南青山の根津美術館で開催された「江戸の茶の湯」展の記念茶会が、庭園内茶室「弘仁亭」にて開催されました。十一月二十三日は、川上宗雪宗匠が釜を掛けられました。
雨模様でしたが、盛りを迎えた紅葉が鮮やかで、晩秋の風情の中、ゆったりとしたお席で濃茶が振る舞われました。寄付では、甲州ワインとおつまみのおもてなしがありました。参加された方の感想を掲載します。
床の間、炉辺の飾りと
主客のやりとり
長次郎 黒楽茶碗 「苔衣」
上段の間
【会 記】
寄付 一献
床 鈴木其一 扇面
紅葉桜
本席
床 孤峰不白筆 横一行
松樹千年緑
花入 古銅 六角下蕪 耳付
碧雲台旧蔵
花 ときのもの
上段の間 青磁香炉 竜泉窯
長次郎 黒茶碗
「苔衣」 啐啄󠄁斎箱
香合 大亀 旦入作
棚 逢雪棚
釜 芦屋 霰 「雪丸」
水指 砂張 平
濃茶器 不白手造 共箱
「青山」
茶碗 楽直入作
「高座の三笠の山に…」
茶杓 自作 「斑鳩」
棗 不白好 菊平 松亭作
建水 モール 浄益作
蓋置 黄瀬戸
御茶 星の奥 八女星野製茶園
御菓子 山茶花絞り
越後屋若狭
器 志野 小鉢
替 織部 四方鉢
この度は不白生誕三百年記念茶会にお招きいただきましてありがとうございました。御尊家のご流祖にまつわる物語性のある展示は明快な説明、数々のお宝の拝見となり眼福でございました。
寄付ではいつの日も変わらぬにこやかな奥方様にお声掛けいただき幸せなことでした。時雨れる中、喚鐘の音に導かれ、いよいよ本席。ご流祖のお筆による「松樹千年緑」、長次郎黒茶碗「苔衣」に長き伝統を、家元のお作「斑鳩」茶杓と楽直入作茶碗「高座の三笠の山に……」に令和を、博之様の後ろ姿に未来を感じました。
お茶杓は光と影の対比が見事で、華やかな景色は奥方様の笑顔と共に御流の未来を照らすようでした。お心入れのサントリーの向こうを張る千鳥絵志野小鉢に盛られた越後屋の「山茶花絞り」は、目に美しく口どけもよく華やかな風情に祝意も高まりました。
今年は殊の外ご活躍の家元におかれましては、お身体を大切にされ益々のご発展をと念じております。
変わり往く時代の流れに応ずる茶道の在りようをお示しいただくことを愉しみにしております。
山本順子
寄付にて