三月十六日の朝、玉林院方丈室中に開山月岑宗印の頂相が掛かり、読経が朗々と聞こえる。待合掛物は玉室宗珀の文、六条豆腐、蓮根、若和布の八寸で一献を頂きました。しばらくして露地を通って席入り。
お家元からご挨拶がありました。
月岑和尚が「遺誡状」に自身の葬儀及び年忌について「何事も玉室和尚に尋ねるがよろしい。お斎の献立は粗菜でいいが、蓮根か牛蒡、六条豆腐、若和布、ただし酒だけは京酒の中でもごく上等のものを念を入れて選んで欲しい。私の命日がいつであったとしても、二月末か三月、四月の始めどきの時候の良い時に……」と書かれている、非常に感銘しましたと。
そして、まさにそのように心をこめて、でも終始さりげなく。
正客は玉林院住職森幹盛和尚、床には実に珍しい寄堂の軸が掛かり、お家元自らお点前をされた。無作意な、それでいて緊迫感のあるふわっとしたお点前の雰囲気にただただ圧倒されました。
和やかな雰囲気ながら開山月岑への、ひいては流祖不白への敬愛の念がそこはかとなく見え、また和韻点の美味しい濃茶に新しいお茶への意気込みを感じ、心に残る一会でした。
お道具は形の締まった備前種壺、それに熊川、道入の名盌、中でも活き活きとした筒書の宗旦茶杓に見入りました。
徳田樹彦
本堂 月岑宗印画像
本席 洞雲庵
正客は玉林院住職森幹盛和尚
【会 記】 本堂 開山 月岑宗印画像 玉林院宝物 鉄鉢にお供物 寄付 玉室宗珀の文 池田炭の礼状 一献 曲折敷に 若布 蓮根 六条豆腐 本席 洞雲庵 和韻点て 大龍和尚の仏壇に 供香 供茶 床 寄堂 蘭竹図 花 檀香梅 月の笛(椿) 古銅耳付 堆朱長盆に 炉辺 釜 玉林院常什 炉縁 〃 本堂古材 台目棚 水指 備前 種壷 茶入 七官青磁 茶碗 熊川 銘 若菜 替 のんかう黒 茶杓 宗旦 銘 白鶴 共筒 建水 内塗 蓋置 織部 御茶 星の奥 星野製茶園 菓子 胡蝶 亀屋良永 器 呉須赤絵小鉢
寄付で一献(渡辺宗倫製)