江戸千家 > 行事の予定・報告(2009年) > 第29回東京不白会夏期講演会

第29回東京不白会夏期講演会

実技「正午の茶事」

平成二十一年七月五日 (日)
於 江戸東京博物館大ホール

 去る七月五日、江戸東京博物館大ホールにおいて、恒例の東京不白会主催夏期講演会が開催された。今回は、家元の年間課題でもある茶事のうち「正午の茶事」が取り上げられ、解説を交え実演披露された。講師は川上博子先生。
 初座から後座への流れ、また、初座における本懐石の基本、主客の交流がテーマ。茶事は様々なやり方があり、個人の工夫次第であるが、簡略な茶事を行う場合でも、本懐石を学び体験することは大事なこと。聴講者の熱気が、今回の講演会の関心の高さを物語っていた。
 おしまいに、家元による講評があった。
初座の挨拶

初座の挨拶。露地の様子から寄付の掛軸、そして本席の掛物の内容の話にゆっくり時間がかけられる。
舞台の背面に、焦点となる所作、道具などがクローズアップされて映し出された。

鬱陶しい梅雨空が続く毎日ですが、如何お過ごしでしょうか。いつもお世話になっております。宗康先生を囲んで私共の一浦庵で粗茶一服差し上げたくご案内申し上げます。
 連客長井様、新保様をお誘い申し上げております。お忙しいとは存じますが、お目文字を楽しみにしております。かしこ
中野宗照 七月五日(日) 正午 粗飯をご用意させていただきます。 此の度初夏の茶事にお招き頂き、まことに有り難うございます。是非ともお伺いしたく、楽しみにしております。
 久しぶりにお会いしてお話したいこともあり、嬉しく存じます。           宗康
 六、二十六 中野宗照様 初座の挨拶 初座の挨拶
講師 川上博子先生

講師は川上博子先生

初座の挨拶
挨拶

「陰でご相伴させていただきます。奥に控えておりますので、ご用の節は……」
「よろしければ、是非ご一緒に如何ですか」

客同士、飲み交わす

徳利とぐい呑みで、客同士、馳走をいただきながら飲み交わす。酒杯の交換なども。節目のゆっくりタイム。

八寸

八寸。興味深く山海の珍味を拝見。「この鮑は……」

亭主自ら八寸の肴を

一口吸物の蓋に、亭主自ら八寸の肴を。

後始末

湯斗も済み、後始末。

拝見1

初炭の点前。拝見で主客交流。

拝見2
後座

後座。中立ちの後、雰囲気が変わり、心地よい緊張感の中での濃茶点前。茶事の流れの頂点。

薄茶

濃茶が済めば、リラックスして薄茶。和やかな会話。諸道具を拝見しつつ。惜しみながらのお別れ。

会場
家元講評
 川上宗雪宗匠の講評では、まず舞台上でお茶事を演じるという難題を担当された方々へのねぎらいの言葉があった。炭点前、薄茶、濃茶と、普段は単独で稽古をしている内容が、お茶事の中でどう位置づけられるかが、茶事を勉強することで理解できる。家元の今年の研究会課題でもある茶事を、機会をとらえて是非行ってみてほしい、と結ばれた。

©2009 edosenke
表紙へ歴史流祖茶室茶の湯のすすめ会報から不白会行事ご案内出版物事務局サイトマップ