床には、東福門院の消息が掛けられた。後水尾天皇の弟一条兼遐宛のもので、お約束の飴について書かれた親しみのある内容。流れるような書風に引き込まれる。籐組の手は花籠に、大山蓮華、金鳳花、壷珊瑚が生けられた。
家元が好まれたという元禄棚に白釉の仁清水指が取り合わされ、天板には、松亭の見事なる花寄せ模様の平棗が置かれた。絵御本の茶碗に、茶杓は家元がこの茶会のために削られたもので、銘は初音。お菓子は亀屋伊織のほととぎす、千代結、京霜月の木の芽琥珀が四方盆にきれいに組み合わされた。
博子氏の初の席持の気持ちがお席に満ちあふれ、品格のある取り合わせに来席者は充分に楽しまれていた。
【会 記】
床 東福門院消息
このあめひとひ
御やくそく申候まゝ云々
花入 藤組手付籠
花 大山蓮華、金鳳花、壷珊瑚
香合 ころころ香合 不白在判
脇床 袖香炉
風炉先 黒柿 市松紋
釜 真形 松竹梅地紋 大西定林造
風炉 唐銅切合せ
棚 元禄棚
水指 仁清 白釉
棗 花寄せ 守屋松亭造
茶碗 絵御本
替 牡丹唐草紋 永楽即全造
茶杓 名心庵作 銘初音
建水 塗曲
蓋置 色画古銅 三唐子
御茶 星峰 八女星野製茶園
干菓子 ほととぎす 千代結 亀屋伊織
木の芽琥珀 京霜月
菓子盆 四方 松花堂画
以上