第16回 江戸千家連合不白会全国大会
流租不白没後二百周年記念
江戸千家全国連合不白会主催の、流祖不白没後二百周年を記念する全国大会が、平成十九年十一月三日より三日間、東京不白会担当によって開催された。
第一日目は、菩提寺谷中安立寺への参拝、孤峰忌にあたる十一月四日には、東京美術倶楽部において記念の茶会、同日夜には記念式典、懇親会がホテルオークラ東京において開かれた。
三日目には「不白の生きた時代」をテーマとするシンポジウムが新宿京王プラザホテルを会場として行われた。
全国各不白会から六百余名の会員が集い、流祖不白を様々な側面から感じ取る、充実した三日間となった。また、この大会が新たな時代への第一頁でもあることが感じられた。
日蓮宗 常親山安立寺門前
大会は先ず、流祖不白の墓所、安立寺への墓参から始められました。
午前十一時より、大会参加者の中から百六十名余りの方々が菩提寺へと向かい、不白の墓に香を手向けていました。安立寺書院には、空也最中と抹茶を一服いただける呈茶席が設けられ、寛ぎながら流祖への思いを語らう姿が見られました。
江戸千家歴代墓所
不白の墓前にてお祈り
記念の茶会には、招待者、全国からの会員合わせて五百余名の参加がありました。二階大広間、花の間には家元席、草庵の済美庵には、京都から表千家堀内宗完宗匠を迎え釜を掛けていただきました。伝来品の展示室には、この日初めて展観に付された品も多く、熱心に魅入る人の姿が絶えませんでした。四支部が担当したテーブル茶席は、寛ぎの空間として活かされていました。
■花の間 家元 川上宗雪
花の間 家元席
席主 川上宗雪宗匠
花の間の大広間には、床に、拙叟叟益筆「鳳来麟現」の大幅が掛けられました。不白二百周年という年は、祝いの年ということでもあります。古銅広口の花入にはブルーベリーの紅葉、伊勢菊の白と黄が鮮やかに調和。脇床には不白所持愛用の呂宋真壷が置かれました。
真台子に銀製の皆具。薄茶器は不白好みの鶏頭棗で、主茶碗に志野の名碗「朝萩」が用いられました。茶杓は不白の代表作「龍窟」。格調高い重厚な取合せでした。抹茶は呂宋真壷からの口切茶が用いられ、和韻点の一服が好評でした。
堀内宗心宗匠へお茶を差しあげる 半東 博之氏
御茶は「星の奥」、和韻点て
伊勢菊と鮮やかなブルーベリーの紅葉
【会記】
家元 川上宗雪
和韻点て
床 拙叟宗益
鳳来麟現
脇 呂宋真壷 不白所持 銘 南山
花 ブルーベリー 伊勢菊
花入 古銅 広口形
香合 子の日松蒔絵 鏡箱
真台子飾り
風炉釜 銀製 沢田宗味造
皆具 〃 〃
不白好
棗 鶏頭蒔絵 守屋松亭作
茶碗 志野 朝萩 松平不昧旧蔵
替 黒楽 道入造
茶杓 孤峰不白作 共筒
銘 龍窟
御茶 星の奥 八女星野園
口切り茶
御菓子 空也餅 銀座空也製
器 呉須赤絵 小鉢
〃 古九谷 菊絵 大皿
以上
■済美庵 堀内長生庵
席主 堀内宗完宗匠氏
堀内家は、表千家如心斎の直門として初代不白時代からつながりのある茶家です。このたびの不白二百周年の記念茶会における、家元の広間、堀内宗匠の小間という二席は、この上なき組み合わせとなりました。堀内宗心宗匠も席主役として、終日ご丁寧なるご解説をいただきました。
済美庵は、床の大龍和尚、覚々斎箱書きの瀬戸茶入、如心斎作の名杓「長生」という取合せの中に不白手造りの茶碗。二百周年への深い思いが込められ、伝わってきました。
寄付の掛物、不白筆の「常」の字が印象深いものでした。
済美庵 床の間
【会記】
堀内長生庵
濃茶
掛物 大龍和尚筆一行 不老峯頭萬歳松
花 万作 曙椿
花入 如心斎好 稲塚 同判
共箱書付
釜 裏甲 淨元作
炉縁 松スリ漆
香合 交趾 玉取獅子
水指 備前矢筈口 銘 巌松
了々斎直書 惺斎箱書付
茶入 瀬戸落穂 銘 小倉山
覚々斎箱書付
袋 虫秋草金襴
茶碗 不白手造黒 銘 山居 共箱書付
茶杓 如心斎作 銘 長生 共筒
蓋置 竹引切
建水 かねエフゴ
御茶 若松の昔 一保堂詰
菓子 綾錦きんとん 鶴屋吉信製
呈茶席掛物 川上不白筆 常の字
以上
家元伝来の不白作品をはじめ、大龍宗丈、如心斎、覚々斎(箱書き)等の秘蔵品が、互いに生かされながら適切に展示され、没後二百周年記念という今大会の意義を高めていました。
中央 大龍宗丈筆「孤峰」 左 不白肖像 右 如心斎肖像
特別展示に大勢の人が訪れた
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