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川上蓮鶴一周忌追善茶会

平成23年9月21・22日
於 江戸千家家元

 昨年九月二十九日に亡くなられました蓮鶴先生の一周忌追善茶会が去る九月二十一日に家元邸にて行われました。
 一円庵に供養席が設えられ、花月の間、蓮華庵の二席に釜が掛けられました。
 当日は、東京はじめ各不白会より、蓮鶴先生に直接指導を受けられました弟子の方々、また、交遊の深かった社中の方々、各流の宗匠、そして、家元と交流のある古美術商の方々がお集まりになり、蓮鶴先生を偲びつつ、一献、一服を召し上がられながら語らい合いました。
花月の間 床

 花月の間の床には、如意輪観音図が掛けられた。白く浮き出た観音の姿、まなざしは慈悲に満ちる。
 水瓶形の花入には、蓮と秋明菊が活けられた。床脇に、忍草の蒔絵硯箱、吊り棚の黄瀬戸の香炉に香が焚かれた。

一円庵床飾り

 ご来客は、先ず、供養席となった一円庵の床飾りの前にて礼拝された。床には、吉祥天図像が掛けられ、位牌と共に遺影が飾られ、家元により、茶が供えられた。

礼拝
 茶会の道具は、茶会記に記されているように、仏教美術を主にして取り合わされた。日頃、観賞美術として楽しまれる仏教美術も、この日は供養席としてふさわしく、礼拝しながら、個人に思いを馳せられた。
 蓮鶴先生は、生前、茶道の稽古に厳しく、また点前のみならず懐石料理も心を込められ、茶事もよくされたが、茶道具にも大変関心を持たれていた。いくぶん小振りで上品な茶道具を集められ、茶事、茶会に用いられた。指導、無言の伝授を受けられた社中の方々は直門はじめ全国の支部にも多い。
 この日の茶会にも、蓮鶴先生遺愛の茶碗などが用いられた。
家元のお点前

竹台子飾りにて、家元のお点前

呼継ぎの志野茶碗「絆」

呼継ぎの志野茶碗には「絆」と銘が付けられた

脇床

脇床には、岡倉天心の消息 正倉院云々
小棚に、金銅仏が安置された

広間の客
蓮華庵へ

蓮華庵へ

蓮華庵の床

蓮華庵の床には、東大寺二月堂の焼経が掛かる。華厳経の巻頭一紙。紺紙銀泥。
経筒の花入には、沢桔梗、杜鵑、刈萱が可憐に生けられた

蓮華庵点前

蓮鶴先生ご愛用の茶碗にて薄茶が点てられる

蓮華庵の客
献杯

点心席にて、献杯、会食

食事
点心席の床

点心席の床には、東大寺大佛台座、拓本が掛かり、
臨席の脇床に蓮弁が飾られた。

蓮弁
〈寄 付〉 
 扁額 天馬 拓本 敦煌石塔    唐時代

〈一円庵〉 供養席
 床 吉祥天 図像        鎌倉時代
   智照院蓮鶴妙範大姉
    位牌 遺影
        供菓
            三ツ具足
        供茶

〈花月の間〉 濃茶席    川上宗雪
 床 如意輪観音図        鎌倉時代
    花入 水瓶形
    花  蓮 秋明菊
    硯箱 忍草蒔絵
    香炉 黄瀬戸 竹節

  脇 岡倉天心 手紙 正倉院云々
     金銅仏    中国五胡十六国時代
       炭道具一式

 竹台子飾り
    風炉釜 常什
    皆具  染付 肥前平戸
    濃茶器 瀬戸肩付  金華山飛鳥川手
         銘 千とせ    不白箱
    茶碗  志野 呼継ぎ
         銘 絆きずな
     替  のんこう 黒
    茶杓  名心庵作
         銘 橘寺
    棗   菊蒔絵       松亭作
    御茶  星の奥     八女星野園
    御菓子 葛万頭     銀座空也製
     器   青磁
         呉須赤絵  忠信孝弟文字

〈蓮華庵〉 薄茶席     川上宗康
 床 二月堂焼経 華厳経十地品之二
           巻頭一紙  奈良時代
    花入 経筒  延暦寺   平安時代
    花  沢桔梗 杜鵑 刈萱
    香合 石製クロライト   B.C.30C

 中置飾り
   風炉 時代鉄風炉
   釜  伊勢芦屋 十牛図
   水指 一元斎作 瓢形
   棗  一閑 菊桐蒔絵
   茶碗 御所丸
   茶杓 蓮鶴作
       銘 夕鶴
    建水 曲
    蓋置 竹
   御茶  又玄       丸久小山園
   干菓子 蓮煎餅 水     亀屋伊織
    器  名取川 蒔絵盆

〈教 場〉 点心席
 床 東大寺大佛台座蓮弁 拓本  奈良時代
    香炉 砧青磁 春日卓ニ
   脇  蓮弁一葉       平安時代
   壁掛 三好達治 詩 

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