○拝啓
先生御夫婦と初対面にもかかわらず、楽しく一日を過しました、有難うございました。
故宮で撮った写真をお送りさせていただきます。なお、先生との雑談中、色々と勉強になりました。嬉しく思います。以上、乱筆乱文失礼致します。
敬具
川上宗雪先生
先生一家のお健勝を心から祈り致します 謝 明良
二月二十四日
○謝 明良 様
拝復
台北の旅から二十日も過ぎてしまいました。青森の盛田先生御夫妻、薫様の御紹介を得たとはいえ、この度の台北故宮博物院での私達への御厚遇は特別の体験でした。感謝の気持ちでいっぱいです。
博物院の名品の数々、広東料理、四川料理の御馳走もさることながら、戴いた写真を眺めながら、館員の皆様と過ごした特別室での鑑賞と、お茶会のあの日の交流をとても嬉しく思い出しております。もう少し近ければ、直にでもまた伺いたい気がします。どうか私達の気持ちを、皆様にお伝え下さい。
またお会い出来る日まで、さようなら
三月十三日
川上宗雪
博子
○ご丁寧にメールまで頂き恐縮です。
先日大変お世話になりありがとうございました。茶会と笛の演奏が素晴らしくて私達にとって大切な経験でした。お時間が許せば、またお越しください。
三月十五日 余 佩瑾
謝教授と故宮博学芸員の皆様と
数年前より家元のお声かかりで私達湘南地域に住む同門の仲間達で、時折、気のおけない自宅の茶を、回り持ちで楽しんでおります。今回は私の家で致しました。帰りに近くの鵠沼海岸を散策しましたが、富士山をシルエットに夕陽の沈む年の暮の光景を皆で眺め入ったことです。
十二月二十二日
江守雅雪
台北の帰りに家内と沖縄に寄りました。願っていた久高島を散策したり、那覇の知人達を訪ねました。二月二十四日、那覇市在住の裏千家の茶人津堅房信夫妻に招かれて、奥様手作りの沖縄の家庭料理と琉球の工芸品で、それはそれは楽しい自宅の茶となりました。
川上宗雪
桜咲く暖かな陽気の中、外腰掛での緑の風も心地よくゆったりした気分で茶事がスタートしました。
家元の人柄に本来のおもてなしの心がひしひしと伝わって参りました。茶道や茶事に定義は要らないと感じました。昔々の三年間のボストン暮らしで、「真の国際人になるには」と考えた時、茶事だ!と思い、己の人生の中での生活密着型茶事を心掛けて今日まで続けて参りました。国際人にはなれませんでしたが、年を重ねながら、何より自身の心の成長につながる茶事をしてきたと思えるようになりました。茶事に呼ばれたら茶事で返す、と習いました。いつかお越しいただけます日が実現できればと願っております。季節の変わり目でございます。どうぞ御身お大切にお過ごしくださいますように。
四月五日
忘蹄庵 堀 加寿子
去る五月五日、ニューヨーク在住の美術コレクター、ジョン・C・ウェバーさんから突然の連絡。「今、日本にいる。日本のやきもののことが知りたいので、今晩会えないか?」というものでした。ウェバーさんは一昨年、滋賀県のMIHO MUSEUMで日本美術をはじめとするコレクション百六十点による大々的な展覧会を開催されたビックコレクター。連絡のあったその日の夕方は、あいにく茶の稽古日です。どうしよう、また稽古を休んでしまうのも……、ウェバーさんからの依頼も無碍に断り難い。そこで妙案が、「そうだ、ウェバーさんをお稽古に連れていってしまえ」、宗匠に早速お電話して、「どうぞ、お連れ下さい」という返事を頂き、ウェバーさんと彼のパートナー、ジュリア・ミーチさん(元メトロポリタン美術館学芸員・日本美術担当)ともに池之端へと急いだ。
「どこへ連れていかれるの?」と怪訝そうな表情だった二人も、家元邸の門をくぐった瞬間、「あっ」という声を上げた。美の別天地、桃源郷がこの先に広がっていることを瞬時に理解したのでしょう。そこからのお二人は、驚きと歓喜の表情の連続で、青々とした苔が輝く教場のお庭を眺めながら、あるいは広間でお茶を一服いただきながら、宗匠や英語が堪能な博之さんとの会話を大いに楽しみました。とくにウェバーさんと宗匠の会話は抱腹絶倒。宗匠よりおよそ十歳年長のウェバーさんは、なんとアイアンマン(鉄人)トライアスロンの、この年齢グループの世界チャンピオンに輝いている。
一方の宗匠も負けてはいません。「私は茶の湯界において唯一の東洋式体操マンである」、さらに「あなたが富豪コレクターとして著名ならば、私は清貧コレクターとして知られている」と挑発。一方のウェバーさんも「家元が貧しいコレクターというのはウソだ。なぜなら、先ほど小間の茶室で拝見させていただいた黒茶碗が長次郎の作であることぐらい、ガイジンの私でも分かる」と応酬。最後に、東西の超人は硬い握手を交わし、再会を約束されたのでした。私にとっても束の間、至福の時となりました。
荒川正明
連休も本日で終わり、熊本は楠若葉の美しい季節になってまいりました。お忙しい中、熊本にいらしてくださいましたこと、心より嬉しく存じました。
今年の藤は地震の影響か花房がとても少なく心配していましたが、五月晴れの下、皆で宗匠の篠笛を聴かせていただき博之様が点てて下さいましたお茶をいただき至福の時を過ごさせて頂きました。
半世紀蜂の羽音や藤の棚
宗匠の句を拝見しますと藤棚の下でのワインをいただきながらの集いが楽しく甦って参ります。気候が変わりやすい時期です。どうぞご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
五月七日
世良喜久子
上野からの帰りの車中、前の席をクルリと回転させ、四人向き合いました。
「今日の様にいい日があると、本当に生きていて良かったと思うの」と甘粕様。
「そうよネー」と三人……、しばしそれぞれの思いにひたりました。
静かにお炭をなさいます様子、一人一人に御膳をお手渡しいただきますお姿に、利休様もこのようになさり、そのような折々等に、あの長次郎の御茶碗をどのような方がお手になさり、どのようなお話をなさったのでしょう、と。
この日は、また、初風炉のお席。幸せの上にも幸せでございました。奥様のお心こもりのお料理についついの御酒。
あの大きなお花の根本にそえられていた一輪の都忘れ……。私もそのようでありたいと……。
本当にうれしくて、楽しい一日、ありがとうございました。御機嫌およろしゆう。 かしこ
五月八日
佐久間晴子
お家元様
殿さまのお伽になりてひと点前
早速に短冊句をお贈り下さいましてありがとうございました。
四月十日、湯河原細川邸にご一緒させていただきましたことを思い出しております。近衛桜は一、二分咲きでございましたが、お座敷でお昼食をいただきながらの和やかな語らい、お茶室、「一夜亭」で家元ご持参の茶籠でお点てくださいましたお茶の美味しかった事と申しましたら……。
細川さまもとてもご満足で楽しそうでした。 敬具
田代宗寿
五月十四日
「一夜亭」の前で