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茶会の記

全慶應茶会

令和5年11月3日
於 根津美術館

 年に一度、十一月三日の文化の日に根津美術館で催される全慶應茶会。慶應茶道会OBの江戸千家の川上宗康氏が披錦ひきん斎の薄茶席を担当しました。茶席の様子を紹介します。
 拝啓 時下ますますご隆盛の趣、大慶に存じ上げます。
 このたび、私どもの全慶應茶会に際しましてはご来席賜りまして、まことにありがたく厚く御礼申し上げます。
 昨年は、コロナ明けでもありましたので、内々で少人数で開催いたしましたが、内外の皆様から今年は従来の慶應茶会を催してほしいとの声が高まり、コロナ対策も考慮に入れつつ開催に至った次第であります。
 茶会では混雑でお待たせした場面もあろうかと恐縮しておりますが、文化の日は晴天とのジンクスの応援もあり水屋関係者一同、根津美術館での茶会開催ができる素晴らしさに感じ入っておりました。
 一樹庵の席は、慶應高校甲子園優勝を祝し、宮武三郎のホームランバットが埋込まれた炉縁と、同じく塾出身の小川年安使用のキャッチャーマスクを模した香合の道具組構想はタイムリーでありました。さらには今秋、慶應義塾大学野球部が六大学野球で優勝するというおまけ付きであります。
 弘仁亭の学生席は、いつも清新さを感じます。掛物の「開門接佳客」は十一月を迎えた炉開き、又、大勢のお客様をお迎えできる喜びを素直に感じられ、四年生による点前、半東は名残惜しい大学生活の一ページでもありました。
 お陰様で、大変素晴らしい茶会が開催できましたことに対して、心から御礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。敬具
 令和五年十一月吉日
三田福茶会 会長 後藤康雄
披錦斎 薄茶席  主 三田福茶会
            川上宗康
   一樹庵
  松下隆章筆
     雪 之純浄不塵者
       心真如之體也

     舟 之恒動亦静者
       心生滅之用也
     前ニ 香炉箪笥    原 羊遊斎
   本 席
床 不白筆
   花鳥笑人忙        不染箱
 花  ガマズミ 西王母
 花入 須恵器 奈良時代  誕生寺残材
  脇 北宋白磁 鉅鹿     春日盆
慶應高校甲子園優勝を祝して
  炉縁 宮竹三郎ホームランバット埋込
       堀越家伝来   小兵衛作
  香合 小川年安 キャッチャーマスク
      半七作共箱
 釜  播磨芦屋 鉦鼓耳   慶長前期
 長板飾
  水指 現川焼
  茶碗 古萩  俵 桜高台
     御本  相生
  薄茶 みみずく南天蒔絵 溝口家伝来
  茶杓 銘 オオタニ    自作共筒
   建水  金      中川浄益作
   蓋置  銀       長野烈作
  御茶 星峰       星野製茶園
  菓子 黄味瓢        空也製

●根津美術館 全慶應茶会に

伊藤松渓

秋晴れて庭心地良き文化の日
     根津の茶室に木漏れ日映る

この席に並びて時を共にせし
     今亡き友と心に語る

三田の茶を若き人らよ継ぎてゆけ
     独立の心は茶にも篭れり


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