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2020年7月20日

自宅の茶

岩手不白会研究会 

 岩手不白会では、今年の研究会テーマである「自宅の茶」が七月二十日(六席)、二十一日(七席)に開催されました。本来は家元を招請する予定でしたが見送られ、不白会会員だけでの自宅の茶事となりました。 最後にホテルニューウィングで報告会があり、リモートでの家元の講評がありました。各席のレポートが届きましたので、一部を紹介します。
■亭主 荒木田宗一
 半東 林 宗悦

◦お客の感想

 梅雨晴の一日、中津川原より心地よい風が入り、澤野先生と荒木田さんとのお話も楽しく素晴らしいひと時でした。おじい様(吉川保正)とお母様の思い出のお道具の取り合わせ楽しかったです。江刺の涼鉢を頂き、お濃茶席に入りました。ご亭主の奥様の手づくりの栗の渋皮煮をおいしく頂きました。

◦亭主の感想

 当日の梅雨晴は頂いた庵号、晴空庵のお陰です。気持ちのよい席を持ちました。茶席の前の点心はすくい豆腐のすまし汁、黒むつの西京焼きと菊の司の本醸造を味わっていただきました。家元からいただいた目を見張る北門鎮護神の山(岩木山)を床に飾り、祖父が民藝にも係わっていたので、 我が家の宝、河井寛次郎の花入に紫陽花とギボウシを生け、南部鉄器の鉄瓶で濃茶を点てお出ししました。お薄は林宗悦さんに点てて頂き、私は席に入り、澤野先生と楽しくお話できました。
■亭主 中丸宗京
  半東 高島照美
 正客の新柳様は、欠席となりましたが、社中でカバーし、正客と三客に助けられながら、早めに始め、予定通り終了出来て、 報告会に参加できたことはよかったと思っています。家元の色紙〝白椿 一輪生けて 小春かな〟を頂き感動いたしました。
■亭主 小苅米宗翠
 日程がウィークデーにあたり、家族が留守で丁度よいので(?)、引き受けました。終活を考え、庭を畑にしてしまいましたので、お花を探したり、食材を探し回ったりと、当日までハラハラでした。臨機応変、メニューを変えれば良かったと反省です。茶事の実践、その後の報告会までの時間が十分ありましたのでお客様にゆっくりしていただく事ができ、半東とのいつもの連携プレーで焦らずに進めることができたと思います。またひとつ、いい経験が出来ました。
■亭主 福士宗信 宗久
 ◦クールビズのテーブル茶事  盛夏ですので、家元提唱のテーブル茶事に挑戦してみました。案内状にはクールビズのテーブル茶を差し上げますのでお洋服で気軽にお越し下さいと書き、お送りしました。  茶事当日の朝は、打ち水をしてお迎えし、まずは居間で軽いお凌ぎを差し上げ、続いて座敷に移り座卓でお濃茶を差し上げました。
 床の間には家元から戴いた軸を掛けました。二十年ほど前西和賀町の女神山に登山した時の思い出の軸で山の画と〝往き〳〵てひいとつふたつ蛍かな〟という家元の俳句が書かれています。お濃茶は、おひとり一碗ずつ差し上げましたが、これがなかなかうまくゆかず稽古不足を痛感しました。引き続きお薄をそれぞれ三人に差し上げ、クールビズの初テーブル茶事をお開きとしました。
 水屋は家内で、初めて二人だけでお客様を接待しました。至らぬ点があったと思いますが報告会では石田ご夫妻から今までのお茶事のイメージと違ってとても楽しかったとの言葉をいただき、恐縮するとともに少しホッとしました。
■研究会を終えて…

岩手不白会会長 澤野宗桂

 この度七月の研究会はコロナウイルスの問題で家元、新柳様をお迎えできず、残念なことと思っております。
 このような状況でも新柳様の御尽力でリモートで家元のメッセージを出席者全員各テーブルでお聴きすることができました。お陰様で報告会が充実したものとなりました。
 各亭主方はそれぞれ工夫したお道具組、そしてお料理にお酒のお茶事で、お客様をお迎えする思いが充分に伝わって参りました。一人分の御濃茶はむずかしいものですが、とても美味しく点てられていて感心しました。
 この度の家元のご褒美の色紙は亭主全員に、空也の最中は出席者全員で頂戴いたしました。報告会は二日間共真面目に和気靄々に終了いたしました。今までに経験したことのない研究会でございましたが、忘れられないものとなりました。

オンラインで家元の講評を視聴

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