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2008年11月16日

初の亭主雑感 —月を心に映して

家元招請研究会−【茶会の実践】

宮迫宗勇(新潟不白会)

 新潟特有のどんよりとした時雨模様の中、「茶の湯実践」が六席に分かれて行われました。
 同じく茶の湯を学ぶ家内は席を持ったことがありましたが、私が席主を務めるのは今回が初めて。お茶では私は家内の付き添いのつもり、何故私が……。心の準備ができていない状態で、いよいよ当日〈まさか〉が現実になってしまいました。
 お家元には、何の風情もなくありのままの姿を見ていただくしかありません。一歳の誕生日を迎えたばかりの初孫の声や我が家の一員である犬の声、そんな環境の中で緊張と不慣れなお茶席にもかかわらず、温かく和やかなそして楽しい雰囲気をかもし出していただき、気配りのこもったご指導をいただきました。同席の皆様はもちろん、未熟な私を裏方で懸命に支えて下さった半東さん、そして家族に改めて感謝しております。
 良寛の「茶之賛」の一節に「……其の味たる、高古、淡雅、幽邃、清和なり……」とあります。そんな一服をお出しすることの難しさを再認識すると同時に、心に染み入る一期一会の重みを日増しに感じております。
 十二月一日、澄んだ夜空に三日月と金星、木星が優しく微笑み輝いておりました。この度頂戴致しましたのは家元の「月」の色紙。「自らは光を持たないけれども、己を知る謙虚さ、誠実さに見るひとが感化される存在」。「月」を見る度思い出すことと思います。
 凛とした茶事の心構えを忘れず、気軽にお茶を友として語らう、そんな日常の茶の湯を家内共々楽しんで行けたらと思っております。

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