2011年11月6日
心尽くしのご相伝式
福田宗勝(大分不白会)
十一月六日、大分支部では、お家元をお迎えして乱飾のご相伝式が行われました。生憎の雨でお家元には御苦労をおかけしてしまいましたが、感動いっぱいのご相伝式でした。
しっとり濡れた露地の草木に落ち着きをもらって始まった朝。寄付では期待と緊張が少しずつ膨らみます。そしてお席入り。ぴいんと張った空気、胸が高鳴ります。お家元のお炭点前。息を潜めてしっかり拝見に浸る皆。私もお家元のお点前やお話に神経を集中させました。感動と緊張、至福の時。お茶事が続いていきました。お茶事の後、お家元より、親しく和やかに許状をいただいた十二名、だれもが感激、感激の表情でした。
ご相伝式で受け取らせていただく事がいろいろあった中、私の心に強く響いたのは、私共の為にお家元がお持ち下さったお軸、「紅爐一點雪」です。
「『こうろいってんのゆき』と読みますが、皆さんは、どのように解釈しますか」
情景は想い浮かぶものの、解釈については(うーん)と考え込んだ私でした。
ややあってお家元が話して下さいました。「いろんな解釈ができると思うが、紅く燃える炉中に一片の雪が舞えば、雪という存在は忽ち消える厳しい現象。この厳しい現象を回避するか否かの選択をするならば、敢えてその厳しさに立ち向かう方を取りたい。発想の転換をすることにより、失敗を恐れず勇気を持って挑戦し、新たなものを見つけられる事に期待したい」
といった旨の内容だったかと思います。
逃げ腰弱腰の自分を見透かされたような衝撃と、お家元の物事に対する熱い姿勢を感じました。
「気の短い人には落ち着きを、気のない人には気付かせるために、茶の湯は結構役立つもの」(便覧四十五号)とお家元が書かれていましたが、「気付かぬ」私は、茶の湯のお陰で教えられ、気付かされの機をいただいたと実感すること多々ありました。そして此の度の大きな気づかされ、「紅爐一點雪」です。お家元よりのこの励まし、贐の言葉は、ご相伝式でいただいた大切な物の一つです。今後は、茶の湯を含め生活の中で、私の歩む道の新たな灯にしていきたいと思います。
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