港区白金台にある畠山記念館では、友の会会員を対象とする茶会を毎年開催しています。開館五十周年にあたる今年は、畠山記念館が翠庵で濃茶席を、川上宗雪宗匠が、浄楽亭で薄茶席を二日間に亘って担当しました。
この茶会への思いや趣向についてお書きいただきました。
一、畠山記念館は開館五十年になる。
私が丁度、慶応大学入学の年で、開館以来今日まで五十年間を通して楽しく学ばせていただいている。
一、今回で、三度目の掛釜と思う。
一、開館五十年への祝意と、創設者畠山一清翁を偲びたいと思った。
【茶会記】
寄付
床 光悦 文 五月廿八日付
本席
床 俵屋宗雪筆 芥子の図
花入 雲紋蒔絵 大鼓
花 初日 山吹升麻 河原撫子
二日目 京鹿子 九階草
香合 七宝
脇床 硯箱 道潅蒔絵
釜 真形
風炉 朝鮮風炉
棚 元禄棚
水指 仁清 白釉
茶器 忍草蒔絵 赤地友哉作
茶杓 自作 銘 松風
茶碗 薩摩
替 清水
建水 塗曲
蓋置 古染付 松下軒
御茶 池の白 八女星野園詰
菓子 双紙 空也製
器 砂張
本席(浄楽亭)床の間
寄付床 光悦書状
本席 様々な流派の方が終日楽しまれた。
◦本阿弥光悦の手紙。偶然にもドンピシャの日付であった。
◦俵屋宗雪(相説)筆の紅白の芥子図に祝意を表す。
◦雲紋蒔絵 大鼓の花入(江戸初期)は、即翁(一清氏)の能への造詣の深さを思って。
◦唯一風炉釜(木の葉地紋 芦屋釜 道也の風炉)は、畠山記念館より拝借。交流ができました。
◦主茶碗の古薩摩は銘「あやめ草」。畠山記念館のある林園一帯は、寛文九年薩摩の島津家が幕府から与えられた土地の一部で、二十六代藩主、島津重豪が隠居して別荘を営んだところ。重豪は流祖川上不白の茶の湯指南を受けている。
◦古染付蓋置は、名古屋の関戸家旧蔵品。
砂張の菓子器は、益田孝(鈍翁)旧蔵品。
◦後日、館長の畠山向子様からお礼状が届きました。
浄楽亭外観