみるものだ。
振り返ってみると、何の準備もないけれど、お抹茶だけはある、その安心感が一声掛ける後押しをしてくれた。お茶のお陰で新たな交流が始まった。
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2018年12月15日
ご相伝式に列席して
高木宗永(東京不白会)
先日は、ご相伝式に列席させていただき、ありがとうございました。小さい頃からいつか師範になれるように、いつか家元にお会いできるようにと稽古してまいりました。何度も写真で拝見してきた家元邸は、東京とは思えない程静かで、その静けさがとても心地よく、趣深く感じました。
〝いつか〟は夢のように遠い日のお話と思っていましたので、目の前でお点前拝見させていただき、本当に嬉しかったです。何より嬉しかったことは、家元とお話しさせていただきながら、お食事できたことです。
共に食し、一献交えることは、こんなにももてなしの心を伝えることなのだと改めて感じました。「ようこそ、おいでくださいました」と今まで口にしたり、言われる事はありましたが、それを肌で感じとることができたのは初めてのことでした。もてなしに心を入れること、所作やふるまいで示す事がまだまだ私に足りない「力」なのだと知ることもできました。
「お茶を〝行く〟ものではなく、家で〝する〟ものにしなさい」
最後に家元が話をされた言葉を自宅に帰ってからも、よくよく考えています。茶道が稽古場の中で行うものでなく、毎日の生活、普段の所作からも学び精進できるものであるということかな、と考えました。
看板に恥のないよう、精進に努め、次に東京へ行ける日までに、少しでも成長しようと決心がつきました。
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2018年11月30日
ライプツィヒで茶の湯を
大黒 耿雪(青森不白会)
旧東ドイツの南にあるライプツィヒを訪れた。この街にマクス・プランク研究所というノーベル賞受賞者を何人も輩出している物理学や生理学の研究施設があり、息子が勤務している。変わり者で高校時代は作曲家を目指し、その後、理学療法士になって病院に勤務すると次は「脳の研究をしたい」」と大学院に進み、医学博士の称号を得、東京大学、オックスフォード大学の研究員を経て現在に至る。厳しい世界らしく、来春までに評価される論文を書かないと雇用が継続しないかもしれず、在籍している間に見ておきたい、と訪れる事にした。
すると息子から「研究所でお茶を点てて欲しい」と要請、慌てて道具一式をトランクに詰めたのだった。
研究の合間にコーヒーなどを入れるための部屋で、テーブルでの立礼の略式。最初の客は「日本の茶道にとても興味をもっている」という台湾からの若い男性で、息子が私の事を「ティセレモニーのマイスターだ」と説明、お茶を点てて出すと「日本のマナーを教えて欲しい」と尋ねてくる。「両手で持ち、正面を避けるように少し右に回し、二口か三口で飲んでください」と教えると「台湾にもお茶を飲むときのマナーを大切にする文化があり、とても親しみを覚える」と話した。二人目の栗毛色の髪をしたヨーロッパ人女性は飲んだ後「デリシャス」と感想を漏らした。この建物の中で茶の湯の作法を見せたのはおそらく私が最初、研究者も初体験の珍しさに満足してたようだ。私も未来のノーベル賞学者の卵にお茶を振る舞ったのは、後の誇りになる事だろう。
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2017年12月10日
相伝式を迎えて
神農宗史(長野不白会)
風もなく穏やかな青天に恵まれた十二月十日、緊張と高揚感をたずさえ相伝式に臨みました。
家元邸の庭の色鮮やかな落葉に心癒されつつも、背筋がピンと伸びる緊張感を感じながらご相伝が行われる広間へ。はじめて家元にお会いしお点前を拝見させていただきましたが、いっさいの無駄のない流れるような優雅な所作、お点前に引き込まれ、時が経つのも忘れ見入り感服いたしました。
またこの日のために選んでくださった素晴らしいお道具の数々。代々大切に受け継がれてきたものが時を経て今、眼前にあるご縁に感謝の思いで一杯でした。
今回私は、先生方が弟子の晴れ姿を温かく見守る光景を目の当たりにし、これが相伝、こうして文化は受け継がれていくのだと実感いたしました。
家元もおっしゃっていたように、先生の激励がなければここまで来ることはできず、この景色を見る事はできませんでした。李先生をはじめ、同社中の皆様に感謝するとともに、これからも精進して参りたいと思います。
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2017年7月7日
青葉の仙台便り
川上雲鶴
頑張って続けて来られた仙台の稽古場がやむなく休止となりました。しかしながら、仙台の方々や家元の熱意によって昨年九月より再開。少人数の中、岩手不白会の先生の助力を得て月二回の稽古を続けております。
毎回、部屋のしつらえに始まり、炭、花、濃茶等、皆で手分けしながらの一回で楽しく一日が過ぎます。岩手の千田先生や皆様の様子を見ていると、私も教えられることがたくさんあり伺うのを楽しみにしております。今後仲間を増やすべく努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
初釜にお客様を迎えて(1/14)
家元による炭のくべかたの指導(12/24)
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2017年6月26日
めざして百歳
今井光雪(熊谷不白会)
梅雨の晴れ間にほととぎすの声が聞こえてきます。家元におかれましては、ご健勝にてお過ごしのことと拝察いたします。
過日は母にお心のこもったプレゼントを頂戴いたしまして、ありがとうございました。母も私も社中の者も皆びっくりしてしまいました。先日の稽古日に頂戴いたしました色紙をかけて、お茶事の勉強会をいたしました。母も九十三歳になり、耳も大分遠くなりましたが、社中と過ごすお茶の時間をとても楽しみにしております。お家元様のエールを心に、大好きなお茶を一日も長く楽しんでほしいと思います。
お家元のご配慮に心より感謝申し上げます。
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2016年10月1日
「自宅の茶」を終えて
市川宗恵(長野不白会)
去る十月、自宅の茶の亭主をはじめて実践いたしました。二グループを二日にわたりお招き致しました。
当日までの準備にはもちろん不安もありましたが、楽しいものがありました。
掛物は亡き義父の思い出の軸で月に薄と鶉の画賛。花入は虎班竹の籠。お花は水屋お手伝いのお仲間が用意して下さいました。
道具組は中置でと考えながら持ち合わせの少ない中で準備を進め当日を迎えました。点心席もお仲間が何品か持ち寄って下さり半月盆が賑やかになりました。
勉強不足、経験不足を、客様、そして水屋と半東などをお手伝いいただいた皆様方に助けられ何とか二日間を終える事ができました。
拙い自宅の茶を終えて改めて今、お茶のお仲間のひとりひとりに感謝の気持ちでいっぱいです。
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2014年12月5日
「ホッとタイム」
幸田宗陽
十二月五日、Y小学校において、五、六年生とALT(外国語指導助手)の先生、計三十名の「身近な人とホッとタイム」という授業に、抹茶体験で参加させてもらいました。
長いテーブルを二カ所設置し、各学年の生徒、間にALTの先生に席についてもらいました。はじめに、私たち二名が盆略点前で各学年のお正客にお茶を点て出し、そののち、各一名ずつ点前席に出て、交代でお友達にお茶を点てて振る舞うという流れで進めて行きました。
お茶をすくい入れ、お湯を注ぎ、一生懸命茶筌をふる。点てたお茶を出して飲んでもらい、ALTの先生に教えていただいた「How’taste? 」。すると親指を立てて「good!」の返事。その時の生徒の顔は安堵と共に大層うれしそうでした。最後の校長先生のゆっくり、ハッキリの「very good」には場が沸きました。
合間に、お菓子のこと、棗の形、縄文時代にすでにあった漆(Japan)について、お茶席にとってとても大事なお軸のこと、「自分の中にいるもう一人の素直な自分が教えてくれる」という言葉、禅語について、そしてyes、noだけでなくグレーゾーンを大切にする民族である日本人が、常に相手の身になって考え、行ってきた大切な文化、お茶について……。少し難しいかなと思いつつも、お話しました。視線をそらさず目を輝かせて静かに聞いている姿が印象的でした。別のテーブルに並べた棗と茶杓を生徒達が興味深そうに見いっていました。
もう一人の素直な自分そのものの子供に触れることができ、私たちにとってのホッとタイムとなりました。
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2011年7月1日
紅花山芍薬に魅せられて
西山宗稔(高知不白会)
雨に濡れる紅花山芍薬
この花のこと、生まれて初めて知りました。昨年愛媛の友人の山荘で写した絵はがきです。
余りの美しさに、今年も咲き始めましたとの知らせを受け、梅雨の最中でしたが車でかけつけました。
その山荘に咲く雨に濡れた薄紅のあでやかさ、可憐さは喩えようもなく美しく、思わず感嘆の声をあげました。昔、愛媛の皿ヶ峰では林床の中によく見かけたそうですが、その美しさゆえの盗掘、自生地の開発などで今では絶滅危惧類として指定され、幻の花とのことです。
後日調べたところ、北海道、九州まで広い地域に分布していたとの事、東京の高尾山にも見られたそうで、知らなかったのは私だけだったのかも知れません。北海道標茶(しべちゃ)では、町の天然記念物に指定されたとのこと。
十三歳でお茶のお稽古をはじめ七十年、はじめて出逢った紅芍薬の花の美しさに魅かれ、一筆したためました。
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2009年5月25日
おなかも心も満たされて–茶懐石マナー教室体験
菊地 和子(福島不白会)
まず、寄付で白湯をいただく
四月に福島不白会家元招請研究会で、「正午の茶事」が取り上げられました。私は楽しみにしていましたが、参加できずとても残念に思っていました。その折、先生から「柿傳の茶懐石」の話を聞き、私たち九名は「茶懐石マナー教室」に行くことになりました。
「柿傳」(都内の懐石料理店)の待合に通された時、都会の真ん中にこのような静けさがあるのに驚き、またマナー教室なのに皆緊張しているのがわかりました。いよいよ茶室へ。正客に見習って全員がぎこちなく席入しました。茶室は、「青嵐」の軸、「芍薬、撫子、縞葦」の花々で設え、私たちを爽やかな気分にしてくれました。
私は、茶懐石は初めてなので、「マナー教室」では多くのことを学べました。
一、飯椀と汁椀の蓋を両手で取り、それらを合わせて汁碗右側に直線になるように置くこと。
二、ご飯は、出されたものを一口残しておく心遣いが必要なこと。
三、お替わりの飯器の蓋をお詰めへ送ること。ご飯は、自分ですくって飯椀へつぐこと。
四、小吸物は、別名箸洗いともいうそうで、口を直すのと同時に箸を清めること。
記念に皆で写真撮影
五、最後に湯桶と香物が出て、おこげと湯を飯椀に入れぶぶ漬けにしていただくこと。これで椀をきれいにすること。
六、椀、蓋、皿等懐紙で清めること。
七、箸音で終わりを告げること等々、特に印象に残りました。(後日、この作法は表千家流で、江戸千家とは違う点があることを先生から説明を受けました)
懐石料理の所作等は、禅の作法の影響があるらしく、料理は空腹を満たす程度だそうですが、今回は、進肴も加わり豪華な食膳になりました。さらにお酒も入りましたが、すべての料理を残さずいただきました。
季節の食材の料理、亭主の「温かいものは温かいうちに」の心からのおもてなしに、おなかも心も充分に満たされた一日でした。
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2008年12月28日
暮の一日 —恩師に感謝する至福のとき—
伊藤俊彦(八女不白会)
暮も押し詰まった十二月二十八日、社中の有志七名が研究会の名目で、群鶴庵に集まった。
花を持ってくる者、得意の料理を持参した者等、思い思いにやってきて、いつものごとく準備をする。
さて、何をするか……花所望、且座、相伝物等の案も出たが、結局廻り炭をすることとなり、折据で順番が決まった。久しぶりの廻り炭をしながら、亡き恩師がよく稽古をして下さった思い出を語っているうちに炭が入った。
昼時になり、料理自慢の手作りの品々に京都土産の粉で練ったソバ掻きと甘酒がついた質素ながら心のこもった素敵な味を楽しんだ。
食事の後、唐物によるお濃茶となった。良く練られたお濃茶の美味しさに思わず「うまかあー」の声が!
お濃茶がまわり、さらにお薄茶をいただき豊かな時間が静かに流れるその雰囲気を心ゆくまで味わいながら、亡き恩師あったればこそ、この至福のひと時を経験できる幸せを感じた一日であった。
「感謝」。
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2008年10月13日
ご相伝をいただいて
近村和子(青森不白会)
むかしご一緒した先生にお会いするたび「お茶を飲みに来て」と声を掛けられ、友達とお稽古を始めました。これが江戸千家の茶の湯との出会いでした。稽古は楽しく、また、日常の慌ただしさを忘れられる安らぎのひと時でした。おいしいお茶を飲むことを幸せに感じる日々でした。でも先生のご病気で一時お稽古を休みました。
お茶をじっくり味わいたいと思い、木立先生のもとで、お稽古を始めることにしました。楽しい中にも厳しいご指導、そしてみなさんと過ごすなごやかなひと時。明日への励みとなる時間でした。
秋晴れの十月十三日、最初のご相伝として「入門・茶通箱」をいただくことになりました。いつもとは違った緊張感でお席入りしました。お床の「寿」の掛け物、お花、すばらしいお道具。先生の心のこもったお点前を拝見していると、少しずつ気持ちも落ち着き、穏やかな思いになりました。
「祝の白」という銘のお茶、格別な香りでまろやかなお味でした。続いて「茶通箱」のお点前では、「星の奥」というお茶を特別おいしくいただきました。茶通箱を用いる茶の意味をうかがい、先人のお茶を大切にする心が理解できた気がします。
式典の後、お茶室でお正客の薄茶をおいしくいただきながら、お軸のこと、お道具のこと、話しが弾み、終始和やかに充実した一日でした。
先生、お正客、お詰の方々のご苦労により、こうしてご相伝をいただくことができまして感謝の気持ちで一杯です。これからも忙しい毎日の生活の中ですが、茶の湯を楽しんでいきたいと思います。
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2008年9月3日
茶の湯から拡がる好奇心
下津浦靖雪(久留米不白会)
林原美術館のお茶室前で記念写真
私がお茶を習始めの二十三年前は、道具の名前や、お茶を点てる順序を覚えることで精一杯でした。でも、慣れてくると、稽古や、お茶会だけでなく、歴史上の人物を知り、史跡、名跡、美術館を巡ったりなど、楽しみが色々増えてきました。
今年、七月のことですが、先生、友人達四人で、岡山に行ってきました。最初に行った林原美術館では、桃山時代の古備前、白磁に似せた白備前、色を施した彩色備前などを見て、こんなにも沢山の種類があるのかと、ただ驚くばかりでした。中でも「白備前獅子牡丹香炉」や、「絵備前」の、大皿、小皿などは、今でも目の前に浮かんでくるほど印象に残っています。
昼食は珍しいことに、後楽園の中にある料亭でした。ここは岡山城家老の、伊木三猿斎様のお邸跡とのことで、玄関に足を踏み入れると、何故か、懐かしさを覚えゆかしい雰囲気に満たされていました。
美味しい懐石料理に舌鼓をうったあと、つぎに訪ねたのは、日本で一番古い学校として有名な閑谷学校です。農民の子供達にも学問の場をと、藩主、光政公が、孔子廟をモデルに建てた学校とのこと。その広く静かな敷地に佇んでいると、大昔に学んでいた子供たちのかわいい声が、私の耳に、聞こえてくるような気がしました。本当に盛り沢山な有意義な一日。是非また、この様な新しい愉しみを見つけて、知識を拡げたいと思っています。
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