2014年12月11日
師の誕生日を祝う茶会
藤田宗明(羅府不白会)
十二月十一日、新井宗京先生の八十五歳のお誕生日を祝う茶会を自宅の徳風庵で行いました。この大変おめでたい日に皆様とご一緒にお祝いできたことを心より光栄に思います。
茶会を開くに至っての準備や構想は、亭主側としては既に「茶事の楽しみ」で、点心の献立を考えている段階から笑みが自然に出てしまう程です。これは茶会の序曲と言っていいのかもしれません。お道具は持ち合わせの中から、特に師との思い出の深い古瀬戸の芋子茶入を使いました。この茶入は約十三年前に師と家元の教場を訪れた後、共に池之端を散策しながら、ある骨董店で出品していたものを見つけたものです。師に相談しながら茶入れを入手したこともそうですが、池之端でご一緒にのどかな午後をゆったりと過ごした貴重な思い出がこの茶入れに詰まっているようで、私にとって掛け替えのない茶入れでございます。
一連の流れとしては、点心懐石で始まり、後座は亭主が濃茶を点て、薄茶を半東の榊原さんが勤めました。前回家元をお招きして行った茶事実践の際、後座の薄茶点前に於ける茶室の明るさの変化をご教授いただき、この度実行致しました。暗めの濃茶点前の厳粛で静寂な場から、薄茶では明るい茶室に変えました。ぱっと明るくなった場の薄茶では会話も弾み、明暗の変化はお客の気持ちに大きく影響すると実感いたしました。そして、濃茶の静けさは更に余韻を残すのではないかとも思いました。おもてなしに明るさを気遣うことも大きなお勉強になりました。
至らないことが多い手作りの茶会でありましたが、お蔭様で新井先生の御誕生日を無事にお祝いできました。これから先、幾重にもこのお祝いの茶事を持てることを願って止みません。
◇ ◇ ◇ ◇
Tea for a Celebration
On December 11, 2014, at my teahouse, Tokufuan, I held a tea gathering (Chakai) to celebrate our teacher, Madam Sokyo Arai’s 85th birthday. I was very honored to celebrate this happy event with tea peers at my tea house.
It is a joy of to celebrate Chakai, but the joy starts in the planning and preparations. Even when I was thinking about the menu of Tenshin (short version of kaiseki meal), I was having so much fun that a smile was on my face. I thought this could be called a prelude to Chakai. Among the utensils for this event, I wanted to use a specific Chaire (tea container for thick tea). The Chaire brings to my mind the memorable times with Madam Arai. About 13 years ago, Madam Arai and I took a nice walk at Ikenohata after the lesson at Oiemoto. We discovered an antique store, and I found this Chaire. Not only did I acquire the Chaire in her presence, but I fondly remember the time I spent with Madam Arai as being so peaceful and precious. This memory will always remain so vividly in my heart.
The Chakai started with Tenshin. Afterwards, Teishu (host) made Koicha and Ms. Sakakibara as Hanto made Usucha. Previously, when Oiemoto visited my tea house, he taught me to change the lighting between Koicha and Usucha. At this Chakai, I performed what I learned from him. The Koicha took place in dark lighting with solemnity and silence. For the transition to Usucha, the lighting became much brighter. In this changed environment, the conversations blooms and lift guests’ spirit much lighter. This significant change makes Koicha’s quietness and dignity which lingers in your mind more. I learned through this experience that the change of lighting is also an important hospitality.
I am so glad that I was able to hold the Chakai to celebrate Madam Arai’s birthday. I strongly wish that there will be many more years to hold this celebration tea gathering for Madam Arai.
Fujita Somei
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2014年12月5日
「ホッとタイム」
幸田宗陽
十二月五日、Y小学校において、五、六年生とALT(外国語指導助手)の先生、計三十名の「身近な人とホッとタイム」という授業に、抹茶体験で参加させてもらいました。
長いテーブルを二カ所設置し、各学年の生徒、間にALTの先生に席についてもらいました。はじめに、私たち二名が盆略点前で各学年のお正客にお茶を点て出し、そののち、各一名ずつ点前席に出て、交代でお友達にお茶を点てて振る舞うという流れで進めて行きました。
お茶をすくい入れ、お湯を注ぎ、一生懸命茶筌をふる。点てたお茶を出して飲んでもらい、ALTの先生に教えていただいた「How’taste? 」。すると親指を立てて「good!」の返事。その時の生徒の顔は安堵と共に大層うれしそうでした。最後の校長先生のゆっくり、ハッキリの「very good」には場が沸きました。
合間に、お菓子のこと、棗の形、縄文時代にすでにあった漆(Japan)について、お茶席にとってとても大事なお軸のこと、「自分の中にいるもう一人の素直な自分が教えてくれる」という言葉、禅語について、そしてyes、noだけでなくグレーゾーンを大切にする民族である日本人が、常に相手の身になって考え、行ってきた大切な文化、お茶について……。少し難しいかなと思いつつも、お話しました。視線をそらさず目を輝かせて静かに聞いている姿が印象的でした。別のテーブルに並べた棗と茶杓を生徒達が興味深そうに見いっていました。
もう一人の素直な自分そのものの子供に触れることができ、私たちにとってのホッとタイムとなりました。
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2014年11月24日
岩手不白会 茶事研究会報告集から
亭主 高橋宗初(11月24日)
家元招請研究会−【自宅の茶事】
岩手不白会
平成二十六年に岩手不白会で行われた家元招請研究会の報告集が届きました。六月二十二日、二十三日、十一月二十三日、二十四日の二回の研究会で合計三十一席の自宅の茶事が行われ、各々の会記、客の感想、亭主の感想など、写真も添えられたレポートです。その中から、ごく一部の報告を抜粋して紹介します。
◇ ◇ ◇
■席主 竹花宗昭 六月二十二日
お家元が常日頃お話し下さいます「車の運転免許をとったら、実際に運転しないとドライブの楽しさが分からない」。そろそろ運転しながら周囲の景色を愉しみ目的地に着けるようにと思ってはいたのですが……。今回自宅の茶の機会をいただきました。「さあ、ドライブ!」ハンドルをとる手がガタガタしそうです。
目標は二つ。一、風炉の茶事、その基本を学ぶこと。二、お客様、水屋、亭主、参加する人が楽しい思い出を残すこと。
目標一は、社中の先生にお炭のこと、夏の道具組みについて相談し、ちょうどいい道具がなかったので、旅行で求めた物をお出しして楽しむことができました。
二つ目は、暑い季節ですので、火を通したもの、冷たいもの、季節感のあるものを考えました。お花は庭にあるもの七種を籠に入れてみました。食事の量が少なかった、亭主に余裕がなく動作が早かった、と反省。冷や汗が出るようなことがあったのですが、「事故」は起こさず目的地に着いたことを嬉しく思っています。お家元より建仁寺で詠まれた色紙を頂戴しました。建仁寺の天井絵の龍の目がとてもやさしく描かれていました。今度は自分からドライブをしてみようかと思っています。近場にもきっとステキなところがあるような気がします。
◇ ◇ ◇
席主 石田宗洵
■席主 石田宗洵 十一月二十四日
今回の客組みの連絡を受けて「東京から若いお客様を迎えて、みちのくの初冬の雰囲気を味わっていただく」ということを基本に据えました。
床は岩手山の冬景色を詠じた山口青邨の俳句、後座の花入には地元の漆職人にによる一閑張の能管筒を、炭も木炭生産全国一の県産のものを使いました。点心は、『豆腐百珍』にある「鶏卵豆腐」を使った椀盛、銀杏ご飯、柿と帆立の白あえ等で整えました。菓子は、沿岸の菓子店の季節にあわせた「ころ柿」、地元菓子店新作の「不来方」と、不白案と伝えられる「常盤栗」を参考に「もどき」のようなものの手製を試みました。
茶席においては、会話が弾んで和気あいあいの初座になりました。気軽な会話の正客、インタビューのプロである次客、和やかに話に応じる三客、四客で、楽しい初座になりました。
後座の濃茶席は一転して静寂の中で推移しました。続いて薄茶では、再び会話の楽しい席。茶入の銘から、紅葉の移動の話、仕服の「永観堂金襴」から京都の紅葉名所の話題に移りました。地元窯の濃茶碗、京都で修業した正客に会わせて薄茶碗には和楽の「真」を加えました。薄器には、平泉中尊寺の金色堂の柱の模様「宝相華唐草」のデザインを使い、伝統工芸士に塗ってもらったものでした。この模様は敦煌にも見られたもので、奈良、平泉を通過して、シルクロードの果が「みちのく」のこの茶席に及んだような話になりました。大変楽しいひとときでした。
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2014年11月20日
地元の食材を使って
家元招請研究会−【自宅の茶事】
飯泉宗江(茨城不白会)
十一月二十日、家元研究会のテーマ「自宅の茶」をお家元、博之様をお迎えして、それぞれ四ケ所の自宅で行われました。私の家には、お正客の博之様他三名のお客様です。
博之様が「研究会ですので、気楽に」と待合でお声をかけてくださいましたが、いざ本番になると緊張してしまいました。
床は「好日」の掛物。胡銅の鶴首に錦木、椿を生け、三島芋頭一つ置という取り合わせ。自分の持っている数少ない道具の中から愉しみながら準備をしました。お酒は、地元の霧筑波、点心は、筑波ハム、霞ヶ浦のレンコン、わかさぎ、川エビ、我が家で採れた秋野菜。できるだけ地元の食材をと思い、心がけました。主人も参加してくれ、楽しい茶会になりました。身近な食材を使うことにより「自宅の茶」に一歩近づけたように思います。
終了後、私の自宅にお家元をはじめ参加者全員が集まり、部屋の設えや心尽くしの料理、客側の楽しく過ごした様子など報告会が行われ、お家元からご指導いただきました。
お家元がいつもおっしゃっている「茶の湯の目的は自分の家に人を招き一献、点心とお茶一服差し上げること」を実践するには日頃の経験を重ねることの大切さに改めて気付きました。
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2014年10月26日
上越茶道会開府四百年記念茶会
高田不白会 小島秀雪
今年は高田開府四百年にあたり、色々な記念行事が行われました。「越後の都・高田と徳川家康の血族」特別展では、高田とゆかりのある〈初花肩衝〉茶入が展示されました。平成二十六年十月二十六日には、高田別院会館で記念茶会が開かれ、広間にて薄茶席を担当しました。
茶席には、東條琴臺(幕末、明治の儒学者。高田十一代藩主榊原政令の招きで高田藩校の教官となる)の屏風、六曲一双と、献杯酒器を展示しました。
当日は晴天にも恵まれ、さながら清風に吹かれた心地がいたしました。
【会記】
寄付 句 仏上人 丙寅の秋越後にて
身の上も背に夜寒き越の秋
本席
床 孤峰不白筆一行 清風生蓬莱
脇 床 時代寒山拾得蒔絵硯箱
花入 尺八 筒 乙御前 藤村正員
花 かくれみの なでしこ
せんのう
香合 瓢 月に芒蒔絵
釜 車軸 道也作 寒雉極
風炉 やつれ 庄造
風炉先 雪輪透
水指 妙高焼
茶器 菊平棗 不白好 良造
茶碗 黒楽 一入作 不白箱
替 古萩 銘 山の神 不白箱
茶杓 銘 風池 当代家元
建水 えふご 八代 浄益
蓋置 青楽 つくね 了入
菓子 里の秋 大杉屋
器 呉須赤絵写鉢 和全
御茶 小倉山 小山園
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2014年10月21日
自宅の茶亭主を引き受けて
家元招請研究会−【自宅の茶事】
橋本光雪(山形不白会)
山形不白会は、教授者会員が四つの地区に分かれて各会場の趣向で実践の運びとなりました。
日下宗愛、小室宗加、芳賀宗紀、橋本光雪の四名が亭主を務めました。
私は二年前体調を崩し、手術を致しました。その折、お茶仲間の皆様より優しい言葉と励ましをいっぱいいただき、茶の湯という趣味を長年持ち続けてよかったと心より思いました。この度お家元をお迎えするに当り、心身とも不安でしたが、体調もよく元気にお迎えできたこと何よりでした。
お家元には直におもてなしの心、茶事の流れ等々をを、そして会食の時も茶を点てるにも自分が亭主である自覚をもつことの大切さを改めて学びました。和やかな会話を楽しみましたこと、夢のようです。今振り返り反省もありますが、これからの課題としていきます。
お家元より主人にお声をかけていただき、夫も素直に同席し、会話が弾んだことも収穫でした。お家元の優しいお人柄と見識の深さに触れ感動した様子です。私と娘が何のために茶の稽古をやっているのか、改めて興味と理解が深まったようで嬉しく思いました。
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お家元 塚原宗清さんをご訪問
生亀寿雪(山形不白会)
昨秋の十月二十一日、山形の「家元招請研究会」の際に、お家元と博之様が、塚原先生のおられる「ソーレ吉原」にお立ち寄り下さいました。
先生は手押し車に手を添えて玄関で待っていて下さいました。玄関先での再会に、お二方とも満面の笑みを浮かべ、本当に嬉しそうでした。
事務所の方々の計らいで広間に準備してくれたソファに座り、博之様を交えてお茶とお菓子をいただきながら、にこやかにお話をされていました。
そして、お家元が先生のためにわざわざお持ちになった篠笛で、「ふる里」「月の砂漠」「赤とんぼ」を奏でてくださいました。先生がじっと耳を傾けて聞き入っておられる姿がとても印象的でした。
塚原宗清さんの「百歳の春」の作品
先生はひと言、「私の大好きな歌なの」と嬉しそうに、こっそり教えてくれました。穏やかな心洗われるうつくしい調べが館内に響き渡りました。
三十分という制限された時間がすぐに来てしまい、お帰りになられるとき、お家元が「ちょっとお部屋にお邪魔してよろしいですか」と入ってこられました。そこで二年前にいただいた「めざして百歳」の色紙をご覧になり、「今度は『めざして百二十歳』と書かなくてはね」とおっしゃり、懐かしそうに、嬉しそうに眺めていかれました。
お二人に至福のひと時をお過ごし戴けて本当に嬉しく思いました。(山形不白会)
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2014年10月8日
孤峰不白作 鶴亀図平茶碗—流祖の茶碗で稽古をして—
藤田宗明(羅府不白会)
流祖作の茶碗での稽古
先日師の鶴林庵にて、平茶碗と絞り茶巾のお稽古をさせて頂きました。師の新井宗京先生は「是非とも、孤峰不白作の平茶碗でお稽古を致しましょう。」とおっしゃられ、恐れ多くも流祖の遺作である平茶碗で茶を点てさせて頂きました。
この茶碗は不白が七十七歳の祝いに鶴亀図を施し製作したもので、聞くところによるとそれを友人に献呈したとされます。七十七歳という年齢から換算すれば、今から218年前、江戸後期の寛政8年に作成されたことになります。この流祖ゆかりの茶碗を手に取ると、決して重くはないにもかかわらず、手に触れる重厚感があり、赤みかかった茶色の色彩は深淵をみるごときに落ち着き深い色合いであります。この平茶碗は高さが4.7糎、径が15.4糎で、この数字からご想像がつくかと思いますが、大変に平たい、皿に近いほどの平茶碗でございます。茶碗に描かれている鶴亀の図は簡潔な一筆書きのようではございますが、亀は茶碗の周りをまるでぐるぐると如何にも泳いでいるようであり、鶴は春風駘蕩たる穏やかな立ち姿であります。高台は力強く平たい無造作のような作りであるため、茶碗は畳と平行に座らず少し傾きをもたらしますが、それがとても自然体に映ります。もしかしたら、これも流祖の作意であったのかもしれないと考えを巡らしました。こんな稚拙な検討をしながらも、流祖の人物像が浮かび上がってくるようで、「孤峰不白」と名前を授かった意味が微かながら見えるような気がいたしました。
鶴亀図平茶碗
この茶碗は不白が七十七歳の祝いに鶴亀図を施し製作したもので、聞くところによるとそれを友人に献呈したとされます。七十七歳という年齢から換算すれば、今から218年前、江戸後期の寛政8年に作成されたことになります。この流祖ゆかりの茶碗を手に取ると、決して重くはないにもかかわらず、手に触れる重厚感があり、赤みかかった茶色の色彩は深淵をみるごときに落ち着き深い色合いであります。この平茶碗は高さが4.7糎、径が15.4糎で、この数字からご想像がつくかと思いますが、大変に平たい、皿に近いほどの平茶碗でございます。茶碗に描かれている鶴亀の図は簡潔な一筆書きのようではございますが、亀は茶碗の周りをまるでぐるぐると如何にも泳いでいるようであり、鶴は春風駘蕩たる穏やかな立ち姿であります。高台は力強く平たい無造作のような作りであるため、茶碗は畳と平行に座らず少し傾きをもたらしますが、それがとても自然体に映ります。もしかしたら、これも流祖の作意であったのかもしれないと考えを巡らしました。こんな稚拙な検討をしながらも、流祖の人物像が浮かび上がってくるようで、「孤峰不白」と名前を授かった意味が微かながら見えるような気がいたしました。
流祖のゆかりの茶碗を扱うことだけでも、大変緊張致しましたが、このような平たい茶碗で果たして茶が点てられるのであろうか不安でもありました。しかし、いざ茶を点ててみると想像とは裏腹にある意味点てやすい茶碗であることがわかったのです。そして、抹茶が張った茶碗は生き生きとした様相を持ち、茶の緑と釉薬の赤茶色のコントラストは絶妙であり、深淵と思っていた景色が大海原に一変したように思えました。御自服で頂いたとき、暖かい茶碗を両手で取るとその重厚で豪気な茶碗の精に触れ、唇に茶碗を当てた瞬間に自分が寛政の世にタイムトリップをしたように思え大きな感動を得ました。ましては流祖の遺作で一服を頂けたことに感慨無量でしばらく言葉も出ないほどでございました。
茶道具の素晴らしさはこうした崇高な芸術品を手に取り使えることにあるのではないかと思いました。美術館でガラスに囲まれて大切に保管されている茶道具も、使われることで命が復活しその光が蘇るのではないかとも考えました。師には大変貴重な体験をさせて頂いたことに心より感謝しております。本当にありがとうございました。
抹茶の緑と赤茶色の釉薬のコントラスト
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
This past September, I had a lesson in Hirajawan (with a twisted tea cloth) from Madam Arai at her tea house, Kakurinan. Madam Arai said “Let’s study with Koho Fuhaku’s Hirajawan.” I was graciously granted this special opportunity to make a cup of tea with the Grand Master’s handmade tea bowl.
This tea bowl was made by Fuhaku when he celebrated his 77th birthday. I’ve heard that he made it to give to his special friend. If you calculate the year from when he was 77 years old, it would be 218 years ago, in the year 8 of Kansei, in the late Edo era.
When you carefully lift the bowl, there is no heavy weight sensation, but there is a feeling of dignified elegance. The color is a reddish brown, which expresses a sense of calmness and a profoundly distinct and special style. My imagination creates a vision of looking into an abyss of a great and deep valley.
The measurement of the bowl is 4.7cm high and 15.4cm in diameter. As you can imagine from these numbers, this bowl is very flat and wide, almost like a deep dish. The crane and the turtle design on the outside of the bowl are one stroke drawings. It is as simple as possible; however, you can almost see the movement of the turtle that is swimming around the bowl. The crane is standing so tranquilly and peacefully.
Kohdai (a bottom sitting part of bowl) is flat and powerful with an uneven design that makes the bowl not sit parallel with the tatami. This unevenness looks very natural in its design. I wonder if the Grand Master made it this way intentionally, or did it just happen during the course of its creation? The characteristics of the bowl seem to paint a picture of his personality and soul.
I was nervous about handling a bowl with such great history, and also worried about how I could make tea in this super flat bowl. However, I realized it was not that difficult as I imagined, rather it was the perfect bowl to easily make a cup of tea. I was very impressed and surprised by how it was made. The bowl looked like it came to life again with the tea in it. The contrast of the color of green and reddish brown is absolutely exquisite. What I saw as an abyss now turned into a vast beautiful ocean. I made a cup of tea for myself with the bowl. When I lifted the warm bowl, I felt like I touched the profound and bold spirit of the bowl. The moment my lips touched the bowl, I traveled back in time to the year 8 of Kansei. I was so touched with the fact that I had tea from the Grand Master’s handmade cup. I was speechless.
What is great about art of tea is that you can actually handle noble and sublime art pieces. I thought of all of the art pieces of tea utensils that are behind glass cases in museums and how they bring back their own lives once they are used. I am very grateful to have experienced this precious opportunity through my lesson. I truly appreciate Madam Arai, who gave me this rare and invaluable opportunity.
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2014年10月5日
「よいかげん」
家元招請研究会【自宅の茶】
中野里雪(新潟不白会)
どんな場所でも、今の自分にできることをとの家元のお言葉に押され、テーブルにて、初座はワインと新潟の食材、チーズを中心に。後座は茶箱で濃茶、続き薄茶を差し上げることにいたしました。あれこれと考えを廻らす準備の時間、当日、抽選でどなたがお見えになるかとお待ちする時間、 そして反省と共に次回への想いを新たにする時間、と亭主の楽しみは長く続く物だと実感しております。
お客様をはじめ周囲の援護で和やかなひとときとなりましたが、濃茶と薄茶のポットの湯加減や時間配分など、丁度よいものを丁度よいタイミングでお出しする難しさも自覚しました。今後は、頭の中の「よいかげん」を実際に形に表せるよう精進して参りたいと存じます。
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2014年10月4日
支部研修旅行に参加して
橋本可雪(熊谷不白会)
去る十月四日、熊谷不白会主催の、第四回研修旅行が行われ、益子・笠間へ行って参りました。二十六名のお茶のお仲間を乗せ、バスは出発致しました。
益子参考館はバスを降り、緩やかな坂を少し行った緑豊かな中に在りました。濱田庄司さんの作品や、作陶現場、登り窯などがあり、どれも興味深く見学しました。各自お菓子を盛る器・茶碗など、思いを巡らせ買い物を楽しみました。
次は春風萬里荘です。北大路魯山人が北鎌倉にて住居としていた茅葺き民家を移築したとのこと。本来は厩であった所を洋間に改造、魯山人の「工夫とこだわり」が様々なところにあり、素晴らしいと思いました。「夢境庵」という四畳半の茶室もあり、床柱は黒柿の自然木とのこと。外には石庭が見え、心落ち着く空間でした。
次は笠間稲荷神社です。以前から訪れたいと思っていましたが、今回思いが叶いました。さすが日本三大稲荷神社の一つとあって、どっしりとした松など、歴史の重みを感じました。お参りの後は笠間日動美術館へ。そうこうする内に帰路に着く時間となりました。
熊谷支部研修として、第一回足利学校・栗田美術館、第二回長野奈良井宿、第三回河口湖・久保田一竹館、その後東日本大震災で中止となり、久々の研修旅行でした。支部の中でも、日頃余り交流のない社中同士が、こうした研修旅行を機に、新たな交わりが生まれることが楽しみです。
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熊谷不白会役員研修会
森田宗十(熊谷不白会)
熊谷の熱い夏もひと区切りの九月六日、市内緑化センターにて、役員研修会が行われました。課題は、午前「茶碗飾り」、「茶筌飾り」、午後は「台天目」でした。今回私は、茶筌飾りのお詰の役をいただきました。実演を拝見しながら、支部長松崎先生の解説・細かなご指導を受け、参加の皆さんは熱心に聞き入っていました。格別大切なお茶碗の扱い方等を経験し、改めて多くのことを学びました。
「台天目」では、担当を交代し、貴人をお迎えする折のお点前を、拝見させていただきました。また、貴人そして連客の所作も大変勉強になりました。
研修会全体を通して、「大切な人をお迎えする」「大切なお道具を扱う」人・物そして心を改めて気づかされた様に思います。日本は今、「オモテナシ」を合言葉に動いています。研修内容を振り返りながら、茶の湯を様々に応用しながら、日常生活にも取り入れられる事を感じ、有意義な一日でした。
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家元にお越しいただいて
家元招請研究会
伊藤宗翠(新潟不白会)
今回で「自宅の茶」を担当するのは五回目です。寄付に会津八一の句の色紙を掛け、本席には初めてお当番をしたときに宗匠からいただいた「清秋」の色紙を表掲げました。予感通り我が家に宗匠がおいでになりました。びっくりしましたが、嬉しくもありました。主人には事前にお願いし、宗匠をお迎えしてもらいました。
我が家は普通の二階建ての住宅ですが、息子が東京に就職し、二階が空きましたので、老後は楽しいお茶で過ごしたいと思い、水屋、和室、立礼席(寄付)に改造しました。
初座が始まり一献差し上げると宗匠より、主人にも仲間に入ってもらってくださいとお声がかかりました。私はびっくり仰天で、もうなるようにしかならないと思い、主人にも入ってもらいました。我が家の家族構成、主人が戦争で学童疎開したこととか、白根名物大凧合戦などの話でなごやかになり、初座に時間をかけてしまし、お炭、後座の濃茶は省略し、お菓子と抹茶のみとなってしまいました。宗匠、お客様にはすまないことをしたと反省いたしました。
翌日は新潟市の護国神社斎館に会場を移し、中野支部長が亭主となり、宗匠はお正客に、私はお詰めをさせていただき,お茶事のお勉強をさせていただきました。二日間とも私には有意義なお勉強会でした。
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2014年9月28日
亭主の力量に感服
家元招請研究会−【自宅の茶事】
田中宗俊(久留米不白会)
今回は、基山の有吉宗夏先生宅での「自宅の茶」に、お家元と一緒に参加させていただきました。
秋晴れの一日でしたが、残暑で暑いくらいでした。有吉邸の家周りの庭は所狭しと茶花がいっぱい植えられていて、水打ちして、清々しい装いでお迎えいただきました。
初座は、床の間に一元斎宗匠の「喝」のお軸が掛けられ、茶席を引き締めておりました。家元の軽妙なお話を伺いながら、盛りたくさんのお料理、美味しいお酒をたっぷりいただきました。特に豪華な椀物、秋の風情の栗ご飯をたっぷりいただき大満腹でした。時間がゆっくり流れていくようで、研究会での茶席とは思えない内容の濃いものでした。
後座は、たくさんの秋草を入れての床飾り、お濃茶をたっぷりいただきました。家元もご満悦の様子でした。最後のお薄茶は点て出しを取り入れ段取りよく、時間をうまく使われて、すばらしいお席でした。物語のある道具の取り合わせ、段取りのよさ、力量のある亭主ならではの技、なかなか真似のできるものではないなーと感心しました。すばらしい時を楽しませていただきました。
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2014年9月14日
お茶事形式で「盆点」を学ぶ
博子先生招招請研究会
里舘宗泰(岩手不白会)
空の青さに秋の訪れを感じる九月十四日、博子先生をお迎えして盛岡市中央公民館にて研究会が行われました。お忙しい先生に直接ご指導していただける貴重な機会とあって、峰雪会員四十一名が参加致しました。課題は「盆点」でしたが、博子先生がご亭主になられ、光栄にも私は次客に入れていただきました。
はじめに「盆点」について、「唐物や瀬戸の名物など特別な茶入を披露するときのお点前であり、茶入を盆にのせて特別に重く扱います。その他についてはさらりと流してメリハリをつけることも大切です」というお話がありました。
席入りで床の家元筆『心月輪』のお軸を拝見し、ご挨拶の後、当番の先生が用意してくださったお膳と一献を頂き、正客のお誘いに応じてご亭主もお持ち出しになりました。博子先生のお優しいお話に座がなごみ、次々と出てくるお料理に話が弾み、研究会であることや諸先生方の視線が背後にあることを忘れ、それまでの緊張もほぐれていきました。お炭点前を拝見した後、中立となりました。
後座では、「盆点」でお濃茶をいただきました。本日の主役のお茶入は、南部家伝来の流祖不白作『立布袋』、盆は真塗のものでした。お茶碗は高麗茶碗で、お家元が南部会長と八幡平でお会いになった際に『一声彷彿又千声』と箱書きされたという思い出のこもったものでした。ご亭主のお茶入に対する思いが、丁重なお点前から伝わってきて、自ずと「盆点」の世界に引き込まれていきました。また丁寧に練られたお濃茶はとても美味しく御心が込められておりました。博子先生の洗練されたお点前を間近で拝見させていただき、お客役をいただいたことに感謝致しました。
「盆点」について学ぶとともに、お茶事のあり方、美しい所作など多くの事をお教えいただき、充実した研究会でした。
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2014年9月11日
居待の月見茶会
平野宗靖(岡山不白会)
陰暦八月十八日に当たる九月十一日、金浦湾沿いにお住まいになる桑田宗千先生のご自宅で三十名のお客様をご招待し、月見の茶会を催しました。当夕刻の湾は干潮、干潟には羽を休めた青鷺が上る月を待っているようでした。
この金浦湾を望むお茶宅の廊下に祭壇を作り月見団子と芒を供え、お床には江戸時代中期の僧侶で歌人の西山澄月が、月を詠んだ和歌のお軸と、福井宗九様のお庭で咲いた芒、朮(おけら)、吾亦紅、秋海棠等七種の花を籠に活けて飾り、茶会に相応しいしつらえとなりました。
夕日が沈みはじめ薄明るい午後六時、一席十名のお客様を迎えて、静寂な空気に包まれたなかお点前が始まりました。「生江浜の月」、このお菓子は当地生江浜に因んで銘をつけ和菓子店に依頼したと席主宗千先生がご説明し、味わっていただきました。お席は和やかな雰囲気になり、殊に小学生のお嬢さん二人がお運びをし華を添えました。
辺りが暗くなり、二席から三席へと続くにつれ遠く離れた樹々の間から月が上り、月に照らされた干潟は明るく映え、幻想的なお茶席を醸し出しました。心をこめて点てた一服のお茶。「美味しく戴きました」、退席されるお客様の一言が、社中一同安堵と嬉しさをかみしめ会を閉じました。
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2014年9月7日
ひと足早い月見の茶会
家元招請研究会−【自宅の茶事】
山本文雪(静岡不白会)
今回は正客を大磯の新保様にお願いし、詰として佐藤様のお席に参加させていただきました。
十五夜を目前に、床には月の画賛のお軸が掛けられ、お膳には季節感溢れる品々が並び、しかもご亭主様が勧め上手とあってついつい杯も重なり、とても和やかな初座となりました。
後座は家元のアドバイスで座る位置を替えました。すると主客が近くなったことで、一体感が生まれ適度な緊張感も相まって至福の一服となりました。
「少しでもお茶が冷めないうちに」のお言葉は、まさにもてなしの真髄で亭主は勿論、客も心掛けねばと痛感致しました。
十五夜は静岡では生憎の雨となり、この御席が今年の月見となりました。
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2014年8月31日
客振りを学んだ茶事
家元招請研究会−【自宅の茶】
五十嵐宗合(福島不白会)
福島不白会のお家元招請研究会、私は那須塩原の幸田様よりご招待いただきました。
露地に打ち水がされ、寄付にも様々な工夫が施され、随所にご亭主のお心遣いが感じられました。今回の茶事にあたりご亭主は、何度も「茶の湯のすすめ」を読み返されたとのこと、後日お伺い致しました。
お席はお正客にお家元、お次客に博之様、河原さんと私で三客とお詰を務めました。初座ではいろいろなお話を伺いながら、心尽くしのお料理をいただき、ほんの少し緊張がほぐれました。後座では、ご亭主がお花を所望され、博之様が応じられました。ご亭主と共においしいお茶をいただき、床に掛けられた宗旦槿が美しくとても印象に残りました。
お家元から、茶事はお客様と会話を楽しみ、より親密になることが目的なので、食べることやお料理を運んだりに忙しすぎてもいけないこと、ご亭主がゆったりとお客様と向き合えることが大事であるとお話がありました。
今回は、ご案内状をいただいたり、お返事をお返ししたりと初めての経験を致しました。勉強不足を痛感致しましたが、私もまずは背伸びをしないで身の丈にあった茶事から始めたいと思いました。
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2014年8月3日
社々の森の名水茶会
岡田宗春(新潟不白会)
今年も栃尾(現・長岡市)の社々(とど)の森で「名水茶会」が開かれました。社々の森は、全国名水百選に選ばれた地です。一席は宗徧流の那須社中、二席は裏千家淡翠会、そしてサービス席として、地元の中野俣小学校が席をもちます。
中越地震の少し前に教頭として単身赴任したとき、名水の地でぜひ子どもたちにお茶を教えたいと始めたことが、嬉しいことに今も続いているのです。
僻地一級のその学校は、公民館の分館の役目ももっていました。そこで、親子茶道教室を始め、夜に親子や地域の方々に盆点前を教えました。その後、名水の地の特色を生かした教育を進めようと提案し、総合的な学習の時間に茶道を取り入れるようになりました。
学校の大きな行事、文化祭や創立百三十周年記念式典では、盆点前で子どもたちがお客様を迎えました。中越地震後、校舎が壊れ隣の学校に間借りしたとき、前平山県知事さんがご家族で慰問コンサートを開いて下さったことがあります。その時も子供たちはお茶でお迎えしました。
今年、新たに赴任した校長から、「名水茶会」に今年も是非来て欲しいと嬉しい電話をもらいました。毎年参加していきます。
これからも、自分の社中だけでなく、機会をとらえて、子ども達にも茶の湯の楽しさとすばらしさを教えていきたいと思います。
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新潟不白会講演会——「芦屋釜と天命釜」を聴講して
石川昇二郎(新潟不白会)
さる八月三日、新潟不白会講演会「芦屋釜と天命釜」が長野烈先生を講師にお招きし、開催されました。
長野先生により、芦屋・天命などの古典釜の調査・研究に基づいた特徴、デザイン、工法についてご説明いただきました。桃山から江戸期にかけての豊かな感性と技術の高さについてのお話は大変興味深いものでした。
特に筑前をはじめ全国に波及した工人たちのこと、見所としての耳の位置や、繰口のディテール、羽根の特徴、意匠や肌などポイントごとにわかりやすくお話いただきました。
当日は当時の釜の他、長野先生の作品など多数の特別展示もあり、美術館のガラス越しではなく、まさに目の前でその質感や造詣のすばらしさを感じる貴重な体験ができました。
講演の最後に、長野烈先生と来賓の永井此君亭様で、茶の湯の釜をはじめこれまで長く伝えられ大切に使われてきた茶道具の散逸についてのお話がありました。なぜ数百年もの間、茶人たちの心をとらえてきたのかを学び、その価値を知ることも大切とのことでした。
茶事をすることを、「釜を掛ける」といいます、今までは茶席に最初から最後までずっと鎮座する釜をただ拝見するだけの私でしたが、この講演で伝世の重みや、洗練されたデザインについて学ぶことができました。さらに茶の湯に対するひとつの楽しみが増えました。
開催にあたり、各社中の皆様の素晴らしいテーブル茶のお席もあり、心満たされる大変充実した一日となりました。
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2014年7月1日
留学生を招いてミニ茶会
畝迫佳雪(岡山不白会)
桑田先生の所で一緒にお稽古をしている赤田さんのお宅に、ニュージーランドから留学生の女の子がホームステイで来られました。彼女ベッキーは平日、市内の高校に通い、日本の高校生と交流を深め、日本語の勉強などスケジュールに追われますが、「日本の文化に触れたい」との事で赤田さんが急きょ思い立ち、桑田先生の所にお話がありました。
当日は先生と他二名のお仲間と、私も娘と一緒に着物を着てベッキーと赤田さんご一家でミニ茶会をしました。
まずは一献といきたい所ですが、外国の十七歳の高校生。桜茶を入れて和やかになったところで、お茶席にご案内し一服。彼女はお菓子の取り方や、茶碗の扱い方など、とても上手に出来ていました。ベッキーにも、お点前をしてもらってホストファミリーの赤田さんに一服。一口飲まれた赤田さんの口から「大変美味しいです」と言葉が出ると、満面の笑顔で胸に手を当てて、ホッと一息つかれていました。すごく愛らしい仕草で茶室全体がやさしい雰囲気に包まれました。片づけも手伝っていただき、炭を初めて見たと興味津々でした。
我が娘は「ベッキーは『お先に』と『かたづけ』って日本語は覚えたよね」と変な所に感心していました。
大事な方に、美味しいお茶を飲んでもらいたい、という純粋な気持ちが表れていたベッキーの姿に、何か気づかされる思いでした。短い時間でしたが、楽しい時間が過ごせ、日本の文化に少しでも触れていただけたかなって思いました。
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2014年5月25日
自宅の茶で極上の時間を
家元招請研究会−【自宅の茶事】
市川宗恵(長野不白会)
お家元が推奨されている「自宅での茶事」が、去る五月二十五日、晴天に恵まれた中、三軒のお宅で行われました。
日頃、勉強不足の私ですが、お家元とご一緒のお席にお客として参加させていただきました。寄付で迎え付けを待つ間、お家元との和やかなお話などで、それまでの緊張が何処かに消えていました。
お席入り後、早速の一献から始まり、正客のお家元の是非とのお勧めで、ご主人もご自分のお盆を手に席に入られました。ご主人の歌あり、ご主人を交えての楽しい会話ありで時は過ぎて行きました。中立の頃にはご主人は退席されましたが、お暇するまでのこの極上の時間と空気を味わえた喜びは言葉では言い表せない私の宝物となりました。ここにあらためてお家元の人柄に敬意を表したいと思います。
また、ご亭主になられた先生方にも、心のこもったおもてなしに感謝申し上げます。
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風炉の炭点前とお濃茶の基本
博子先生招請研究会
八女不白会
○お詰として学ぶ………田島宗美
夏日を思わせるような五月二十五日に、博子先生の研究会がありました。
客の詰の役をいただきました。直接に先生の指導を受けましたが、緊張の余り身体が思うように動きませんでした。人前ですることの難しさ、普段のお稽古が如何に大事かを感じました。また、基本を重視しながら、その部屋のつくりや正客、亭主、半東の方との関わりの中で、臨機応変な対応ができるようにということも学びました。
今回の研究会では、入室の手がかりから始まり、お客の拝見の仕方を詳しく教えていただきました。扇子の使い方など、日頃からやっていることでも改めて実践することで、色々な疑問が湧いてきました。点前の要所要所で指導をいただきましたので、随時、疑問を解決することができ、とても勉強になりました。
色々と指導をいただきましたが、先生のお人柄でしょうか、皆さんの質問もたくさん飛び交い和やかなうちに、研究会があっという間に過ぎてしまいました。
◇ ◇ ◇ ◇
○亭主として学ぶ………川島宗濱
先ず席入り、お床拝見の仕方を教えていただき、お炭点前と進み、羽帚での清め方、実際に塵を払うようにとご指摘を受け、手順の型にばかりとらわれる自分に気づきました。
炭点前の一番は、次にお濃茶を点てるための釜の湯が沸くことである。そのためには種火の付け方から始まり、もし火の回りが良くない時は、中立の時に火を足す。今回はじめて亭主を務めさせていただき、お家元がおっしゃる「自分の家でお茶を」の意味がほんの少し分かったような気がします。
お濃茶における服紗捌き、お茶入の扱い、出し服紗、客としての使い服紗の使い方、半東としての使い服紗の返し方等、質問にお答えいただき、また一番基本の立ち居についても踵をつけて立つ様、日頃のお稽古時に意識すると身に付く事等とても有意義な研究会でした。
博子先生とのご縁を得たことで、基本に立ち返り久し振りに本気で勉強させて頂きました。目標は自宅での実践です。
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2014年5月20日
第53回 高田不白会茶会
田辺松雪(高田不白会)
新潟支部より中野様ご夫妻、桑原様ご一家が、ご来高
高田は今年、開府四百年に当たり、記念すべき年で、市を上げてお祝い事業を行っております。十月には、かつて高田にあった重要文化財大名物「初花肩衝茶入」も展示されます。
茶会は、五月二十日、近年にない五月晴れに恵まれた一日。高田別院会館で釜が掛けられました。
濃茶席は、奥座敷で木村蓑心さんが席主を担当されました。床に玉舟の横一行「山青水」を掛けられ、花入は時代あじのあるランタイの籠に在来種である笹ユリ、紫の鉄線。笹ユリの姿は白鳥の湖を踊るバレリーナのようでした。
脇床には、アラビア風の丸い板を敷き板に、仏様を載せ飾る。脇床は荘厳に見えました。お菓子は「ぽえむ」という銘のケーキ。取り合わせや設えの趣向は古今を上手くマッチさせた席でした。
薄茶席は二十七畳の大広間。席主は岡村信雪先生が担当。床に流祖不白筆「日々是好日」の一行、遺墨集に載っておりませんが、明日への活力を与えてくれるような筆致です。
薄茶席 床
花入は、高さ三十センチ以上もある紫銅龍耳で鶴首。花は、姫大山蓮華。花は鳥が、今にも飛び立とうとするような姿。花は花入を、花入は花を支えあう、そのコラボレーションが、目に焼き付いて離れません。茶会には表、裏千家流の方、大日本茶道学会の方々。新潟からは、中野支部長様にもお出ましいただき、各社中百五十名の会員の方が出席されました。
近年、イベント茶会が主流ですが、今回、茶席内の人数を考慮されたのでしょう、両席とも緩る緩ると美味しい茶をいただけたことを感謝しております。
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2014年5月12日
岡倉天心公への献茶に想う
加藤謙治(高田不白会)
家元による六角堂への献奏
八軒での「自宅の茶」が行われた高田不白会家元招請研究会に参加した翌日の五月十二日、赤倉の天心六角堂での家元の「献茶」にお供させていただくという栄誉に浴しました。跳ね馬の雪型が残る霊峰妙高山を背景に岡倉天心終焉の地として祀られている六角堂内の天心像を前にして、お家元が静かに笛の音を献奏されているお姿を拝見し、天心公への思いの丈を窺うことができました。
天心公は「近代日本美術界の大功労者」ではありますが、同時に渡米の折、出版された『茶の本』の出版を通じて、東洋思想・日本文化の素晴らしさを多岐にわたって米国に紹介し、多大な影響を与えたことでも、また有名であります。『茶の本』に述べてある、天心公の「茶の湯」に対する造詣の深さと共に、お家元の天心公に対しての想いの深さをご拝察させていただいた気がしました。私には誠に意義深い一日でした。
天心の遺徳忍びて茶を献ず
篠笛響き不如帰哉
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2014年5月11日
ご亭主の人柄に触れる「自宅の茶」
家元招請研究会−【自宅の茶】
早津淡雪(高田不白会)
風薫る五月、高田支部では、お家元をお迎えして「自宅の茶」の研究会が行われました。
私たちは、小島先生のお宅へお伺い致しました。寄付で先生お手製の甘酒をいただき席入り。お茶室は裏から川の音が聞こえています。木地の丸卓に菱馬染付水指、土風炉。とても清々しく感じました。お床は二十一年前にお家元が先生宅のお懐石にいらした際いただいたという「土中日月長」。先生から壷中のお話を聞かせていただきました。中立のご御主人が発掘された縄文土器に、しゃくなげ、了入の塩笥黒茶椀でお濃茶、お薄をいただきました。お薄は四人皆に先生から点てていただき、美味しかったです。
報告会の際、お家元から、ご亭主も一緒にお濃茶をいただくようにと言われ、お勧めすればよかったと反省致しました。
お客の私たちは楽しいことばかりで本当に、ありがとうございました。お家元のおっしゃるように、一人で自分のためにお茶を点てることから始めてみようと思っております。
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心尽くしのおもてなし
家元招請研究会−【自宅の茶】
保阪梅雪(高田不白会)
五月十一日の研究会はお茶事の実践で、当日は遠くの山に残雪、五月晴れと恵まれた中、お家元にお越しいただきました。お客様のおもてなしに不慣れではありますが、お花、お料理、お道具や心遣い、皆様に喜んでいただけたら、その一心でした。
寄付には不白ゆかりの関不羨壁書。手作りの青竹の立ちつくばいの音を聞き、一献、お床には春の風情を詠んだ「寒雪梅中尽春風柳上歸」という中山愛親の書を掛けました。お料理は季節の山菜を交え、少しずつ。特に心入れしたのは銘「山ふじ花」というお菓子です。
後座はお家元のご助言に従い、小間の室礼となり、自庭の山野草を生け、お濃茶を差し上げました。お水は谷川岳の名水です。薄茶はお家元より福引きでいただいたお茶碗にて一服。後日お客様より「手入れの行き届いた広いお庭、心尽くしの料理、楽しい会話で、豊かにゆったり時を過ごせた」等々お手紙をいただき一歩前進できた思いです。楽しいひとときを共有できた茶事でした。
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2014年5月4日
自宅の茶に招かれて
家元招請研究会−【自宅の茶】
坂田宗秀(熊谷不白会)
私は、同じ社中でいつもご一緒にお稽古している田中先生のお宅にお招きいただきました。客は私の他三名で、長年お茶に携わってきた大先輩の先生方とご一緒でした。お席に入るまでは大変緊張も致しましたが、先生方にご指導いただきながら、正客の大役を務めることができました。
初座では、ご主人がこの日のために、丹精込めて作り上げた新鮮な野菜と、ご亭主のお兄様が、早朝より山に入って摘んできた、珍しい山菜を取り入れたお料理をいただきながら、楽しいひとときを過ごさせて頂きました。
また後座では、庭を隔てた茶室に移り、お床には流祖の筆による「平常心是道」のお軸が掛けられ、庭で大切に育てられた花菖蒲の花が、端午の節句にちなんだ青磁の鯉の花入に、見事に活けられておりました。
亭主のお点前で、ゆっくりと丁寧に練られたお濃茶と,お弟子さんによるお薄を美味しくいただき、新緑の初夏の一日を満喫させていただきました。今回、客として研究会に参加し、お茶の楽しさと同時に、おもてなしの心の大切さを学ばせていただきました。これを機会に、長年お世話になっている中田先生はじめ親しいお仲間を、自宅にお招きできるようこれからもお稽古に励みたいと思います。
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2014年4月29日
「濃茶付花月」と「花月」の違いを学ぶ
博子先生招請研究会
渡辺真雪(福島不白会)
四月二十九日、福島不白会家元招請研究会が博子先生をお迎えして、福島県白河市南湖公園内の翠楽苑で行われました。
課題は「濃茶付花月」です。はじめに「花月」との違いを説明していただき、その後実践に移りました。
亭主、客四人で、私は次客としてお席に入りました。濃茶付花月では、最初に「花」の札を引いた方が濃茶を点て、それを皆でいただきます。今回は点てた方もいただきました。
そして二番目に「花」を引いた方がお棚から薄茶器を膝前に置き薄茶を点て、「月」の方がいただき、三番目に「花」を引いた方が濃茶器と薄茶器を入れ替えします。
自分がいつ「花」を引くか、自分の札の扱いに気を取られて他の方の札の動きまで気に掛ける余裕がありませんでした。
花月は札の動きに気を遣い、札の展開に合わせて各人が臨機応変に動かなければならないのですが、実際はそのようにはいかず戸惑う場面が多くその都度ご指導いただきました。
その後、折据と札の扱い方について丁寧に説明してくださいました。午後は数茶で数種のお菓子をいただきながら和気藹々お薄を喫し、その後「花月」を行いました。
これで「濃茶付花月」と「花月」の違いを理解することができました。
「花月百遍おぼろ月」と言われるように札の出方にきちんと対応することが難しく、まだまだ修練が必要なことを実感いたしました。そして、だからこそ面白いのではないかと思いました。そのような心の余裕をもって「花月」ができるようになりたいと思いました。今回研究会に参加でき、とても有意義な一日でした。
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2014年4月28日
宗匠をお招きして
家元招請研究会
竹内宗玲(青森不白会)
去る四月二十八日、今年の研究会のテーマである「自宅の茶のすすめ」で拙宅へ宗匠をお招きいたしました。主人も私も宗匠に一度おいでいただきたいと願っておりましたので、とてもうれしく思いました。
準備の方も整ったころに皆様が到着いたしました。主人が皆様を出迎え、そのまま庭へ案内しました。日頃手入れしている盆栽や庭木を見ていただきお話していました。
一方、道具のしつらえを再確認し、頃合いを見て部屋にあがっていただきました。白湯を差し上げ、茶席へと案内致しました。
お客様は宗匠の他四名の方々です。半東は妹の山田宗璃です。床には、宗匠の筆による「松籟」を掛けました。お軸から松風がフーッと茶室に爽やかに吹いているようでした。一献差し上げる時に主人にも同席してもらいました。
研究会の前日、宗匠様方が訪ねた太宰治の生誕の地である金木町の町並みや生家(斜陽館)のことなどでお話が弾みました。その後、食事をとり中立となりました。
床の花入は志野焼の筒型です。お花は、根締めに西王母の椿、あしらいに虫狩の枝を生けました。
皆様が入室なさった後に宗匠が、虫狩の枝を少し短くし中央に寄せて直して下さり、よりすっきりした花の姿になりました。最初にお濃茶を差し上げました。茶碗は大樋焼を茶入は萩焼を使いました。
棚は雲鶴棚で、水指は仁清の桜川です。蓋を開けると内側に桜の花が赤で描かれていて水に浮かんで見えます。薄茶器は雪輪紋の中次です。
その後は、半東が薄茶を点て皆様とお道具の話しなどで楽しいひとときを過ごすことができました。
この度、青森においでいただいた宗匠の句の中に「西王母 枝振りもよく 添えは虫狩」と書いて下さったのも嬉しく思いました。
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一から手がけた自宅の茶
盛田宗恵(七戸不白会)
のんびり構えておりましたが、近づくにつれあれもこれも気になりあわてました。今まで母のお手伝いとしてお稽古してきただけです。亭主となるとお道具の取り合わせやら何やらあらゆることが気になり、お客様を迎えるおもてなしの心遣いは限りなくあるものだと感じました。
一献の用意も季節の物、花はあけびの花を活け、お軸や文箱などこの家に繋がる方々へ想いを馳せ、祖父や曽祖父の物を使い温故知新としてみました。お客様四名様をお迎えして寄付のテーブルにて一献差し上げ、お客様との会話で緊張も解け和やかになりました。その後席入しお濃茶、お薄をおあげしました。
この度はじめて亭主となり、一から自分で手掛けた事は大きな勉強になりました。お茶の道具ばかりに目が行きますが、お客様を招く事はその時間を共に過ごすためですので、しつらいや周りの全てに心を配り、過ぎず足りずを心掛けることを気づかされました。お手伝いの半東加賀さん、水屋の佐々木さんともどもはじめての仕事でしたが、終わった後の充実感は爽やかでお茶の楽しさと奥深さを感じました。
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2014年4月20日
初めて自宅の茶会を実践して
森山宗明(福岡不白会)
昨年のテーマでありましたテーブル茶事。お家元自らご亭主となられての研究会は、ある意味、目からウロコの新鮮さを感じました。どこまでお家元のお教えに近づけたかはわかりませんが、私なりのおもてなしをさせていただきました。
第一の難関は、お茶室どころか、狭い3LDKのマンションでどのようにできるのか。
不安だらけでありましたが、師匠の黒岩宗富先生と稽古仲間の皆さんに何度も来ていただき、待合に和室、一献差し上げるところをダイニング、最後の濃茶をソファーでの盆点前とし、なんとか形あるものになりました。
第二の難関は、お道具類です。あるものをどのように使えるか? から始まり、足りないものは先生からお借りして……という具合に。しかし取り合わせも考えるとなかなか決まりません。
第三難関は、点心です。和食で試食していただいたものの、しつらえ(床は絵画、花器はガラス)や、ダイニングテーブルでの一献には少し違和感が残り、そこで先生からのアドバイスで、ワインとイタリアンの点心に様変わりです。
マンションの七階という高さと、リビングダイニングに面した側が、緑が生い茂る福岡市動植物園という立地条件を生かし、景色がご馳走というテーマで、風を感じ、空を仰ぎ見て、ゆったりとしたひと時を過ごしていただこうと、お天気を気にしながら当日を迎えました。
お正客には、福岡不白会会長の一木宗知先生にお越しいただき、不慣れな私の挨拶も一木会長が上手にリードしてくださり、最後には「楽しいひと時を過ごし、ここに泊まりたいな……と思えるほど心が和みました」とのお言葉をいただきました。
実践してみて、大変なことはいっぱいありましたが、この一言をいただいて、怖がらず、自分のできる範囲で柔軟な心を持ち続け、精進していきたいと思いました。
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2014年4月13日
江戸千家 岩手不白会雪輪会 発会三十周年記念式典・茶会
千田文雪(岩手不白会・雪輪会前代表)
平成二十六年四月十三日、盛岡市中央公民館にて江戸千家岩手不白会雪輪会発会三十周年記念茶会を開催しました。峰雪会、清雪会、雪輪会の会員が百三十名の参加でした。
この会は三十年前に三田宗明先生が立ち上げて下さった、中堅者の研究会組織です。
式典に先立ち、物故者への黙祷、オープニングセレモニーとして顧問の三田宗明先生、岩手不白会会長の澤野宗桂先生はじめ、高橋、乳井両副会長様、歴代の雪輪会代表の方々による花寄が行われました。
式典では代表の挨拶の後、会長の澤野先生から日本文化の集大成としての茶道とその精神について、続いて顧問の三田先生からは雪輪会発会に至った経緯や会への期待などお話しいただきました。
岩手不白会 澤野宗桂会長の祝辞
雪輪会創設者で顧問の三田宗明氏
式典後は、八十名が三席に分かれてのお茶事となりました。
芙蓉席では初代不白を、椿席は八代一元斎、竜胆席は当代名心庵を顕彰するお席と致しました。
齢九十八歳を数えられた三田宗明先生が、三十年前にお家元の思いを実現なされたのがこの雪輪会と伺いました。会員一人一人の様々な環境も、また、社中という枠も越えて、江戸千家茶道が好きで集まった仲間が、日々精進できる会をお作り下さったお家元様、三田宗明先生、会長様、多くの先輩の先生方にただただ感謝するばかりでございました。
この日は盛岡には桜の開花宣言が出されて、青空に岩手山がくっきり浮かび、南部前会長様の笑顔が見えるような佳き日でございました。
●芙蓉席 …… 席主 南宗園
芙蓉席 床:大瓢箪画賛 流祖不白筆
●椿席 ……席主 沼宮内宗哉
椿席 床:花開萬国春 一元斎筆
●竜胆席 ……席主 金宗美
竜胆席 床:一座建立 名心庵筆
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2014年3月31日
客となって学んだ一座建立
家元招請研究会−【自宅の茶】
北岡明雪(久留米不白会)
やわらかな春の薫りに包まれた三月三十一日に、お家元をお招きしての研究会がございました。今回のテーマも「自宅の茶 実践」で、午前十一時に各家でのお茶事が始まり、午後二時に会場の少林寺に集合して反省会がありました。
私は瀬戸島様のお宅にお招きいただきました。ご自宅に着きますと、寄付にてお雛さまに迎えられ、香煎をいただきました。入室させていただくと、床にはお家元の「大地山河透脱之機」の掛軸が掛けられていました。皆具は繊細な模様のベンジャロン、お炭点前の時にはマンゴスチンをかたどった宋胡録の香合、後座に入りますと、セラドンの青磁の花入にピンクの牡丹が映えてとても美しく、タイシルクで作られた出服紗など、はじめてのタイ尽くしのお道具に目を見張るばかりでございました。また、懐石では、鰆にこごみ、土筆など、季節の美味しいお料理をいただきました。なかでもご主人様が作ってくださった海老糝薯の椀物は絶品でございました。お濃茶も香り豊かで、たっぷりといただき、お薄は時間の都合もあり、お申し合わせでいただきました。
至る所にご亭主の優しいお心尽くしが溢れて、お道具のお話、お料理のお話と楽しい会話も弾み、お伺いした時の固くなっていた心と身体もすっかり解けて、ゆっくりと寛がせていただきました。ご亭主、半東さん、水屋の方々の息の合ったおもてなしと、ご主人様のご協力もあり、このような素晴らしい時間を作っていただき、感謝するばかりでございます。
今回参加させていただき、お茶事の楽しさを改めて実感すると共に、私もまた、このような和やかで楽しいお茶事ができるように、日々精進してまいりたいと思います。
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2014年3月24日
納得したこと
家元招請研究会
大倉 孝子(新潟不白会)
「お稽古でやることは、ほとんど後座。ですから、いくら稽古を頑張っても半分。初座をして人をもてなすことをしてほしい。できる範囲でいいのです」というお家元の一言にドキリ。
「茶の湯の目的は、客を自分の家に招いて楽しい時を持つことにある」というご指導を受けたことがありますが、正にその「楽しい時」は「食事を共にすること」とその後に「丁寧に点て出されたお茶をいただくこと」の流れの中で満たされるのだろうと納得しました。
この日、私には初座の次客役が与えられました。まず一献ということで心尽くしのお料理(胡桃えご、ふきのとうの胡麻和え、生姜大根巻き、石狩漬など)と美味しいお酒(越の誉の大吟醸)をいただきました。
「楽しい時」を、緊張しながらも体感できラッキーでしたが、お家元からは「静かですね。もっと話で盛り上がらなければ……」というご指摘がありました。確かに「楽しさ」には会話も重要な要素。お茶事の際にはこのことも心していこうと思った次第です。
まだ雪の残る柏崎市高柳からこの研究会に参加し、サンシュユと大島の椿に春を感じた一日でもありました。
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2014年3月23日
高田支部研究会にはじめて参加して
藤枝義丸(高田不白会)
三月二十三日、上越市高田地区の保存建築物「旧師団長庁舎」で開催された研究会に見学者として参加しました。参加者は二十名余り、高田不白会の重鎮ばかりで私のような駆け出しは場違いのような気がしました。
テーマは、お濃茶の「組合せ点前」。小島支部長のリードで大事なところを確認し合いながら進められました。主茶碗は流祖手造りで、銘「鞍馬」。へらが入った堂々とした姿の赤楽で、参加者から久し振りで会えたと喜びの声が上がりました。
席主役は岡田先生、お客役は小川先生はじめ三人の先生方、このお点前は、私にとって普段行わないものなので、見学していて大変勉強になりました。
次に、七事式の一つ「花月」、客役亭主役の五名の方が選ばれ、札を取り、亭主になり、客になり、席を入れ替わり、見ている私も楽しくなり、いつかやってみようと思いました。
不白作茶碗 銘「鞍馬」
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始めの一歩
家元招請研究会【自宅の茶事】
内山宗博(新潟不白会)
家元招請研究会「自宅の茶 実践」で抽選により、三名様に我が家、了知庵にお越しいただきました。
お待合で香煎茶を出し迎え付は雨が心配されましたが、用意した露地笠を使う事もなく席入り、炭点前、「菜の花と鮭の生ハム巻」で一献。中立、向掛に木五倍子、椿(月照)の花を入れ、いよいよお濃茶です。
濃茶を飲まれ一礼、ご挨拶の声に「ホッ」と一息いたしました。お正客様のお心遣い、お客様の気遣いに助けられ、またとない夢のような一座建立でした。
お待合で掛けた短冊は有馬頼底師から書いていただいた「功不積用不妙」でした。これからは茶事を何度も行いたい、茶事の働きも自由にこなすことができるよう精進していきたいと思います。
思いきって踏み出し実践して、お客様に楽しんでいただく機会を得、感謝申し上げます。
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2014年2月1日
江戸千家-学びながら、和やかに初釜(「羅府新報」から)
西村宗櫛社中(羅府不白会)
*ロサンゼルスに本社を置くアメリカ最大の日本語新聞である『羅府新報』に、ロサンゼルス支部西村宗櫛社中の初釜の記事が掲載されましたので、転載します。
◇ ◇ ◇
茶道江戸千家西村宗櫛会長の初釜茶会が一日、西村会長宅の錦泉庵で開かれた。
福茶に続く初座は、折りからのチャイニーズ・ニューイヤーを祝し、台湾から駆けつけた社中の李宗瑾さんによる台炭点前から始められた。釜は卍釜、高台寺蒔絵の炉縁、鶴の香合が使われた。
初釜祝懐石膳は会員の毘沙門グループ社長、甲山貴明さんが「多聞」レストランにて自らも調理した料理が振る舞われ、見た目も味も絶品な懐石料理をお雑煮と大吟醸「獺祭」の名酒で味わった。
銅鑼の音が静かに鳴り響いて中立ちとなり、つくばいを追えて後座の席入り。床には足立泰道老師の「福寿」の軸、竹鶴の花入には松、椿、木蓮などが生けられた。しめ縄飾りの竹台子には、朱塗手桶水指、唐金皆具、火舎蓋置が置かれた。
濃茶席亭主は李宗瑾さんが、半東を乗富宗久さんが務め、正客を西村宗櫛、中詰を金野大吾郎、中正客をウルハウゼン宗円、詰を渡部久世の各氏が務めた。
濃茶碗は金銀嶋台、出服紗・松喰鶴紋緞子、茶入は古瀬戸の大海、曾山作、仕服は龍亀甲長緒緞子、茶杓は象牙。茶は星野園「星の奥」、菓子は星野園の茶露饅頭、菓子器は松漆蓋付(享保時代)が用意され、厳かに濃茶が練られ、抹茶の醍醐味をそれぞれ味わった。
初釜濃茶席
薄茶の立礼席には「松伯千年翠」の軸が飾られ、亭主を有村聖一、半東を乗富宗久の両氏が勉め、正客に甲山貴明、客に五十嵐達ほかの各氏が入る。
釜は露地紋鶴首・菊池正直作、水指は十三代田原陶兵衛作の萩耳付き、茶碗は野々村仁清写の色絵金銀菱重筒茶碗、棗は鶴(加賀蒔絵・和歌の浦)高山作、茶杓は仙石作の枝松、茶は星野園の「星峰」、菓子は銀座花のれんの和三盆、鶴亀がそれぞれ使用された。
初釜がはじめてという人も何人か出席していたことから、西村会長により要所要所で所作や決まりごとなどの解説が加えられ、茶歴の比較的長い人も含めて、一同楽しく茶の湯を学びながら進められ、和やかな初釜となった。最後に西村会長より皆にプレゼントが渡された。
また、日本の江戸千家川上宗雪家元からは、平成二十六年度の課題「自宅の茶事-実践」が示されており、西村会長は「稽古ばかりではなく、自宅に客を招いて亭主の考えで一献、茶を差し上げることを楽しむ『おもてなし』を、アメリカでも各自で大いに実践してほしい」との希望を出席者に伝えた。「石原 嵩 写真も」
和やかな雰囲気に包まれた薄茶の立礼席
学びながら楽しんだ初釜の出席者たち
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2014年1月19日
岩手不白会初釜
岩手不白会
本席 澤野会長のお点前
岩手不白会初釜が穏やかな晴天の一月十九日、盛岡グランドホテルで開催されました。
三田名誉会長はじめ、各社中百七十名の会員の皆様が出席されました。
本席の床には初代不白「鶴宿萬年松」が掛けられ、青竹に結柳と紅白の椿、御初代の香合が飾られ厳かなお席となりました。竹台子に透木釜に朱手桶、柄杓や茶筌青竹を、お菓子は花びら餅にしました。代々受け継がれてきた布袋の濃茶器、磯松の茶杓、嶋台の茶碗にて澤野会長、乳井副会長の厳粛なお点前で濃茶をいただき、心身ともに新たな一年の始まりとなりました。(田村宗和)
本席床
◇ ◇ ◇
薄茶席は清々しさの中にも新春の華やかさを感じるお席になるように心がけました。
床にはお家元の「雪中梅」を掛け、焼締め筒花入に木瓜と水仙を入れ、ぶりぶり香合を飾りました。立礼卓に筒釜と白磁平水指、不白好の亀蒔絵の薄茶器、誡堂銘「千年の翠」の茶杓、富士山と金菱銀菱の茶碗、菱馬の蓋置。松と鶴の干菓子を用意しました。
当日は亭主と誘導を峰雪会が担当し、茶席のお点前、お半東、お運び、水屋は雪輪会が担当しました。チームワークのとれたグループでもあり、お客様も水屋も会員の皆様ですので、余裕のある和やかな、楽しいお席となりました。
その後一同に集まり賑やかに会食をし、福引きに一喜一憂しながら一年間元気で楽しくお勉強することを心にして新年会を終了しました。(永井宗悦)
薄茶席床
立礼卓
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新潟不白会 八十周年を祝う
祝賀会と茶会……於鍋茶屋
新潟不白会
濃茶席 中野宗順支部長によるお点前
◆祝賀会を終えて
新潟不白会事務局 永野宗与
昭和十年五月、八代宗匠一元斎、閑雪先生ご来臨、江戸千家不白流新潟支部が発足されてから八十年を迎えます。
去る一月十九日「新潟不白会八十周年記念祝賀会」を開催する運びとなりました。当日は雪交じりの冷たい風が吹く大寒、お家元ご夫妻、宗康先生ご夫妻、東京、群馬、高田の役員の方々にお出ましをいただき、会員と合わせて百十五名の参加者でした。
濃茶席は中野宗順会長が亭主を務め、初釜を兼ねたお祝いの設えでおもてなしをご披露され、振り袖の若いお嬢様方のお運びで席中が一層華やぎ、ご亭主の思いが伝わるお席でした。
テーブル茶席は、常々お家元からご指導いただいていることを実践し、五卓を青年部や若い弟子たちが担いました。それぞれが趣向を凝らし、自宅でお客様をお招きしているかのように、和やかに和気藹々とお話しを弾ませておりました。
式典においては、八十周年にちなみ、八十歳以上の会員十三名に、功を労いお家元から色紙を贈呈していただき、一同より暖かい大きな拍手が贈られました。祝宴は新潟芸妓の踊りとお家元の篠笛のアトラクションも交えて座を盛り上げていただき、老舗料亭での優雅でゆったりと余韻の残る一日となりました。
会員一同が同じ方を向き、そのことで協調性や達成感、喜びを味わうことができたと思っています。更に十年後九十周年のお祝いができますことを大いに期待したいと思います。
濃茶席
◆もてなし、もてなされ
桑原 誠
私も五年に一度の鍋茶屋での初釜を楽しみにしておりますが、十年前は支部七十周年で全国大会が行われた年でもあり、大会直後の七月には大水害、十月には中越地震があったのを思い出しました。
午前は、先生方による濃茶席と青年部によるテーブル茶席で、各々が好みの茶碗を用意する趣向でおもてなししました。私の席にはお家元が来て下さり、お客様に花所望ならぬお茶所望で茶筌を振っていただいたり、豊富な話題に話が尽きず、東の役割と時間を忘れ一緒に席を楽しませていただきました。
祝賀会では、中野会長の挨拶に続き、お家元、群馬の宮下先生の祝辞があり、宗康先生の乾杯で祝宴が始まりました。古町芸妓さんの舞があり、お家元の篠笛はアンコールにまで応えていただき、十七のテーブルではそれぞれ和気藹々歓談しておりました。
帰りの車の中では、入会間もない会員が「なかなかできない体験をさせてもらった」と繰り返し、私ももてなす楽しみともてなされる楽しみを同時に体験できた貴重な初釜となりました。
テーブル茶席
テーブル茶席2
祝賀会風景
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2014年1月11日
長野不白会初釜
大場雪絵(長野不白会)
一月十一日、長野不白会の初釜が行われました。
日頃の社中お稽古ではお目にかかれない諸先輩方とご一緒させていただける、ありがたい機会です。私は茶席の当番の一人として、当日を迎えることとなりました。出席者総勢二十一名。その中には小学生のお孫さんが二人。小さな体に華やかな着物、髪もかわいらしく結い上げて、茶席をさらに晴れやかな場としてくれました。驚きましたのは、そのお嬢さん方が姿勢も正しくその場に座し、飽きる事なく茶席の設えや点前を、静かに興味深く見守っていたことです。
私は当日のお当番として緊張感の緩むことのない一日でした。学んできたことをそのまま実践すればよいと思うものの、大勢のお客様を前にするといつものお稽古とは違い、いつの間にか肩に力が入ってしまいました。
しかし、いざ自分の薄茶点前の出番となり、ふと心に甦ってまいりましたのは、過去にお家元招請研究会で薄茶点前の割稽古の一人として、お家元のご指導を受けたときのことでした。一つ一つの動作の意味を説いていただき、お客様を想い、もてなす気持ちを点前に込めることを教えていただきました。その時の記憶が甦り、緊張感の中にもお客様に美味しい薄茶を召し上がっていただこうと、点前に集中することができました。また、李支部長をはじめとする皆様の支え、優しいお声掛け、数々のお心遣いが私を救ってくださいました。終わってみれば、まさに一座建立といえる、素晴らしいお初釜となったと想います。
そして、小学生の二人のお姫さまが陰点ての薄茶運びを「やってみたい」と、自ら進んで運び出してくれました。あどけない中にも、緊張を恐れることなく挑戦していく勇気と凛々しさに、またひとつ若い力とその可能性に驚かされ、感銘を受けました。
茶席は、主客問わず皆で作り上げるもの。諸先輩方から小さなお子さんたちまで、一人余さずそれぞれが主役であったと思います。その中で、微力ながら茶席当番の一翼を担うことができ、わずかでも皆様のお役に立てたのではないかと慶びを感じております。自らの反省点は今後に生かしつつ、今は初釜の席でご一緒いただきました皆様お一人お一人にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
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