2011年5月8日
今年の風炉の始まり
家元招請研究会−【茶事の実践】
上島宗愛(高知不白会)
まず、歓迎の挨拶
ゴールデンウィークの余韻が残る五月八日、家元招請研究会が三翠園ホテルにて行われました。
「何のためにお茶をするのか」。お家元のお話はこの一言から始まりました。自分自身に深く問いかけながら、私はお家元の一言一句に耳を傾け、そして、お当番の方の一挙一動を見つめました。
亭主の挨拶が始まり、風炉を清め、お膳が運ばれました。ベネチアングラスの向付がとても爽やかで、今日の鬱陶しいお天気をはね返すようでした。私はいまだ体験したことがないので、今回のような亭主も席中にてのご相伴に、「こんなお茶事もいいなあ」と憧れます。
続いて、お膳が下げられ、炭点前になりました。「何より大事なのはお濃茶を点てるときに釜の湯がよく沸いていること。このお茶事が成功か、そうでないかはそこにかかっている」とのお家元のお言葉が心の奥に残りました。
亭主も相伴で一献
今回のお茶事は見事成功のようで、お濃茶の入った凛とした白磁のお茶碗に、シュンシュンと音が鳴るお釜からお湯が注がれた瞬間、お茶の香りが広がり、私は深く息を吸い込みました。
冒頭にお家元がお話しされたことを再び思い返しました。研究会の際のお茶事では、交わされる会話はぎこちないものになってしまうのは仕方のないことですが、実際に自分達だけで行う時でさえ、常にお点前に集中しがちです。ゆとりを持ち、さりげなく話を弾ませ、お客様と共にその場の空気に浸れるお茶事ができる人になれるように、精進を積み重ねて行きたいと強く思いました。とても有意義な「今年の風炉の始まり」でした。
さて、私ども高知支部は、今秋の全国大会をお引き受けいたしております。遠路お出で下さる皆様を、我が家にお招きする気持ちで精一杯務めさせていただきたいと存じます。支部一同、心からお待ち申し上げております。
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