家元教場研究会レポート(9)
課題ー古典(相伝物) 第一回 唐物(盆点)
高谷宗晶(土B:東京不白会)
平成二十二年から家元研究会に参加していますが、私にとって研究会は非日常の濃い勉強の時間となっています。今回のような格の高い場で正客を務める機会などないものと思っていました。突然のことで舞い上がってしまい、家元の指摘の通り全く慣れておらず、見苦しいことばかりでした。
あの日以来ずっと稽古場での背後の皆様の視線が体中に残っているような気分で放心状態に陥り、感想文の提出もどう考えても何も浮かばず時間が過ぎていきました。
茶の湯は一期一会と申しますのに、研究会が済んだ夜に日中のお茶事を、もう一度やりなおしている夢を見てしまいました。
ただ、ご相伝以来の「盆点」のお点前を間近で拝見し、宗匠ご自身から初座でお酌をしていただき、後座でお濃茶を味わう事ができまして、本当に幸せな時間でもございました。これから、遅まきながら仲間や親しい友人と共にお茶事を積極的に行っていきたいと考えております。
家元教場研究会 - 古典(相伝物)
根岸宗昌(土B:熊谷不白会)
・料理当番
私は、急遽料理の担当となった。当日、準備していただいた料理を並べるだけでよかったのだが、実際にこれが非常に難しかった。小振りのお皿に海のものと山のものを分けて並べればよいのだが、容易された食材を前にして迷うばかりでアイディアが浮かんでこない。いかに日頃、考えもせずに料理の盛り付けをしていたか痛感させられた。お皿い並べたが、まとまりがつかず思案していたところ、奥様に一種類料理を足していただき盛り付けをご指導いただいたおかげで、見た目も美しくお出しすることができた。
反省会で、お料理については、まず、味がおいしくなければならない。次に季節感、彩りや分量、盛り付けで目を楽しませることも大切であるとのご指導をいただき、とても勉強になった。
研究会後に『ひとゝき草』を読み返してみると、今まであまり気に止めていなかったが各号に各地の茶事のお料理の写真が掲載されていることに気付いた。季節や器に合わせそれぞれおいしそうな料理が美しく盛られており、次回から会報を読む楽しみが増えたと感じた。
・家族との茶事
家元からの「実践が大事」とのご指導をずっと受けていたがなかなかとりかかれずにいた。今回、研究会でお料理担当となったのを機会に、連休中に家族を客に迎え、食事とお茶でもてなすことを実践してみた。家の掃除から始め、料理本を読んで献立を考え、食材の買い出しと、準備には時間がかかった。実際造った料理は簡単なものだったが、器をそろえたり、盛り付けを考えるのも楽しい作業でもあった。お盆に小皿を並べ、お酒とともに出し、家族三人でゆっくり食事をし、その後、娘の好きなお濃茶をお菓子と共に味わった。慌ただしい日常の食事とは違い、のんびりと楽しい時間を過ごすことができた。
茶事にはまだまだ遠い道のりだが、まず家族との簡単な茶事に朝鮮できたことは収穫であった。実際にお客様をお呼びする事を考えると途方もなく大変だと思うが、そこに近づけるように、日常の食事ももっと心を込め、楽しい食事になるよう工夫してみたいと感じさせてくれた一日であった。次は、友人を招いての茶事に挑戦してみたい。
・水屋での準備
今回、特に炭や釜の準備が勉強になった。普段のお稽古でも、炭や釜の準備をしているが改善するところを見付けることができた。
下火であっても、湯がしっかりと沸くように心を配り、さらに美しく入れてあったのが印象的であった。また、稽古でのお釜の水の量が少なかったと反省した。早速次の稽古の時には、社中の方と一緒に炭やお釜の水の量を実践に移すことができたので、今後も継続したい。
・茶事の中の盆点唐物
半東の動きや水屋全体の流れを見ることができたので大変参考になった。
また、唐物や盆点は稽古の経験も少なく、お点前が難しいという気持ちが強かったが、本来はそうではない。自慢のお道具を是非お客様似楽しんでもらいたいという真の目的を再認識した。心を込めることで自然に立ち居振る舞いやお点前が丁寧になり、心を込めたお茶だからこそ美味しく飲んでいただきたいという原点をしっかりと心に留めていくことがまず第一歩であると感じた。そこを理解することにより、半東や水屋の動きもおのずから決まってくると学んだ。
今回の研究会に参加し、茶事の流れの中の盆点唐物を家元のお点前で拝見することができて非常に勉強になった。客をもてなす気持ちが準備や会話、お点前にあらわれるということを再認識した。
また、研究会での学びが家族との茶事という実践につながったことも収穫であった。
今後も研究会に参加して学んだ事を少しずつ実践につなげていきたいと感じている。
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