2008年4月29日
工夫を楽しんだ亭主役
家元請研究会−【茶の湯実践】
永田範子(青森不白会)
広間での点心と濃茶のもてなし
例年にない早い春の到来に散り始めた桜の下、四月二十九日に青森文化会館にて、家元招請研究会『茶の湯実践』が行われました。前もってくじ引きで決められた方々が、それぞれのお宅に伺う方式です。
未熟ながら、私は初めての大役である亭主を務めることになりました。寄付は大きな六曲屏風を配し、お軸に見立て甲人の油絵をかけ、六名のお客様に白湯を差しあげ、ゆっくりしていただきました。蹲で清めた後、席入り、いよいよです。
お客様一人一人とご挨拶の後、少し早めではございましたが、簡単なお食事をさせていただきました。大山桜の実で作りました薄ピンク色のお酒で、お席が一段と華やいで楽しい場になりました。
床のお軸は「百花似開錦」。正に八甲田の山々は、そのようでございました。花入は耳付青磁に瑞々しいクマガイソウを一輪、脇床にはミャンマーの硯箱、水指はシックな海老の耳付、お菓子は縁高に入れてみました。桜色をした大振りな萩の茶碗にお濃茶を丁寧に心を込めて練りました。お客様の「とても美味しい」との声が大変嬉しく思いました。
お薄は、ベランダでの意表をつくお盆点て
再び、中立ちの後、今まで閉めていましたベランダ側の障子を大きく開けますと、お客様より歓声があがりました。真っ赤な野点傘が目に入ってきたのです。席主山本の心ばかりの演出です。
お薄席はベランダでのお盆点て。テーブルを囲んだ椅子にも赤い毛氈を敷き、ちょうど満開の菜の花をこんもり生けました。お干菓子と春の花々の数茶碗でお薄を一服、開放的な青空と心地よい涼風に、今までの緊張もすっかりほぐれ、会話がボンボンと飛び交いとても楽しい一時でした。
文化会館での報告会においては、思っている事の十分の一も言えず、皆様が発表する度に、それぞれのお席の様子を想像しては楽しさが広がり、今回の講習会は私にとりましては如何に実のある会であったのか、最後にお家元様からのプレゼントは、直筆の色紙でございました。私は「和」をいただき、わが家のお宝として、茶の道を少しずつでも歩んで行きたいと思っております。
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