江戸千家 > 行事の予定・報告(2024年) > 第72回 東京不白会 春の茶会

茶の湯 江戸千家 家元継承

第二一八回 孤峰忌 十一世 襲名式・茶会

令和6年11月4日(月)
池之端 江戸千家家

 令和六年十一月四日、江戸千家では恒例の孤峰忌に合わせ家元襲名式が執り行われました。
 江戸千家十世 名心庵川上宗雪宗匠は家元の職と、代々受け継がれてきた由緒ある「宗雪」名を後嗣新柳氏に譲られました。新柳氏は新柳斎川上宗雪として、江戸千家十一世家元の職につきました。十世は、川上名心と名乗られ新家元の後見を務められます。
 襲名式の後、点心を挟み、花月の間では口切りの濃茶が、蓮華庵では同じく口切りの薄茶が振る舞われました。
 御縁のある来賓の皆様、各地不白会代表の方々が、新たな江戸千家のはじまりに立ち会いました。先代へのねぎらいと新家元の門出を寿ぐ晴れやかさに満ちた一日でした。
〈式次第〉
襲名式典 於 花月の間
   午前十時より
 読経   寛永寺  浦井正明貫首
 供茶   新家元  新柳斎 宗雪
 襲名授与
 挨拶   十世   川上 名心
      十一世  川上 宗雪
 祝辞   官休庵  千 宗屋後嗣
   十一時半より
 祝い膳  招福楼  花月の間
 濃茶席        〃
 薄茶席       蓮華庵

供茶式

祝辞

読経

濃茶席

如心斎筆「宗雪」安名書

一円庵床

花月の間
 床 孤峰不白三幅対
     空 假 中
    不白塑像 下に 竹 三具足
     呂宋真壺 銘 南山   不白旧蔵
  脇床 啐啄󠄁斎 飛石画讃
     茶はあらく 角の数とる座敷かな
  真台子飾 不白好
     唐銅 菊桐紋 風炉釜 治郎兵衛作
      〃 末広 皆具 浄雄作
 供茶式
    濃茶器 朝日春慶  薮内燕庵箱
     瀬戸天目 青貝台 不白箱
    茶杓  真塗菊蒔絵 羊遊斎作
 濃茶席
    濃茶器 黒棗      二代宗哲作
    茶碗  奥高麗 銘 未央
     替  宗入 黒  大黒写
    茶杓  不白作 銘 ゆずり葉
    薄器  鶏頭棗     守屋松亭作
  御茶 口切り 星の奥   八女星野園
  御菓子 空也餅      銀座 空也
   器 朱 高杯   一双
  寄付 七世蓮々斎筆 道歌
    茶の道はたどるも広し武蔵野の
       月の澄むなる奥ぞゆかしき
一円庵
 床 伝来如心斎筆「宗雪」安名書
   香炉  青磁 竜泉窯 堆朱盆に

教 場
 床 俵屋宗達   白鷺絵
  脇 備前 蕪壺
 書院 琉球青貝双龍盆
  棚 大黒天         平櫛田中作

蓮華庵
 床 烏丸光廣卿 消息
     嵐山紅葉云々
  花入 胡銅 鶴首        浄雄作
  花  丸葉万作 白玉椿
  香合 織部
   炉釜 阿弥陀堂 琳光院 不白在銘
   水指 高取 一重口
  薄茶器 一閑棗 八世一元斎 在判
        菊桐蒔絵     喜三郎作
      茶碗  乾山 松画讃
   替  九世名元庵作 赤 祝字
          蓮鶴作 志野 暦手
  茶杓 十世名心庵作 銘 新生
  御茶 星の昔        星野製茶園
  御菓子 寿煎餅 千代結   京亀屋伊織

光廣卿消息「嵐山紅葉云々」

啐啄斎筆 飛石画賛

点心風景 

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宗達 白鷺図

招福楼 

お祝いのことば

平櫛田中 大黒天

秋晴れの一日、歴史に残る襲名式にお招き頂けましたこと、有り難く存じております。
 名心様の五十四年を伴走された方々にお目にかかれたことも嬉しく楽しい一時でございました。
 御一門のますますのご清栄を心より祈念申し上げます
西田宏子

初冠雪が遅れておりました富士山にもようやく雪が積もり師走らしい姿になっております。
 十一月四日、十一代家元のご誕生、誠におめでとうございました。参列をお許しいただけましたこと、望外の幸せでございました。当日の参列者の十代家元への畏敬の念と、歩んでこられた年月への労いの気持、そして十一代御襲名への慶びに包まれた暖かさに溢れた花月楼がよみがえってまいります。その後の各種行事も恙なく終えられましたこと何よりでございました。ご心労お疲れもさぞかしとお察し致しております。
 呉々もご自愛専一にお過ごし下さいますように。
 十二月五日静岡 佐藤宗博

清々しい秋日和の中、孤峰忌供茶、十一代家元襲名式を拝見させていただけましたことは、私の茶の湯にとって一生の想い出になると思います。本当に有り難うございました。十一代家元の御立派な供茶にはとても感銘致しました。又御襲名を伝授なさいます名心宗匠の御姿には胸がいっぱいになりました。御挨拶におかれましては各々のお人柄が出た自然体で江戸千家らしい十代、十一代と継がれる御言葉を嬉しく拝聴致しました。まだまだ言い尽くせぬ心のうちはございますが、急ぎ感謝、御礼申し上げます。
 十一月八日東京 中野宗照

拝啓
 晩秋の候 十一月四日、家元花月の間での第十一代家元襲名式に他の不白会の代表者と共に参加させていただきました。孤峰忌に合わせて供茶、襲名式が厳粛な中に進められ、静かに緊張して式を拝見いたしました。
 点心では招福楼の料理をみなさんとお酒をいただきながらゆっくりいただきました。
 久し振りに蓮華庵で薄茶をいただきました。一円庵で、伝来の如心斎「宗雪」安名のお軸を拝見いたしました。家元一家総出でのおもてなし、痛み入り、ありがとうございました。
 十一世家元への伝承が無事行われましたこと、お慶び申し上げます。継承行事はまだまだ続きましょうが、健康に留意されまして、すべてが無事終われます事をお祈り申し上げます。ご多忙の日々が続かれますが、お身体大切にお祈り申し上げます。
 十一月十二日久留米 田中宗俊

この度は家元継承というご慶事、おめでとうございました。大変なお仕事をなしとげられて、今はホッとなされていればうれしいと拝察いたしております。
 茶家にお生まれになり、やがては継ぐというご覚悟をもって生きてこられたかとも思いますが、その重責を担うということは、どんなにご覚悟がいったことか……。
 無事継承なされて、こんなにうれしいことはございません。その間にも様々なご自身の色をお出しになり、そしてつないできた事、素晴らしいことでございました。
 これからも茶の家としてのお仕事はたくさんございましょうが、どうぞお元気で全うされますよう、祈り申し上げます。お流儀のますますのご発展をお祈り申し上げております。
 十二月六日新潟 甘粕静枝
川上名心様
御奥様


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