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第20回 江戸千家全国不白会岩手大会

令和4年10月15日〜17日

 令和4年10月15日・16日、岩手不白会担当にて全国大会が開催されました。大会は平成30年の大分に続く20回目で、岩手不白会は第7回(昭和59年)、第17回(平成21年)と担当し今回は3回目の開催です。
 15日の記念式典・懇親会、そして16日、大会史上初めての試みである「自宅の茶」をテーマにした記念茶会が行われました。17日には記念の観光コースも用意され、盛りだくさんの趣向で、難しい時勢の中、全国から132名の参加がありました。直接集うことの喜びに皆さん笑顔に溢れていました。

全国大会を終えて

岩手不白会会長 澤野 宗桂

 第20回江戸千家全国不白会・岩手大会が、晴天に恵まれた盛岡(一部花巻、紫波も)にて開催されました。
 家元、雲鶴先生、新柳先生、望様の家元ご一家、宗康先生ご夫妻、里雪先生と、皆様おそろいで岩手の地にお出まし下さいました事、この上なく光栄で幸せに存じました。

 家元から岩手大会のテーマに「自宅の茶」を勧められた時、これまでご指導いただいた三十数年の集大成とするにはどうしたらいいのか、ずいぶんと思案したことを思い出します。
 席主を募りますと研究会のメンバーの他に、新しく上伝を取得した方が手を上げてくれたことは心強いことでした。 岩手不白会会長 澤野 宗桂 結局33人の席主が決まり、全国のお客様は132名、岩手の会員110名で、『「自宅の茶」全国大会』を行う事が決まりました。お客様の数に限度があり、全国の皆さんのすべてのご希望に添えず、申し訳ございませんでした。
 家元は郷土の偉人四名(原敬、米内光政、新渡戸稲造、金田一京助〈石川啄木の歌〉)の掛物を掲げお席をご担当くださり、大会に花を添えて下さいました。誠に高尚で、ここ岩手でお茶を楽しまれるに相応しいお席でございました。

 我が家には新潟と東京から五名の錚々たる先生方をお迎えいたしました。沢山の心暖まる興味深いお話を伺い、コロナ禍ですのに濃密な時を過ごさせていただきました。33軒の席主も同じようなすばらしい体験をされたことでしょう。
 大会終了の二週間後、各席主がお席の様子を報告する集いを開きました。皆様の表情が満足感と安堵感で充足しているように感じました。報告会のまとめは記念の写真冊子と致しました。
 全国大会が家元のご指導を賜り無事終了できましたことに厚く御礼申し上げます。このような機会がなければお迎えできなかった沢山のお客様と直接に触れ合い、気持ちを通わせる茶の湯の醍醐味を味わうことができました。岩手不白会の会員は今回特別なお勉強をさせていただいたのだと思います。この一期一会に33名の席主を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。そして次に繋げてまいりたいと存じます。

記念式典・懇親会

 ホテルメトロポリタン盛岡
   ・ニューウィング4階

家元挨拶

家元挨拶

新柳様・望様

新柳様・望様

乾杯挨拶 川上宗康氏

乾杯挨拶 川上宗康氏

篠笛演奏

篠笛演奏

家元席

展観席
(岩手ゆかりの文化人の書)
及び 添釜席
 - 旅の添釜の趣向で -

盛岡タイムス(2022年10月21日)

展示資料を解説する小冊子が配られた

茶籠 時代籐組

 桐  茶筌筒
 象牙 茶巾筒 猿猴図
 振出し 朝鮮唐津  
         益田紅艶旧蔵
 茶器 桑中次  木賊蒔絵
     白酔庵 吉村観阿箱書
 茶杓 自作
 茶碗 乾山作 松絵詩入
     「不改 蒼々色」在判
  替 黄瀬戸    原憲司作
 御茶  雲鶴   丸久小山園
 御菓子 空也草紙 銀座空也製

 ランチ
  メトロポリタンホテル製
  スープ サンドウィッチ
            他
  岩手ワイン

自宅の茶

岩手不白会33軒の茶事

 招かれるお宅は、15日に籖引きで決められ、懇親会は翌日の主客がテーブルを囲むという方法がとられました。16日、33軒のお宅ではそれぞれの趣向で茶事が開かれました。後日岩手不白会が製作した記念の写真アルバムから、数軒のお宅の様子と訪問したお客様の感想を紹介します。

澤野先生宅を訪れて

                  東京不白会  内山宗邦 
 秋晴れの盛岡の朝、木々の多さと空気の新鮮さに圧倒されながら黒御影の美しい玄関に入りました。躙口からお茶室に入ると、お床には一元斎宗匠の松風のお軸、六畳台目の洞庫のある席でした。お炭点前の後、先程通された日本間でお食事をいただきました。秋に相応しいお弁当に松茸土瓶蒸しなど、。お重箱は三田先生が使っていらしたという雪輪の紋の入ったものでした。
 本席へ入り、饗の山というお菓子をいただき常慶の尼焼を一碗目、二碗目には濱田庄司、永楽の茂三写しなどでお濃茶を炉で楽しみました。床には、いくつもの花々が唐銅の花器に先生らしく、明るく楽しそうに入っていました。茶入は不白の大関、茶杓は不白の長袴、岩手の名家澤野先生がお持ちになるに相応しい品々でした。薄茶は洋間に移動して道恵の茶箱でいただきました。
 数々のおもてなしに、感謝とともに胸が一杯になりました。それぞれの人生とか、生き様に沿った茶の湯のもてなしが「自宅の茶」では感じられると思いました。一人一人が違う舞台で違う人生を精一杯生きることの尊さと素晴らしさを感じました。元気と勇気をいただきました。

佐藤様のお宅に伺って

                 大分不白会   須股宗美
 佐藤宗重先生のお宅は、「徳清」という土蔵建築群の中にある旧邸宅でした。南部藩のお城の資材を使って再築されたという大きな梁や柱がある建物やきれいな中庭、そして、歴史に名を残した方々所縁の品々や素晴らしいお道具に囲まれ、現実をしばし忘れ、時代にタイムスリップしているかのような優雅な気分を味わうことができました。席主や半東の沼宮内先生のお話もとても楽しくて、美味しいお茶や食事をゆっくりいただくことができました。
 また、新柳先生ご夫妻とご一緒させていただき、本当に嬉しく記念になりました。茶席に慣れない奥様を優しく気づかう新柳先生のお姿に、私どもまで幸せな気分になることができました。
 今回、全国大会に参加して、これだけ多くの「自宅の茶」を実践された岩手不白会のパワーに圧倒されたような気がしました。

影山様のお宅に伺って

                 大分不白会   溝部宗富
 初めて出逢う方のお宅を訪問することに不安と緊張がありました。くじ引きによる対面でご亭主の声を聞いたとき、久々に出逢う叔母のような雰囲気を感じ、ふうっと安心感を覚え、緊張がとけて次の日の訪問が楽しみになりました。
 当日、最初に心を引き止められたのは、何十年もの間、風雨に耐えてきたであろう龍のごとき樹木の枝の力強さでした。町中であることを忘れるような樹木あふれたお庭、優しく迎え入れられているようでした。
 玄関の戸を開けると、昨日のほっこりとしたご亭主の笑顔がありました。初めてのお宅なのに心休まるひと時。蕨の茎の酢漬けなど地元のめずらしい八寸から始まり、どれもこれも優しいお味の手料理、あっという間に時間が過ぎてもっとここで過ごしたいと思いました。
 遠く離れた場所であることを感じさせない心温まる「自宅の茶」のおもてなしに感謝申し上げます。

各席スナップ

記念講演・講評

懇親旅行

「自宅の茶」の後、会場のホテルニューウィング盛岡にて記念講演と家元による講評が行われました。
 翌日17日は、2つのコースの懇親旅行が行われました。

講評  川上宗雪宗匠
記念講演「江戸千家と南部家」  
  講師 岩手県神社庁庁長  
     坂本広行桜山神社宮司

三陸視察ツアー

紅葉狩り八幡平ツアー

陸前高田 奇跡の一本松


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