今年の東京不白会春の茶会は、流祖不白生誕三百年を記念する茶会となりました。月光殿に不白に因む展示がなされ、各席それぞれ趣向を凝らしたお祝いの席でした。
当日の様子を写真で紹介します。
家元席に入席した感想を山本様よりいただきました。会記等詳細は東京不白会会報『池の端七三号』に掲載されています。
月光殿:茶杓展
孤峰不白筆 七十七歳 伝来 信楽茶入 「五郎丸」
「国家興」 伝来 如心斎作 茶杓「客僧」
月窓軒 家元席
●展示品
・原叟覚々斎 作 二本入
「かくれ笠」「隠みの」
・大龍宗丈 和尚 作 「 白 鷺 」
・無学宗衍 和尚 作 二本入
「 梅 」 「 寒 菊 」
・不白 作 三本入
「 一 龍 」 頭、腹、尾
・無学和尚 好 白銀之杓
・不白 作 一角牙「白 鶴 」
・花月楼宗雪(不白)作 八本入
「 八景 」 詩入
・不白 作 九十歳作
「 釣 竿 」 句銘
●家元席に入席して
去る四月七日、中野宗順様よりお招きいただき、江戸千家様の流祖不白生誕三百年記念茶会にお伺いさせていただきました。月光殿では流祖様の大幅「国家興」に圧倒され、ご秘蔵のお宝「五郎丸」茶入、「客僧」茶杓に眼福を得ました。つづく展示室は明るい空間に選ばれたお茶杓をゆっくりと拝見し、篠笛の音に誘われ待ち合い廊下へ、そこは風の間にまに桜吹雪舞う桃源郷でした。温かい春の光にぬくもり、月窓軒へ……。
酒井道一の蓬莱山三幅対に影青にすらりと入った春蘭という洒落た床飾りにご子息様のご説明が入りました。和韻点ての点前を拝見していると、美しい尺八の演奏がはじまり、皆で聞き入りました。一座の心が音色に集中する中、茶筌の音、釜の音が静かに茶席を包みました。いよいよ茶が点ち瀬戸の茶碗でいただいた和韻点は格別な味わいで、平成を終え令和に近づく今、伝統を重んずる茶道界において他に類を見ない新風を感じました。家元には半世紀に亘り御流儀を背負い歩まれた長き道のり、今、そして未来をおしめしいただいたように感じ、心中込み上げるものがございました。素晴らしい記念のお茶会に参加させていただきましたこと深く感謝申し上げます。
家元はじめご家族様、ご親類様、お弟子様方々の努力に思いを馳せ、今後益々の御発展を念じ上げます。
平成末卯月 山本順子拝
鉄鉢に各席主よりの献菓