江戸千家 > 会報から(144号) > 喫茶往来

喫茶往来


 宗雪宗匠の茶の湯交遊録を紹介します。

十月の月釜

 拝啓 木々の葉の彩りが楽しみな季節となりました。先日は九州での記念茶会後、まもなくのことでしたにもかわらず、写経を拝見する機会を賜りまして本当にありがとうございました。二月堂焼経は銀色の状態も美しく書体も一層澄みやかに感じられました。
 菊の主菓子の端正な様子が今も目に浮かびますが、図らずも十月二十三日は旧暦の重陽の節句でありましたことを帰路につき気付かされました。本年のお稽古日も残すところ数えるほどとなりましたが、引き続きご指導のほどをどうぞよろしくお願い申し上げます。
                             敬具
 十月二十五日                     瀬尾真奈

・先日はお誘い戴きまして、どうもありがとうございました。初めて拝見する写経、又、表装を仏仕立てにせず工夫した懐かしい写経との久し振りの対面、このたびも大変愉しく過ごさせていただきました。
 あらためて写経の魅力を感じ、これからも仕事に活かせたらと思いました。日中は過ごしやすくとも朝晩は冷えます。どうぞご自愛ください。
 十月二十五日                   五十嵐真理子

・秋も一日一日と深まり、夜長の頃となりました。
 過日は素晴らしい写経を拝見し皆さまと共に大変貴重な時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。お薄の一服と共に心も身体もリフレッシュさせていただきました。次回は是非体操も。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。
                             敬具
 十月二十五日                    遠藤みどり

・前略 先日は素晴らしいお経の断簡を拝見させていただき、ありがとうございました。どれも状態のよい清々しいお経でした。当店から購入いただいたお経も、素敵に表装して戴き、他にひけをとらない魅力的な一幅で、とても誇らしく嬉しく思いました。美味しいお茶とお菓子をいただき、美しい露地とお庭を拝見し、楽しく豊かなひとときでした。大事にしていただける物を扱いたいと改めて思いました。不安定な季節ですので、どうぞご自愛下さいませ。
                           利谷有里

新潟茶会

 拝啓 晩秋とは思えぬ天候が続いております。この度は「喜峰」「佐渡」、本当にありがとうございました。お陰様で皆さまからいいですね、家宝が出来ましたねと声をかけていただきました。
 八女のお茶も美味しいと、白湯所望の方は一人もいらっしゃいませんでした。勝手な事を申し上げ主人好みのお席になりましたが、この時季にこのようなお茶を楽しむ事ができ感謝しております。
 お花には花言葉が感謝のかすみ草を使い、その他彩りをしましたが難しいです。お茶会が終わり、主人の頭の中は家元御来宅モードになっております。
 十一月七日                     窪田宗恵

3K(小林・河合・河野)茶会

冠省、先日の月釜は、誠にありがとうございました。その節お話し致しました日経「心の玉手箱」を鹿島の方から送らせていただきました。そのアフターフォローを「饒舌館長ブログ」にアップしましたので、合わせてご笑覧下さいませ。
 昨日は大阪中之島美術館で長沢芦雪の口演をやってきました。もちろん貴蔵の仔犬図屏風を取りあげさせていただき、あのシンクロニシティをお話致しました。
 口演前に時間があったので、香雪美術館中ノ島「茶の湯の茶碗展」を見に行きました。村山龍平翁旧蔵不白作「赤楽亀茶碗」「黒楽鶴茶碗」が出ており、箱に愉快な狂歌が書いてありました。

 首出さず手足も出さず尾も出さず
 身を納めたる亀は万年
 首長くはし又長く足長く齢も長く
 よくそろい鶴

 口演では芦雪の「蓬来山図」も取りあげましたので、早速この狂歌を使わせて貰いました。
 以上まとめて心よりお礼申し上げる次第でございます。 草々
 神無月八日                     河野元昭

サハラ茶会

 上野も心地よい風が吹いてますか。
 私と瀬古さんはモロッコからジブラルタル海峡を渡り、スペイン、ポルトガルに回って成田に帰ってきました。旅の始まりは、マラケシュの大地震でしたが、旅程には影響はなく幸いでした。
 夜明け前のサハラ砂漠をラクダに乗ったときは、平山郁夫氏がモンゴルのゴビ砂漠のとりこになった気持ちがわかるようでした。日の出に、ポルトガルツアーの同行女性陣に星の奥で一服。皆さん私のトリコになったようです。
 熊野に帰る電車では線路脇に彼岸花が咲き、新宮の街では店先に青切りみかんが積まれ、無事に新宮に帰った次第です。
 熊野の秋を池之端に届けます。
 九月三〇日                      岡 知行

湘南倶楽部(大磯N宅)

 この度は思いもかけず湘南倶楽部にお招きにあずかり、楽しい日曜日を過ごしました。ありがとうございました。
 家元の長年のご提唱、「自宅の茶」が私共弟子の間で浸透しております。人様の自宅にお伺いし、お茶をいただくことを、家元自ら実践なさってきたからこそと思います。自宅に伺うということは大袈裟にいえば、その方の人生というか、人様に向き合い受け止める事かと思っております。家元の「どこへでも行きますよ、呼んでくだされば」という言葉は、相手と真っ向から向き合うという覚悟のある真剣勝負だったのかと、今更ながら自分なりの理解をいたしました。
 まだ修業不足ですが、今回は自分なりの納得を得たような気持ちになり、東海道線に揺られて帰ってきました。有意義な一日でございました。
 十一月末日                     内山宗邦

一円庵に遊びて

 拝啓 先日は御稽古のお邪魔に上がらせて頂き有り難うございました。皆様の和気靄々とされている御様子拝見出来て何よりでした。拙作お目にかけます。

 東叡の山麓なる一円庵
        紅葉葉照りて密かなる席

 お稽古の教へ優しく家元の
        笑顔に温む席の人々

 一年も早や極月と寒けれど
        此処は暖か一円の庵

 令和五年師走                    伊藤松渓

慶應茶道部同窓会

 十二月七日、川上邸での集まりの写真を配信します。  幹事 土井

十二月の月釜

 拝啓
 先日は年の瀬で御多忙の中、茶事にお招き頂きまして有り難うございました。都会の守られた空間で頂くお茶は何の為にお茶をするのかを考える貴重な経験となり御縁を頂いた藤丸主人にも感謝しております。
 川端康成の「帰家穏座」はお茶の帰るべき姿を想像させて下さり、茶事の楽しさを感じさせてくれました。また恐悦ながら点前を褒めて頂く事が多い私ですが、不思議と呼吸が違うのかと感じる程に家元の空間を満たすお点前には敬服致しました。そして炭道具から不白作のお茶杓まで眼福を得ることができました。
 いつの日か南坊流のお茶事に家元をお招きできます日を心待ちにして茶道に励んで参ります。                   敬具
 十二月十七日                    小堀聖貴

國華清話会 台湾見学の旅

 台湾は六年振りか クリスマス

    台北 故宮博
 小春日や 如窯の小鉢 空の色
 円卓に大勢着いて小籠包

    市内
 張大千 川辺の邸宅 冬の梅
 街中まちなかの按摩よく効く年の暮

    故宮
 南院石塀に我等迎える八哥パクの群

    台湾大学
 別れ際見送る朋に麗雨かな

  十二月二十八日                 川上ひろし


©2024 edosenke
表紙へ歴史流祖茶室茶の湯のすすめ会報から不白会行事ご案内出版物事務局サイトマップ