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第62回 東京不白会春の茶会

平成22年4月3日(日)
於 音羽護国寺

 大震災からひと月も経たない日でした。四月、五月の大寄せ茶会の多くが中止を決める中、春の茶会は家元の意向により、開催となりました。

 家元席の床、横一行の「懈怠比丘不期明日」を拝見。衝撃的でした。余震の続く不安な日々の中、まさに深く感ずるものがありました。今日こそが大切なのです。
 軸の下の香炉には、伽羅「思い川」が焚かれておりました。脇の書院の吉井勇の小扇には「桃山の城にひとりの利休いてなごやかなりやたゝかいの世も」。棗の松蒔絵の歌について伺いながらの濃茶は、穏やかな味わいとなりました。

 各席それぞれに趣向が凝らされ、席主ご自身が楽しまれ、東京にも大きな影響を及ぼした震災直後でしたが、参会者にとって安らぎのひと時となりました。

◇月窓軒

家元席
家元席床 孤峰不白筆 懈怠比丘不期明日
濃茶席

濃茶席。紹鷗棚には古銅花入に一輪挿

【家元席会記】
床 孤峰不白筆 横一行
   懈怠比丘不期明日
  香炉  砧青磁  竜泉窯
  香銘  思川 おもいがわ
  書院 小扇 吉井勇 歌 
    桃山の城にひとりの利休いて
    なごやかなりやたゝかいの世も
 紹鷗棚飾り
  釜  好円窓繰口    長野烈作
  炉縁  真塗
  一輪挿 古銅
  花   椿 玉の浦
  棗   松蒔絵  
    ちはやぶる平野の松の枝しげみ
    千代も八千代も色はかわらじ
  水指  砂張 平
  濃茶器 瀬戸
  茶碗  奥高麗 写  
       銘 木守 きまもり
             中里重利作
  茶杓  一元斎作 共筒
        銘 礎 いしずえ
   建水 輪花
   蓋置 青織部 竹節 玉置保夫作
  御茶  雲鶴     丸久小山園
  御菓子 井手の里   本所越後屋
   器  九谷 鉢
      柿右衛門 鉢

◇円成庵

席主 堀之内宗丘氏
円成庵の床

床 玉室宗珀

 円成庵は、石州流片桐宗猿派堀之内宗丘様が釜を掛けられました。宗丘様の自作青竹寸切のこだわりのお話、そして代点の方による、石州流の点前も見所の一つとなりました。

◇艸雷庵

席主 中田宗節氏
艸雷庵の床

床 不白筆 禅味通時茶味通

 艸雷庵は熊谷不白会で長年支部長を務められた中田宗節様が担当されました。早朝に出発され、運び出されたお道具は、東京の護国寺の茶室で花を咲かせてくれました。

他の席主は以下の通り。
  牡丹の間 北村宗恵氏、宗澄庵 佐々木光雪氏、
  楓の間 長谷川宗純氏、不昧軒 藤澤可雪氏。

会記等詳細は、東京不白会会報『池の端』五十三号に掲載されています。
各席の様子は、春茶会写真レポート のペ−ジでも見られます。

花祭り

恒例の護国寺、花祭り


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