大震災からひと月も経たない日でした。四月、五月の大寄せ茶会の多くが中止を決める中、春の茶会は家元の意向により、開催となりました。
家元席の床、横一行の「懈怠比丘不期明日」を拝見。衝撃的でした。余震の続く不安な日々の中、まさに深く感ずるものがありました。今日こそが大切なのです。
軸の下の香炉には、伽羅「思い川」が焚かれておりました。脇の書院の吉井勇の小扇には「桃山の城にひとりの利休いてなごやかなりやたゝかいの世も」。棗の松蒔絵の歌について伺いながらの濃茶は、穏やかな味わいとなりました。
各席それぞれに趣向が凝らされ、席主ご自身が楽しまれ、東京にも大きな影響を及ぼした震災直後でしたが、参会者にとって安らぎのひと時となりました。
濃茶席。紹鷗棚には古銅花入に一輪挿
【家元席会記】 床 孤峰不白筆 横一行 懈怠比丘不期明日 香炉 砧青磁 竜泉窯 香銘 思川 おもいがわ 書院 小扇 吉井勇 歌 桃山の城にひとりの利休いて なごやかなりやたゝかいの世も 紹鷗棚飾り 釜 好円窓繰口 長野烈作 炉縁 真塗 一輪挿 古銅 花 椿 玉の浦 棗 松蒔絵 ちはやぶる平野の松の枝しげみ 千代も八千代も色はかわらじ 水指 砂張 平 濃茶器 瀬戸 茶碗 奥高麗 写 銘 木守 きまもり 中里重利作 茶杓 一元斎作 共筒 銘 礎 いしずえ 建水 輪花 蓋置 青織部 竹節 玉置保夫作 御茶 雲鶴 丸久小山園 御菓子 井手の里 本所越後屋 器 九谷 鉢 柿右衛門 鉢
床 玉室宗珀
床 不白筆 禅味通時茶味通
他の席主は以下の通り。
牡丹の間 北村宗恵氏、宗澄庵 佐々木光雪氏、
楓の間 長谷川宗純氏、不昧軒 藤澤可雪氏。
会記等詳細は、東京不白会会報『池の端』五十三号に掲載されています。
各席の様子は、春茶会写真レポート のペ−ジでも見られます。
恒例の護国寺、花祭り