第七回妙高天心茶会
平成二十年九月十日
於 新潟県妙高市 赤倉天心山荘
主 川上宗雪
天心の肖像が掛かる山荘の家元席 テーブル茶
法隆寺管長大野玄妙師の読経の中、献茶が行われた
第七回妙高天心茶会は、天心サミット(第十三回)と併せて催された。
天心サミットは岡倉天心の偉業を後世に伝えるためゆかりの地の妙高、五浦、福井が持ち回りで天心の命日九月二日前後に開催している。
今年は妙高市が座長となり、法隆寺管長大野玄妙師による基調講演「岡倉天心、聖徳太子と法隆寺」も行われた。天心は、明治十七年文部省より命ぜられた古社寺調査の折、法隆寺夢殿を開扉、秘仏久世観音を開帳し、その歴史に足跡を残した。
翌日は高原の風が吹き渡り、ペルシャ陶器のような青空に妙高山は終日姿を現し、天心が愛してやまなかった風景がひろがっていた。六角堂での大野玄妙師の読経のもと、家元が天心を偲び、献茶を行った。
山荘での茶会は、サミット関係者、江戸千家社中、地元の方々等、二百五十名位の参加があり、年々地域に広がっていくようである。床には可憐な山野草が李朝の徳利に生けられ、一度は生を断たれた花々が家元の手により新しい命を与えられた如く、風にそよぎ、虫の音に葉をふるわせていた。軸は天心の手紙で、コーヒーミルについて書かれており、この度のテーブルでのお茶にとてもよく取り合っているように思われた。茶杓も天心夫人基子のお茶の師匠という方の作であった。
家元の天心への心入れが感じられる取合せであった。
縁先では邯鄲がなき続けていた。 (東京 平櫛京雪)
大野玄妙師と川上宗雪宗匠、そして地元のみなさん
【会記】
外待合 ワイン チーズ
本席
床 天心の手紙
花入 李朝徳利 文字入
花 撫子 女郎花 雁金草
吾亦紅 釣鐘にんじん
薊 山白菊 尾花
香合 平櫛田中作
脇床 天心画像 下村観山画
テーブル茶
ハリオガラス湯沸し
盆点て
茶入 蜻蛉蒔絵棗
茶碗 不白作 黒 三日月
替 乾山 松絵詩入
茶杓 石塚宗通作
御茶 又玄 宇治小山園
御菓子 空也最中 銀座くうや