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2024年5月1日

長野家元招請研究会

家元招請研究会〈課題:茶通箱〉

大場宗絵(長野不白会)

○霧雨の菱野温泉にて行われました。午前中の講義では、「茶通箱とは二種のお茶を飲み比べるための作法、その本来の趣向を忘れてはならない」とご教授いただきました。
 午後の実践の冒頭に、家元は「皆さんには目を閉じて五感で点前を捉えることをお勧めしています」と話されました。釜の煮える音と雨垂れが縁側の庇に落ちる音を聞きながら点前の進行を心中で辿っていると、とても心地よく豊かな気持ちになりました。しかし想像での手運びが迷子になると、お点前を見ておかなければという気持ちから、ご亭主の動きに見入っておりました。茶通箱の点前は本来の趣向のためにあるとの家元のお言葉の通り、二種のお茶の味と香り、茶碗に残った景色までも堪能することができました。
 茶通箱は手数が多く大変だという先入観があったのですが、「茶通箱」に親近感を持ち、楽しみながら学ぶことができました。

御堂島良子(長野不白会)

○家元による講義の冒頭に紹介された『不白筆記』掲載の「茶通箱」について、帰宅後熟読しました。 「箱三様」の中で、茶通箱は第一にお抹茶を贈るための運搬用具であったこと。第二に良いお茶を後座までの間、濃茶器に入れて水屋の棚に保管しておく際の陰の入れ物であったこと。そして第三は、二種類のお茶の飲み比べを楽しむため、お点前用の表道具になったこと。「濃茶二種点前」は、箱なしで実施してもよいことを知りました。
 家元の「飲み物としてのお抹茶が本当に好きかどうか。これが一番大事な根底であり、お点前は手段」との言葉をお聞きし目から鱗の思いでした。

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