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平成二十五年 孤峰忌

江戸千家家元邸
十一月三日(日)

 去る十一月三日、恒例の孤峰忌が家元邸花月の間に於いて開催された。
 花月の間の床には不白筆三幅対「假空中」が掛けられ、不白像が安置された。
 はじめに、家元の供茶点前により、不白像前と今回は一円庵に掛けられた松平不昧筆の消息前にも茶が供えられた。
 供茶式終了後の講義には、文化史研究家、谷村玲子氏により、一円庵の不昧の長文の消息の内容について興味深いお話があった。消息の中には、不昧公が川上不白に茶に招かれた事が記され、また、不昧の青井戸茶碗ほか好みの茶道具、道具商とのこと、相撲のことに至るまで幅広く、不昧が長期間にわたり滞在した江戸の様子をいきいきと浮かび上がらせるものであった。また、大名茶人不昧と千家宗匠不白の茶のつながりにも話が進められた。
 蓮華庵の薄茶席の床には、如心斎の茶事についての長文消息が掛けられた。この消息は如心斎没後に不白が表具仕立てにしたもので手紙のおしまいには不白の極め書きがあり、不白の師如心斎への気持ちが伝わってくるものである。不白と不昧、不白と如心という好対照の消息であった。
【会記】
■濃茶 花月の間
         主 川上宗雪

床 孤峰不白三幅対 假空中
  孤峰不白像 
      三ツ具足
      供茶 供菓
  花 秋明菊 野紺菊 西王母
 脇床 不白辞世の文
			


 及台子飾り
  釜  桐地紋    大西浄清造
  皆具 梅翁好   亀甲形
  茶器 古瀬戸 丸壷  銘 浜千鳥
  茶碗 唐津 中里重利作 銘 木守
  茶杓 宗雪作 銘 園城寺
  棗  不白好 菊 平棗
  御茶  口切り 星の奥
            八女星野園
  御菓子 伽藍餅     空也製
【会記】
■ 一円庵
床 松平不昧筆 朽木昌綱宛の文
         不白の名入り
         青磁香炉

■ 教場
床 初雁図 池上秀畝作

 不白所持 
  呂宋茶壺  号 南山

 飾り棚
  観音木像
    興福寺千体仏 藤原時代

■ 薄茶 蓮華庵
          主 川上宗康
床 如心斎消息 紙中不白極めアリ
     茶事承ノ旨
     湯川太郎衛門宛
            名心庵箱
 花  桔梗 杜鵑 薄
 花入 須恵      天平時代
 香合 キンマ
 風炉 大やつれ鉄風炉 中置
 釜  筒 伊勢芦屋 十牛地紋
 水指 高取
 茶碗 珠光青磁    南宋時代
  替 古薩摩 銘 峯乃雪
  茶器 一閑 菊桐紋 一元斎箱
 茶杓 蓮々斎作 銘月星  共筒
  建水 木地曲
  蓋置 竹
 御茶 口切り 星の昔  星野園
 菓子 吹き寄せ    亀屋伊織
花月の間

花月の間 床

家元供茶式

供茶式 天目茶碗で点てられた抹茶が不白像に供せられた

供茶式
谷村玲子先生の講話

講話 谷村玲子先生
    「松平不昧の手紙」から

花月の間

点心の後、花月の間では口切りの茶でお濃茶が振る舞われた

一円庵床

一円庵床

蓮華庵床

蓮華庵床


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