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第64回 東京不白会春の茶会

平成25年4月7日(日)
於 音羽護国寺

 床に松平不昧の長文の消息が掛けられた。朽木昌綱宛のもので、文中に、不白の東海寺の茶会に招かれたことの知らせの様子が記されている。不昧が四十七歳、不白八十一歳。三月七日の日付のものである。武家社会の中で活動した不白にとって藩主、大名との交流は盛んに行われていたことは茶会記、茶論の中でもよく見られるものである。政治改革を推し進めながら風雅に遊び自らの茶道論を展開させた松平不昧も同年三月に茶事に招いたことは知られていたが、その裏付けになる消息である。

 家元のこの消息を発見された気持ちが、今回の茶会の取り合わせによく表れていた。不白作の力強い竹花入に赤い椿と白雲木が生けられた床の間はまさに絶妙。不白作の梨地米棚に松江藩の蒔絵師勝軍木庵(ぬるであん)の蒔絵平棗、出雲伊羅保の茶碗など、不昧公と不白翁への家元の気持ちが伝わってくる。

■月窓軒

主 川上宗雪宗匠
月窓軒床 松平不昧の消息

月窓軒 床の間

家元の献茶

茶会に先立ち、家元により献茶が行われた

【家元席会記】
床 松平不昧消息 寛政十一年三月七日付
   「不白の茶 云々」の文面アリ
     この時 不昧四七歳 不白八一歳
  供香 砧青磁香炉ニ
  供茶 小井戸ニテ 
  供花 白雲木 明石潟椿
   花入 不白作
       一重切 銘 翁
 炉辺
  釜 好円窓繰口     長野烈作
  炉縁 鉄刀木

 米棚 不白好 真塗 
  水指 仁清写 藤の絵
  平棗 瓢尽し蒔絵   勝軍木庵作
  茶碗 宗入 大黒写
   替 出雲伊羅保 玉映 箱 不昧四女
  茶杓 一元斎作 萬歳
   建水 南蛮写
   蓋置 竹節 因久山窯
  御茶  松の齢    味岡松華園
           不昧公御用達
  御菓子 山川     越後屋若狭
   器  古九谷 大皿
   〃  青磁  〃   川瀬忍作

■牡丹の間

主 村上瑛二郎
牡丹の間
 床の間は鈍翁筆の短冊、「萬歳々々萬々歳」茶碗は御本六兵衛焼に馬越化生筆、奉祝の字。茶杓は高橋箒庵作、銘蓬莱山、畠山即翁宛箱、と財界数寄者のいかにも楽しげな取り合わせ。

■艸雷庵

主 李宗福
艸雷庵
 長野不白会会長の李宗福氏は、寄付に浅間山の絵を飾り、本席の床には、松平不昧筆の雪月花、を掛けられた。茶入は、不白作の豪快な作振りで銘は末広。

その他の席主は以下の通り。
  円成庵  白井宗喜、  不昧軒  石橋宗苑、
  宗澄庵  矢口宗悦、  
  楓の間 テーブル茶 山口香雪・直門早慶選

各席の会記等詳細は、東京不白会会報『池の端』58号に掲載されています。
各席の様子は、春茶会写真レポート のペ−ジでも見られます。


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