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新宮訪問

流祖の故郷を歩く

平成24年7月23~25日

 去る七月二十三日より三日間に亘り、家元と共に流祖不白の故郷新宮を訪問した。平成八年五月以来なので十六年ぶり、久し振りの訪問である。以前より、家元自身新宮訪問の希望があったが、ようやく実現する運びとなった。
 訪問の第一の目的は、不白の先祖菩提所本廣寺参詣である。
 昨年九月二、三日に紀伊半島を襲った大型台風によって、同地全域に大きな被害をもたらし、新宮は多大なる水害に見舞われ、本廣寺も大きな被害を被られた。復興見舞いも兼ねての訪問であった。
 本廣寺御住職清水文雅様のお迎えを受け、二日目に本廣寺に伺う。

  本廣寺は立派に改修がなされており、私達に安堵の感が漲る。本堂にて御住職の読経に先導されて御本尊をお参りし、続いて、境内にある不白建立の先祖代々一字一石経塚をお参りした。御住職の御祖母様、お母上様の心温まる御接待を受けながら、復興の御苦労話も伺う。

 本廣寺参詣のほか、御住職と共に新宮市南谷墓地にある江戸千家四代で新宮にて明治二年に亡くなった新柳斎鶴叟不白のお墓をお参りすることができた。

 更にまた、不白が江戸に出る前の、青年時代を過ごした地域を改めて検証する機会を持ちえた。

 平成十九年の不白没後二百年を機に、地元の市民に不白を紹介することを目的として新宮商工会議所を中心に川上不白顕彰実行委員会が組織され、その一環として不白の新宮時代を中心とした関係資料を集めて、一冊の資料集として纏められ、解説を加えた「熊野新宮から見る 茶人川上不白の風景」が顕彰実行委員会から出版されている。その仕事の任に当たられたのが新宮市立図書館の山崎泰氏で、このたび山崎氏の御好意により、水野家歴代墓所、不白の出生地、幼少期から少年期を過ごしたと推定される池田港沿の地域などのご案内を受け詳しいお話を伺った。

 このたびの新宮市訪問では、家元の学生時代の友人である瀬古光子様、そして御主人の新宮商工会議所会頭瀬古伸廣様ご夫妻により多大なるお世話をいただく。兼ねてからお伺いし御挨拶したいと思っていた新宮市庁舎に案内いただき、新宮市長と面談、しばし、流祖不白のお話ほか江戸千家の現在の活動状況について家元より報告がなされた。更に、本廣寺御住職を交え、新宮市長、新宮市教育委員会の教育長と共に懇談の機会を得る。
 また、瀬古氏夫妻の御好意により中辺路への御案内を頂き、熊野川から玉姫小社を巡礼、拝礼することができた。昨年の大型台風の爪跡が残る熊野川沿いの山林そして濁流により、あらためて被害の大きさを実感する。

 このたびの新宮訪問は、予想を超える実のある小旅行となった。
                        (宗康記)

本廣寺 本堂

本廣寺 本堂

不白建立の先祖供養塔参拝

不白建立の先祖供養塔(書写妙法蓮華経印塔)参拝。
新宮市に残る唯一の不白の遺跡で新宮市文化財指定。

御住職の御祖母様、母上様と

御住職の御祖母様、母上様と久し振りに

御住職御一家と共に

御住職御一家と共に

供茶点前

四代目川上不白(新柳斎)の墓。
隣の墓には、川上宗引、川上三夕との名がある

水野家歴代墓所

水野家歴代墓所

山崎泰氏と共に

山崎泰氏と共に

池田港を眺める

不白(亀次郎)が生まれ育った地から池田港を眺める

新宮市長と

新宮市長田岡実千年様(中央)と共に

瀬古様山荘にて

瀬古様御夫妻と談笑一服 瀬古様山荘にて

「新宮行」

7/23

御先祖の故郷新宮へ夏の旅
  力の入る 朝の読経   宗雪

古里をあれこれ想う紀勢線   雪
          (約四時間)

沿線は青穂が続く
  白鷺(さぎ)の群れ    雪

なつかしき熊野河口を渡りけり 雪
           (新宮着)

トンネルを抜けて鮮やか熊野灘
              宗康

ピーヒョロロ水野家代々の墓参り
               雪

蝉鳴くや歴史も溜る池田港   雪

 (流祖不白の故郷新宮池田にて)
御先祖の住処に佇み想いけり  康

           池田港にて
目の前を走るは少年亀次郎   康

 新柳斎不白墓参り
故郷へもどりて眠る四代目   康

目一杯郷土の話承う      雪
      (図書館 山崎氏)

南国の人々なつこき庁舎なり  雪
         (市長表敬)


7/24

あっという間の二十年
   ここは故郷紀伊新宮   雪

御家族の御心尽くしに胸を打つ 康

清らかな読経響く 夏の寺   康

台風の爪跡残る熊野川     雪

中辺路(なかへじ)を
  発心僧都の案内にて    雪
          (瀬古氏)

来てよかった巡り巡りて中辺路に
   ひっそりたゝずむ玉姫小社
               康
 (瀬古様御夫妻の御案内にて)

山荘の渓の向うに烏帽子岳   雪

風さやか談笑しながら御茶一服
               康
    (家元持参茶籠にて)

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