2010年10月23日
名残の茶会
西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)
やぶれ風炉にて炭点前
(ロサンゼルス不白会西村宗櫛氏が主催した「名残の茶会」が,現地の日本語新聞「羅府新報」に掲載されました。転載します。 編)
茶道江戸千家ロサンゼルス不白会の西村宗櫛社中は十月二十三日、「名残りの茶会」を西村宗櫛宅「錦泉庵」で開催した。「仲秋の名月」を祝う茶会におよそ三十人が参加し、日本の風物詩を堪能する茶席となった。
ベランダで月見、初座で点心懐石のあと炭点前と続き、濃茶席では乗富克久さんが亭主を務め、厳かな雰囲気漂う茶室に十七人の客を迎え入れた。床に掛けられたのは十代川上宗雪筆の「中秋」、時代籠の花入に飾られたすすきと菊が秋の彩りを添える。
香合は名月・吉向窯七世松月、香は秋篠、釜は惣霰地紋鶴首釜・菊池正直作のやぶれ風炉。水指は享保の高取焼細一重口、茶入は宗胡録耳付き写し、茶碗は李朝、替には李朝・高取を使用。茶杓は松斉作の輪島塗の秋もみじ、茶は星野園の星の奥が使われた。茶道を習い始めて十年という乗富さんは、一つひとつ美しい所作で茶を点てていく。
濃茶席のしつらい
薄茶席はお盆付き茶箱で行われ、椎名宗梨さんが亭主、半東を兼子宗理さんが担当。釜は薩摩焼と銀瓶、茶箱は利休形竹蒔絵茶箱・皆具、茶碗は亀甲繋ぎ名月、仕服に奈良古代切れを使用。また茶杓に秋草、茶は星野園の星峰が使われた。松山夕貴子さんの琴の演奏とともに行われた薄茶席は野点風立礼席で行われ、濃茶とはまた違う薄茶の味わいを金平糖と干菓子「秋の吹き寄せ」とともに堪能した。
茶席参加者は日本人だけでなく、渡米してまだ一年というモンゴル人のソゴ・ガンゼンさんは茶席を終え、「日本の伝統文化を体験し、あらためてその素晴らしさを実感できた。また参加したい」と述べ、はじめての茶会を楽しんだ。
濃茶点前
同じく初参加者のミシュエル・ウォンさんは、「畳のある本格的な茶室で茶道を体験でき、まるで日本にいるかのようだった。濃茶の味は苦かったが飲んだ後、身体が浄化されていくような感覚を味わえた」と語り、はじめての茶会を満喫した様子をみせた。
西村宗櫛氏は参加者に対し「日本の伝統文化のひとつである茶道に興味を持ってくれたことをうれしく思います」と謝意を表し、「これからもぜひ参加し、茶道を楽しんでほしい」と今後の継続的な参加を呼びかけた。心温まるもてなしに、参加者一同から感謝するとともに、日本の伝統行事の茶道の奥ゆかしさを再認識する日となった。
立礼の薄茶席
点心を楽しむ
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