山形県の流派を越えた茶道の団体「山形茶道宝紅会」、その設立に当たり柳澤宗華初代支部長が発起人の一人として、また中心になってご尽力されました。そこで毎年行われる「追善茶会」では「目すだれ
ばんちゃ 菅井久先生」と筆書きされた二枚の写真が飾られます。お目が悪かったのか眼鏡の一方に黒く簾のようなものがかかっています。この方は東京で江戸千家流のお茶の修業をし、明治二十年代頃、山形で最初に弟子をとって「お茶」を教えた方と云われています。戦時中供出させられてしまいましたが、山形市のお寺の境内に立派な座像があったそうです。つまり、山形で一般庶民に最初の「お茶の教室」を開いたのは江戸千家であると云われているのです。大正の初めまで続き後継者がなく活動が停止されたとのことです。
終戦間もなく柳澤先生がこの
置賜の地に江戸千家のお茶を復活され、門下生を大勢育てて来られました。昭和二十三年以来毎年「定例茶会」を催し、昭和四十二年には「江戸千家山形不白会」を発会、昭和五十二年には地方での最初の大会「第二回全国大会」を開催される等々、この地に江戸千家の土台がしっかりと築かれました。
柳澤先生がご逝去されて四半世紀。その後、芳賀宗紀さん、橋本宗信さんが先生のご遺志を引き継いで支部長として会をまとめ発展させてくださいました。また先生からご指導を受けた先輩方が私達の指導にあたって下さっています。
山形不白会は、これから六十周年、七十周年へと向かってまいります。家元のお教え、ご方針のもと、茶の道の研鑽に励み、仲間と共にお茶を楽しみたいと存じます。
《五十周年記念行事報告》
先立つ五月十四日多くの方々の祝福をいただき「山形不白会発足五十周年記念春の茶会」を催しました。
この度は家元、雲鶴先生おそろいでご臨席を賜り、また、東京より落合文雪会長、仙台より当会顧問柳澤義人様にご出席いただきました。
まず、初代支部長柳澤先生への供茶で式典が始まり、会長挨拶、家元と柳澤顧問に祝辞をいただき、最後に柳澤先生の門下生西山恒生様の「祝謡」で式典を閉じました。続いて家元に「沢庵宗彭と松尾芭蕉」という記念講演をいただきました。家元は沢庵宗彭の消息と松尾芭蕉の短冊を持参され、一般客も招いての会場は満席。江戸千家の歴史や体操十種の話題も交え参加者には大変喜んでいただけました。呈茶は、一般の方も参加してのテーブル茶を行いました。祝賀会では初めてご来県いただいた雲鶴先生にお話しをいただき、終始楽しく和やかな会となりました。