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平成二十八年 孤峰忌

江戸千家家元邸
十一月四日(金)

 今年の孤峰忌は、仙台国分尼寺の小枝一誠和尚による読経に始まり、家元の点前にて天目茶碗に点てられた御茶が流祖の塑像に供えられた。八女星野園に茶壺を預け、十月に口切りをしてきた抹茶がこの日用いられた。
 続いて仙台市博物館前館長・佐藤憲一先生による「伊達政宗と茶の湯」という講話があった。

 午後の呈茶では、博子先生が雲鶴という茶名を賜ったご紹介が家元からあり、花月の間の濃茶の点前を務めらた。蓮華庵は、東京役員の月尾宗君氏がお社中と共に薄茶席を担当。七十名近い参加者があり、改めて流祖を偲んだ一日であった。

家元の点前による供茶

家元の点前による供茶

小枝和尚による読経

小枝和尚による読経

花月の間 濃茶席

花月の間 濃茶席

【会 記】

花月の間
床 孤峰不白筆三幅対 假空中
   不白塑像 三ツ具足
    花 白玉 丸葉万作の照葉 
      供茶 星の奥 口切り茶
      供菓 空也餅
  不白所持 呂宋茶壺  号南山
 脇床  不白辞世の文
 及台子飾り 皆具
  釜  布団釜      寒雉造
   炉縁 真塗雪輪紋
  茶入 瀬戸尻張り 
  茶碗 奥高麗写   中里重利作
       銘 木守
  茶杓 一元斎作  銘 錦
  御茶  星の奥  八女 星野園
  御菓子 空也餅  銀座 空也製

一円庵
床 伊達政宗 八幡堂の文
          下ニ 黄瀬戸香炉
薄茶 蓮華庵   月尾宗君
床 光明皇后 五月一日経 奈良時代
 花  枯蓮 鳥兜 男郎花
 花入 唐銅       長野烈作
 香合 キンマ  
 風炉 博多芦屋
      唐銅籠目透眉無風炉
 釜  瓢形      宮崎寒雉造
 水指 高取
 茶入 一閑黒なつめ
 茶碗 瀬戸織部
 茶杓 一元斎 銘 荷葉    
 御茶 星の昔       星野園
 御菓子 吹き寄せ    亀屋伊織


 教 場
 床 福富海雲和尚筆
  「雲鶴」道号由来語句


■講話「伊達政宗と茶の湯」概要

 最後の戦国武将、独眼竜政宗として知られる伊達政宗は、幅広い教養をもち、和歌や連歌、漢詩をよくし、絵画や能、立花も嗜む風流人であった。その政宗が若くして「当世の茶の湯」(最近流行のわび茶)に出会い、稽古にいそしむ様子、そして関白秀吉の北条氏攻めに遅参した小田原での秀吉とのやり取り、千利休との初めての出合いなどについて、数多く残存する自筆の書状や家臣の残した記録を提示してお話くださった。

 その後古田織部や清水道閑など茶人との関係を広めていきながら、宇治の製茶師を訪ねたり、地元仙台で茶の栽培を行うなど、政宗は生涯茶の湯を愛し茶の湯を通した交流を大切に生きた。消息の端々にこまやかな気遣いや、冗談好きな人柄も感じられ、血の通った人間政宗像に接することができました。
 講話に因み、一円庵の床には政宗の消息が掲げられた。

講話

講師 佐藤憲一先生

伊達政宗 八幡堂の文

一円庵床 伊達政宗 八幡堂の文

蓮華庵床

蓮華庵床

一重山盡又一重 話尽山雲海月情

教場床 「雲鶴」道号由来


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