●赤倉に家元を迎えて
平成二十九年九月十一日、五日間降り続いた雨も前日に晴れ上がり、赤倉の岡倉天心堂前の芝生は活き活きとしていました。
朝から、高田不白会の皆様が、天心先生の大好きな山野草を、道々摘みながら来られて活けてくださいました。十時より家元を中心に赤倉の仲間たちが集まって来て、久しぶりの再会に和やかな、ひとときでした。
時おり強く吹く風のいたずらの中、家元による供茶があり、続いて般若心経も上げていただきました。参席者全員それぞれが天心先生を偲びながらお参りし、お焼香をした後に、高田不白会の皆さんから点てていただいたお茶の美味しかったことは特筆です。楽しく、和やかな、ひとときを過ごしていると、家元の篠笛が、初秋の爽やかな自然の風にのって、天心先生に供奏されました。その音色とお姿は大自然の中に溶け込んでおられて、神秘的です、天心先生も喜ばれておられることと思います。
第一回天心茶会を開催するにあたり、江戸千家家元邸へ緊張して背中に冷や汗をかきながらお願いに上がってから十四年の月日が過ぎました。今でも昨日のように思い出されます、緊張している私たちを見抜かれて、「お楽にどうぞ、良いんですよご自由に」。どんなにかそのお言葉に救われたことか、そして数々の非礼が有っても、寛大なお心でお許しを頂いていますことを感謝致しております。
このたび大変お忙しい中を赤倉にお立ち寄り頂き、天心先生にお参り下さいました、お家元、平野さん、そして計画をしてくださいました高田不白会の皆様にもう一度感謝いたします。
地縁法人 赤倉温泉区長 次井雪雄