毎年建国記念日に開催される東京茶道会の招待茶会。澄み切った青空とひきしまった空気の中、艸雷庵の入席を促す喚鐘の音が響く。
寄付に通ると光悦の正月の茶事の案内が掛けられていた。さっそく一献のおもてなしがあり、床の前には宗匠がこれまで取り組んで来られたお茶の道程を示すご著書が置かれていた。他流の方も多いこの日は、それを手に取ってご覧の方も多かった。
さて、本席に入れば,光悦の能の世界に誘われた。床の向掛けには翁の面。静謐な中にも力強い彫り。大鼓には檀香梅と越の吹雪(椿)が入り、鼓の鋭い音色がはじけるようなイメージであった。広口の釜より立ち上る湯気の勢い。不白手造の赤「高砂」にて濃茶をいただく。
古の茶人なら「高砂」などを舞い大いに酒を酌み交わしたことだろう。ふっとそんな思いに囚われた一瞬であった。
(平櫛京雪 記)
【会 記】
寄付 八寸に一献
光悦消息
正月の茶事案内
濃茶席
床 能面 翁 室町時代
花 檀香梅 越の吹雪(椿)
花入 大鼓 桃山時代
層雲紋
炉辺
釜 芦屋 霰「雪丸」
炉縁 玉林院古材の松
香合 古瀬戸 合子
水指 渥美 木の葉紋 達磨形
茶入 黒棗 八代 宗哲造
茶碗 不白手造 赤 「高砂」
茶杓 名心庵自作
蓋置 青竹
建水 曲 内塗
御茶 星の奥 八女 星野製茶園
御菓子 氷梅 本所 越後屋若狭
器 古山子 花ノ木窯
喚鐘 長野 烈作