東京都練馬区にある東京女子学院の芙蓉が丘講堂において、宗匠による講演会が行われた。ここには江戸千家芙蓉会という茶道部(藤澤可雪先生指導)が活発な活動を行っており、今回家元を招いて講演を行うにあたり 全学年の生徒、先生方、保護者の方々二百十名以上が講堂に一堂に会した。
宗匠は、「飲料としての抹茶」「茶の湯は亭主が自ら客をもてなすもの」「初座と後座のこと」「茶の湯は日常に取り入れて楽しむもの」といった、常に主張されている「茶の湯のすすめ」を、ユーモアを交えながら、平易に語りかけた。
講演の後に行われたテーブル茶のデモンストレーションの報告と、参加した生徒さんの感想文の一部を掲載します。
「大げさな設えも作法もいりません。
自宅で抹茶を楽しんでください」
●注目のテーブル茶
お客様は、酒井利幸理事長先生と高校生代表の生徒二人です。家元は、生徒の名前をお尋ねくださったり、お茶を飲む機会はありますか、とお聞きになったりと、歓談しながらお点前がはじまりました。
テーブルの上には、花瓶に芙蓉の花一輪。半東の藤澤可雪先生より、お菓子が運ばれました。本日のお菓子は、干菓子の琥珀と和三盆です。見学の生徒たちは大注目です。お茶は福岡の八女のものです。
ポット、茶碗、茶筌が用意されていて、家元が手ずから点てられたお茶が振る舞われました、最後に、家元が自分が飲まれるお茶を理事長先生に点ててもらおうと、お盆を差し出しました。これは、予定していなかったことだそうです。「理事長先生がんばって」皆心のなかで声援を送ります。
理事長先生が点てたお茶を、家元が一服召し上がりました。皆、固唾を呑んで見守ります。「おいしい」、この一言で緊張もほどけたようです。楽しそうな雰囲気に、参加できないのを残念がる生徒も多くいました。「テーブル茶」のお点前は、お話もはずみ、まだまだ続いていきそうな雰囲気のまま、時間が来てしまいお開きになりました。 (教頭 小林伸嘉)
理事長先生と生徒さん二人をお客にしたテーブル茶実演
半東は指導者の藤澤可雪先生。
《茶の湯は楽しい》
●私はこの今まで、「茶の湯=とても固い」「礼儀正しくなければならない」というイメージをもっていました。しかし今回の講演を終えて、そのイメージが180度変わりました。
特に印象に残っているのは、「お茶は楽しくやるものだ」という川上宗雪先生の言葉です。先生のお話や実演の場を見学して、本当に楽しくやるものなんだなと感じました。また、先生は「抹茶がもっと気軽に飲みものとして、普及して欲しい」ともおっしゃっていました。私が小学生だった頃、茶道教室で飲んだお抹茶はとても美味しく感激したことを今でも記憶しています。それからも飲む機会はたびたびありました。しかし、教室以外は自宅などでいざお抹茶を飲もうとしても、こんなに気軽に飲んでいいものなのか?と思うこともあり、いつも断念していました。ですから先生の言葉を聞いて、とてもびっくりしました。健康にもよいし、今度から気軽に楽しくお抹茶を飲みたいと思いました。とくに、テスト勉強中など絶対寝てはいけないときに飲んでみたいと考えています。きっと大きな成果が期待できると思っています。
《茶の湯を始めます》
●私が勉強になり、印象に残った言葉は、「給仕にお茶を持ってこさせるのでなく、主人自らがお茶を入れる」のが大切だとおっしゃっていて、自分ですることが大切なんだととても納得しました。
もう一つは、「自分自身でお客をもてなすのが茶の湯であり、目の前で点てることによって良い時間がうまれる」ということに感動しました。
また、「茶の湯には前半と後半がある」というのにも驚きました。前半は「食べて飲んでどんちゃん騒ぎ」、後半は「静かに振り返る時間であり、ゆっくりとお抹茶を飲む」。茶の湯はこんなに深いのかと感心させられ、私が知っているお茶とはちょっと違うと感じました。
さらにお家元は「茶の湯をもっと身近に感じて欲しい」とおっしゃいました。私は本当にお抹茶が好きなので、この言葉を聞き、もう茶筌を買ってお茶を点てるしかない!と思いました。この講演会を機会に茶の湯を始めようと思います。
講演会の後、江戸千家芙蓉会による記念茶会が、東京女子学院礼法室で開かれた。