昨年の春に自分の稽古場を開いてから一年半がたちます。
今回は稽古場の最初の一年間というものを振り返りながら、最近考えていることを。
○点前の進み具合
一年たつと、平点前はだいたい適切な流れで動けるようになってきたかなという感じはします。個人的には、もう少し課題があるかな少し早いかなと思える位の段階で、もう濃茶や炭など他の点前も始めてしまうようにしています。
というのも、例えば濃茶の点前を経験してから改めて平点前に戻ってくると気が付く点も多いのではないかと感じているからです。
基本といえどもなかなかしっかり身につけるのは困難です。中には少し高い所まで登ってしまってから振り返るからこそ気づく事もあると考えています。
○茶 事
定期的に稽古茶事をひらくようにしています。稽古は茶事のシミュレーションのような部分も多いですが、本番のイメージがわからないまま稽古をしていてもなかなか頑張る動機づけができません。稽古場だけでは道具の選定をしたり準備をしたり、食事やお酒の後で喫する濃茶の感覚という面までは実感がわかないのも確かです。
そこで、適当な茶室を借りて茶事を開いています。もし一緒に連れてきたい友人がいれば歓迎しています
こうすると、人の輪が広がるだけでなく他にも良い点があります。仲間内だけだと気楽なのは確かですが、稽古場外の方も加わる事で亭主側は引き締まります。しかし共通の友人がいるので全く繋がりの無い方ではないですから、客の顔ぶれのバランスが良くなるのです。
また、茶事や茶会、稽古場というのは、既にお茶をされている方が参加するクローズドな場になる事も多いように感じています。お茶を全くされたことが無い方が参加できる場がもっとあったら良いのにという個人的な思いもあります。
稽古場の皆さまと、お茶に触れた事が無い方の両方に本番の機会を提供するという意義を感じています。
○見学歓迎
私の稽古場は、入るつもりが全くない方でも見学OKとしています。ここ一年の間でも、他の稽古場や流派でお茶をされている方にも来ていただきましたし、お茶の稽古というものを見てみたいという興味だけの方にもいらしていただきました。
基本的に初心者が多い稽古場です。皆のレベルが近いというのは良い面もありますが、見本になるような先輩がいないという問題もあります。そこへ様々な方が来て下さると勉強になりますし、また単純に遊びに来て下さる方がいるというのはとても嬉しいものです。
○京 都
直近のニュースですが、京都にも稽古場をひらく事になりました。こちらもこれから試行錯誤を楽しみながらやっていきます。
●『水屋日記』連載記事一覧