2011年7月25日
風炉の茶事-ロサンゼルス不白会家元招請研究会2
家元招請研究会−【茶事の実践】
藤田宗明(羅府不白会)
この度御家元招請研究会の一連として、一日当茶室において席を持つようにという大変ありがたい機会を頂いた。以前、御家元と博子先生が研究会にロサンゼルスへお越しになられた折、ご多忙にも関わらず我が家へお立ち寄り下さった。夫の手造りの茶室が出来上がってからまだ1年程で、御家元にひと目ご覧いただければとのご配慮を賜ったのである。大変お忙しいスケジュールであったのでお茶の一服もお出しすることができず、とても残念に思っていたが、御家元から腰張りを貼ってみてはどうかと貴重なご意見を頂いた。
それから5年後に若輩の自分に正午の茶事を持たせていただけるとはなんと幸せなことだろうか。自分の茶室で初座から後座へと茶事の流れを通して行ったことは一度も無い。今まで教えていただいたことを復習しながら計画を進めた。頭の中で構想は巡り御家元をはじめお客様をどの様におもてなしするかを考えている時は楽しさが湧いてくる。
当日は夏休みの時期でもあり9歳の娘が在宅しており、5年ぶりに御家元と再会ができた。待合としたリビングルームで娘が御家元にショパンのピアノ夜想曲を弾き、御家元がそのお返しにと笛を一曲吹いてくださった。なんとも和やかな雰囲気の中茶事が始まった。
茶事が終わって記念写真
露地は無いので中庭を通っていただき、一角に設えた蹲をお使い頂き茶室へご案内というなんとも風変わりな設定となったが、家の中を通るだけよりもまたひとつ違いがあるかと思った。初座では点心懐石をご相伴させていただき、御家元はじめお招きに応じてくださった西村宗櫛先生、マーセリオ宗和先生とお話ははずみ、カリフォルニアの特産物を考慮した料理を味わって召し上がって下さったことをとてもありがたく思った。後座は濃茶のあとお半東を務めてくださった榊原美香さんが薄茶を点て、お水屋を担当して下さった師匠の新井宗京先生もご同席頂き、尽きない愉しい交流の後、御家元からこの度の茶事についてのご教示を賜った。
そのひとつに初座から後座への変化で、特に茶室の明るさを変える事を教えていただいた。茶事の流れに明るさの変化をもたらすとは何と素晴らしい考案だろうか。音楽にしてもダイナミックが無ければ無味乾燥な演奏に終わり、心に響かず機械的である。茶事における変化に日本の美を思い、茶の湯を学ぶ者として大きな感慨があった。
未だ深淵のふちをみるような思いに駆られる。この茶事実践を行ってみて今まで気がつかなかったこと、これから身につけて行きたい事、普段の稽古に取り入れて学びたいことなど大いに勉強させていただいた。自分の茶は手慰みで終わりたくない。辿り着く所はまだ見えもしない遠くにあるがそれに近づいて行きたいと思う。
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